【はじまるA列車】猿でも分かる(?)貸借対照表【A列車で行こう はじまる観光計画】

【はじまるA列車】猿でも分かる(?)貸借対照表【A列車で行こう はじまる観光計画】
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【注意】このページで説明しているのは、ゲーム「A列車で行こう はじまる観光計画」における貸借対照表の説明です。一般の会計事務における貸借対照表についての説明ではありません。


貸借対照表とは?
会社は現在、どのような資産を持っているのか、その資産をどうやって得たのかを示すものです。基本的に、資産を左側に、負債と資本を右側に書きます。総資産と総資本は必ず一致するので、「バランスシート」とも呼ばれ、良く"B/S"と略されます。
損益計算書の収益・費用とは異なり、貸借対照表の資産・負債・資本は減ることもあり、決算時にリセットされることなく次年度に引き継がれます。

貸借対照表の構成
貸借対照表は以下の要素で構成されています。
資産の部資本の部


会社が持っている財産を金額に換算して総合計したもの

事業の元手になっている資金の入手元を合計したもの
流動資産絶えず売買などで所持額が変動する資産流動負債1年以内に支払いが行われる予定の負債
固定資産数年~10年以上の長期に渡って使用し続ける予定の資産固定負債1年以上の長期に渡って支払いを行う予定の負債
繰延資産既に支払いを済ませている金額のうち費用計上がまだ行われていない資産純資産会社が借用ではなく自力で所持している正味の財産

お急ぎの方は
お急ぎの方は、資本の部を見てください。
資本の部の構成要素は、主に負債・資本金・利益剰余金です。
負債は、借金と未払いの税金などが該当します。債務が資産総額より多い状態は「債務超過」と呼ばれ、倒産寸前と言えます。
借金は、ここでは元本のみが表示されます。利子の分は「銀行」で確認してください。
税金は、4月~5月以外は0円で計上されています。ここに表示される税金は、6月1日までに持っていかれるため、納税が終わると未払いでなくなり、ここには計上されなくなる為です。4月~5月は、ここを見れば6月1日までにいくら税金を払えばいいかがわかります。
資本金は、会社を設立したときに出資者に発行した株式の対価として会社に払い込まれた金額です。つまり最初に出資された額です。最低でもこの額相当の資産を持っていないとマズイです(資本維持の原則)。
利益剰余金は、簡潔にまとめると、総資産から負債と資本金を差し引いた額です。ここがプラスなら、元手以上の資産を持っているということなので、利益があがっているという評価になりますが、マイナス(この場合「欠損金」と言います)の場合は、元手以下の資産しかないということになるので結構マズイです(ゲーム開始直後なら仕方ありませんが)。
貸借対照表のポイントはここです。利益剰余金が増えていれば、取り敢えずOKです。
以上のことが分かれば、ゲームプレイにあまり支障は出ません。お急ぎの方はここでお帰りいただいても構いません。

資産の部
会社は資金以外にも、色々な形で資産を持ち、それを運用することで利益を得ています。
資産項目では会社が所有する資産を種類別にまとめています。

流動資産
会社の持つ資産のうち、すぐに現金化が可能な資産のことです。有価証券(株券)や商品(資材・資源)の他、現金自身も流動資産に含まれます。
流動資産は、日々の商取引によって所持量が常に変動します。現金は常に把握が可能ですが、株券で資産運用している場合は、こまめに所持額の推移をチェックしておきましょう。
流動資産は固定資産のように、所持することでの税金は発生しません。

現金預金
会社が現在所持している現金資金のことで、下の方に常に表示される「資金」がこれにあたります。
「現金預金」となっていますが、特段預入/引出を行う必要もなく、すぐに使用が可能なので、現金をそのまま持っているのに近いです。
もし資金がマイナスのままで丸一日が経過すると、会社が倒産してしまう(ゲームオーバー)のでご注意を。
特に法人税などの納税、銀行融資の返済日などに現金を大量に支払う必要が生じるので、その前に株券売却などで現金を用意しておきましょう。
納税期限日1週間前の時点で資金が足りないと、経理部長から「資金が足りません」と警告が発せられます。

