プロローグ
あなたは「アルカディア伝説」を知っているだろうか?
100万年前に魔法やその技術力で栄えたと言われた伝説の超大陸、そして、最も天空に近い場所と言われた伝説の超大陸アルカディア...
何よりも驚きなのは、アルカディアにそびえるという「運命の塔」の存在である。
運命の塔には数多くの「試練」なる存在が待ち受けており、その全てを乗り越えて塔の最上階に辿り着いた者は、どんな願いでも叶えられる「究極のチカラ」を手にすることができるという。
かつて何人もの人間が「究極のチカラ」を求め、アルカディアを目指して旅立ったが、そこに辿り着いた者は誰一人いなかった。
これが「アルカディア伝説」である。
エンジェル暦 1993年3月22日
炭鉱の町ローゼタウンでは、今あることが話題になっていた。
町のある炭鉱の奥に、遺跡らしき空間が発見されたとのことである。
その遺跡がアルカディア文明と非常に似ているのだそうだ。
その炭鉱の近くに、一人の少年の姿があった。
彼の名は「シュウ」。13歳。
銀髪に端正な顔立ちをした、ごく普通の少年であるが、彼は成績が飛び抜けて優秀なため、クラスメートからは嫉妬され、いじめを受けていた。
シュウには両親がいない。
そのため孤児院から学校に通っていた。
シュウは今日も、いやいやながら学校に向かう。
その日の午後、シュウへのいじめの主犯格であるリュウタと、取り巻きのユウキ、シンヤは、放課後シュウを「例の炭鉱」に呼び寄せた。
何でも自分たちで遺跡の謎を解こうと企てているらしい。
シュウはいやいやながらも彼らについて行った。
薄暗い炭鉱の中、リュウタたちはシュウを盾にするように進んでいく。
やがて遺跡の入り口らしき場所に辿り着いた。
そこには謎の文字が彫られており、扉を開ける暗号のようになっていた。
驚くことに、大人たちも解けなかった暗号をシュウはあっさり解いた。
どうやらリュウタたちはこのために、秀才であるシュウを連れてきたようだ。
開いた扉の奥に進む一行。
やがて祭壇に杖のようなものが掲げられているのが目に入った。
リュウタ「やった秘宝を見つけたぞ! これはオレのものだ!」
リュウタが杖を手にした瞬間、遺跡が音を立てて崩れ始めた。
リュウタは杖を投げ捨て、大急ぎで引き返していく。
シュウもそのあとを追った。
出口にさしかかった時、リュウタたちの顔が狂気の色に満ちた。
なんとシュウを生き埋めにしようとし始めたのだ!
シュウ「お願い! やめて! ...苦しい...!」
そんなシュウの助けを求めて叫ぶ声に構わず、リュウタたちは砂をかけ続けた。
やがて炭鉱は崩れて完全に塞がった...
その日の夜、普段は静かなローゼタウンに激しい雨音と雷音が響いた。
今日はその音にパトカーの警音が混じっている。
おそらく、パトカーはあの場所に向かっているのだろう。
全ての「発端」となった、あの炭鉱へ...
To Be Continued