有価証券
会社が所持する有価証券の評価額(所持数×価格)をまとめたもの。株券が相当します。
価格は購入時のものではなく、現在の価格(時価)での評価となるので、市場での株価の変動によって日々変動します。
売却すると購入時との価格差によって、損益計算書に「有価証券売却益(営業外収益)」や「有価証券売却損(営業外費用)」が発生します。
収益・損失計上は売却時のみ行い、株券を所持し続けている限りは評価額がどれだけ上下しても利益や損失は計上されません。
会社の規模が巨大になり、所持資金が数千億~1兆円オーバーとなるようなら、株式購入による資産運用を検討してもよいでしょう(資産を現金のまま持っていても利益にならないし、利益が見込める土地や子会社にも限りがある)。

商品
会社が販売目的で一時的に所持している資産のことで、資材などの資源などが該当します。
資源の生産地や隣街などから資源を購入した際に、個数×購入価格(+輸送コスト)で資産計上されます(同時に損益計算書で「資源関連費用」が費用計上されます)。
資源の消費地や隣街などに資源を売却すると、個数×購入価格(個数×保有分取得平均?)分減少します(同時に販売額の分現金資金が増加し、損益計算書で「資源関連売上」が売上計上されます)。
流動資産ではありますが、貯蔵状態によってはすぐに現金化するのは難しい(貯蔵庫の撤去による即時売却は可能ですが、売却額はかなり低下)ので、借金返済などの当てにするのはおすすめしません。
生産地近くに貯蔵場があると、満杯になるまで自動的に購入されることになるので、運搬の方法もないのに生産地の近くに貯蔵場を大量に用意すると、資源購入で現金を消費し経営を圧迫する事になるので注意。

固定資産
会社が所有する資産のうち、長期に保持使用して利益を生み出す資産のことです。
固定資産を所持していると、毎年固定資産税及び都市計画税を支払う必要があります。固定資産税は税率1.4%、都市計画税は税率0.3%です(年代・シナリオによらず固定)。
また、固定資産の取得(購入や新規建築)時に別途税金がかかります(「租税公課」として費用計上)。
固定資産は、毎年老朽化により資産価値が減っていく(土地を除く)ので、価値が減少した分を単純計算で見積もって費用計上するようになっています(減価償却)。
固定資産のうち、建物(子会社)、土地、車両運搬具は売却する事が出来ます。その結果、取得時より高い価格で売れた場合には「固定資産売却益(特別利益)」低い価格で売却した時は「固定資産売却損(特別損失)」が損益計算書で計上されます。
固定資産のうち、建物や構築物を撤去した場合は「固定資産処分損」が損益計算書に計上されます。

建物
駅舎(及び停留所)や子会社など、自社所有の土地に建てられた建築物の建物価格をまとめたもの。
子会社の購入(及び買収)時は自社で建築したときの価格より高くなる事が多いので注意。
耐用年数を40年とみなし、最大で元の価格の95%まで減価償却を行います。

構築物
自社所有の土地に作られた建物以外の構築物の取得価格をまとめたもの。
線路や資源貯蔵庫の価格の他、駅舎(及び停留所)の必要価格の一部も構築物で計上されます。
耐用年数を20年とみなし、最大で元の価格の95%まで減価償却を行います。

車両運搬具
列車やバスの購入価格をまとめたもの。
耐用年数を10年とみなし、最大で元の価格の95%まで減価償却を行います。

土地
会社が保有している土地の購入価格をまとめたもの。
何も建築されていない用地のほか、自社所有の子会社や駅舎などが建てられている土地も含まれます。
土地は老朽化しないため、減価償却は行われません。
土地の価格は各区画を記録している訳ではなく、土地売却時の原価は今まで取得した土地の平均価格(土地資産総額÷区画数)で計算を行います。

繰延資産
過去に支払った費用のうち、長期にわたって利益をもたらすと考えられる事業費を計上しています。
「現金資金」を一旦「繰越費用」に変更したとみなし、複数年に渡って「繰延資産償却費」として費用計上することで、繰延資産を毎年減らしていき清算を行います。
わかりやすく言いますと、実際は一括払いであるが、帳簿上は分割払いとしている、ということです。実際は既に支払った資金であるため、手元にはなく換金価値もないことに注意。
その年の決算が大赤字になってしまうのを防ぐ、利益剰余金が急激に減ってしまうのを防ぐなどの効果があります。ただし、繰延資産のせいで数年連続で赤字になってしまう危険性もあります。
このゲームでは、特定の費用が必ず繰延資産として計上されるようになっていますが、現実世界では、必ず計上しなければならない訳ではありません。
わかりにくい概念ですが、簿記ではこのように実際のお金のやりとりとは異なる処理がなされることが多々あるのです。

研究開発費
研究開発にかけた費用をまとめたもの。
プラン「車両開発」「地下鉄道技術獲得/地下道路技術獲得」「技術供与」「地下資源調査」「新幹線誘致」「空港誘致」「国際貿易港誘致」が該当します。
上記のプランに使用した資金は、まずこの項目に資産計上され、5年間に分割されて20%ずつが費用(繰延資産償却費)計上されます。
つまり、上記の事業プランは費用負担が複数年に分割されるので、損益計算において利益を圧迫しにくくなっています。しかしながら、繰延資産償却費が高額な場合、現在の収益でカバーしきれずに5年連続で赤字になってしまう危険性もあります。

資本の部
会社が現在持っている資産はどうやって得られたのか、その元手の出所をまとめています。
会社に10億円の資金があったとして、それは会社が利益を出したことによって得られたのか、会社設立時に出資されたものなのか、銀行に借りた金でいずれ返済しなければならないのかによって、その意味は全く違うものになってしまいます。
資本の項目ではこのような資産の元手の他、支払いを行わねばならず自由に動かせない資金(納税予定の税金など)も資本の部として表示し、「会社がどれだけ利益を蓄えているか」をまとめ上げています。
一般的には、資本金などのように会社の元手となるお金を資本、借入金などのように支払いを行わねばならないものを負債と呼び、資産=負債+資本となります。

流動負債
他人資本とも呼ばれ、今期1年間に必ず支払うことが予定されている短期の負債が計上されています。
毎年それぞれの項目の期日が来れば支払いが行われ、資金が減少して負債が清算されます。
この負債の支払いを行うために、同程度以上の現金資金(もしくは株券)は出来るだけ保持して置きたいところ。
この負債計上は年度初頭(4月1日)に行われるため、4月からしばらくの間は負債が激増し、利益剰余金が圧縮されてしまいます。融資や新株発行(株式公開及び公募増資)の妨げとなるので、この時期ではその手の行動は控えましょう。

未払法人税
納税されていない今年の法人税が計上されます(事業税及び住民税も含まれるが一つの項目にまとめている)。
納税額は、前年度の損益計算書での「法人税等」の額が計上されます。前年度が赤字であった場合は、80万円が計上されます。
毎年3月31日終了時に納税額が決定し、翌年度の6月1日9:00まで支払いが行われるまでは負債としてこの項目に計上されます。
会社の収益状況によっては、毎年数億~数百億オーバーの巨額になる可能性があり、負担は極めて大きくなります。

未払固定資産税
納税されていない今年の固定資産税が計上されます(都市計画税も含まれるが一つの項目にまとめている)。
納税額は、会社の前年度の「固定資産」所有額の1.7%(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%)が計上されます。
毎年4月に納税額の通知があり、翌年度の6月1日9:00までに支払いが行われるまでは負債としてこの項目に計上されます。
法人税とは異なり、この税金は会社が前年度利益を出していなくても必ず払う必要がある事に注意。

賞与引当金
今年度に社員に支払う予定の定期ボーナスが計上されています。
年2回(7月25日、12月25日)にボーナス支払いで清算されます。それまではこの項目で負債として計上されます。
プラン「特別ボーナス」とは無関係です。

固定負債
支払期限が1年を越える長期の負債が計上されます。こちらも他人資本と呼びます。
すぐに支払う必要はありませんが、いずれは必ず支払いを行わなくてはならないという点で気をつけなければなりません。
期限内に資産(流動資産に限らず)を増やし、支払いを行ってもなお余る程度は利益を蓄積しないといけません。特に銀行融資(長期借入金)を受ける時には注意。

長期借入金
銀行から融資を受けた時にその借入額が計上されます。
融資の期限が来れば、利子を含め全額を返済しなければいけません。返済すると負債は清算され、利子相当額は損益計算書に「支払利息(営業外費用)」として費用計上されます。この時に、利子分の利益剰余金が減ることになります。
繰上返済時も同様で、この場合は実際に支払った利子(予定額よりも軽減)が費用計上されます。
融資開始から日が経ち、支払い期限が1年を切ったものが出てきても、固定負債で計上されたままとなる(流動負債で別表示とはならない)ので注意。返済期限が近くなったら、「銀行」メニューで必ず確認をしてください。
また、この項目で確認できる借入金はあくまで元本のみなので、実際に返済する時には利子分が上乗せされ返済額が大きくなっている事に注意。その意味でも「銀行」メニューできちんと返済予定額を確認しておきましょう。

退職給付引当金
会社の従業員の退職金相当額が将来支払われる予定のある負債として計上されます。
毎年、損益計算書に「退職給付引当金繰入(販売費及び一般管理費)」で計上された額が累計されていき、実際に退職者が発生した際に相応額が減少します。
全ての社員が同時に退職することは起こらないため、全額が必ず支払われることはないと思われますが、社員が多くなると引当金が増加するため、利益剰余金を圧迫することになるかもしれません。

純資産
自己資本とも呼ばれ、会社の総資本(=総資産)から負債を差し引いた、自社の所有する純粋な財産の額を表します。
負債とは違い、返済を行う必要はありませんが、会社が出した利益の一部を株主に配当として還元する必要があります。

資本金
会社設立及び増資時に、株主から集められた出資額の合計で、会社が事業を行うための純粋な元手といえます。
設立時及び株式公開実行直後は、発行済株数×500円が資本金となります(発行株数はシナリオや難易度によって異なる)。
株式公開後、さらに公募増資を行うと、調達額(新規発行株数×公募価格)分資本金が増加することになります。
発行済株数×株式時価で表されている「株式時価総額」と似ていますが、両者は別の指標である事に注意。
市場での評価の目安である株式時価総額が資本金よりも高い額になっているのなら、公募増資に応じてくれる株主は多くなってくるでしょう(=公募増資が成功しやすくなる)。

利益剰余金
会社がこれまでに得た利益の蓄積を表しています。
総資産(=総資本)から負債総額と資本金を差し引いた額が計上されます。
総資産と総資本が必ず一致するのは、その差額を利益剰余金として計上している為です。逆に言えば、「総資産と資本合計(負債総額+資本金)の差額」であり、会社が資本金などの元手をどれだけ増やしているかというのを表した項目といえましょう。
資本合計より現在所持している資産総額が少ないときは利益剰余金はマイナス(欠損金)となります。
経営開始直後に大規模な投資を行うなどして、短期的に欠損状態になるのは仕方ありませんが、いずれは必ずプラスとなるよう心がけましょう。
毎年7月1日に株主に支払う配当金(難易度やさしいでは支払いなし)の総額は、この利益剰余金が上限となる為、配当時に利益剰余金がマイナスなら、無配当が確定してしまいます。
特に、株式公開後は利益剰余金に気をつけないと株価下落の引き金となります。

その他
このような状態は注意
流動資産の金額に対して流動負債の額が多いと、1年以内の負債の支払いに支障をきたす恐れがあります。
総資本(=総資産)に対して負債の額が多いと、将来の返済などに苦しむ可能性があります。
特に、その状態で流動資産も少ないとなると、返済のために固定資産の売却などに手を付けなければならなくなり(場合によっては捨て値で即時売却することも)、本業の経営規模が縮小する危険があります。


総資産と同額の現金を用意できるとは限らない
総資産全てを換金できるとは限りません。
これは繰延資産の影響です。前述のように、繰延資産には既に使用した額を計上します。つまり、この時点で総資産以上の資産が計上されている、ということです。
また、持っている資産をすべて売却して現金にしたとしても、売却額によっては損失が発生します。繰延資産に加えて、このようなことがあるので、「総資産=換金可能な金額」ではないことに留意してください。

貸借対照表で事前納税が可能
貸借対照表では、事前に法人税などの納税が可能です。
法人税などが未払いである場合、左上あたりに納税ボタンが選択できるようになります。

割と現実のものに近い
損益計算書と同様、貸借対照表もリアルです。やはり会社法の教科書に普通に書いてあります。
経理を学びたい方には真剣にオススメできます。
リアルさはわかりやすさとトレードオフですから、少々煩雑です。初心者の方は理解に時間がかかるかもしれませんが、やっていくうちに分かるかと思うので、この説明が理解しにくいことがあっても放っておいて大丈夫。