第3章 「アルカディア・フォース・テクノロジー社」
ピット「ボクも、そろそろ天空に戻らなきゃ。
さようなら、Jさん。」
J「気さくに『J』と読んでくれて構わないよ。
じゃあボクも、さようなら。」
ピットはエンジェランドを目指して飛び立った。
J「...もう行ったか...
ピット君、確かにただならぬ才能を感じるが、まだまだヤツには勝てない。
ピット君には、もっと強くなってもらわないと...」
ピットはエンジェランドに戻った。
そしてパルテナに魔物のことやJのことを報告した。
パルテナ「では、あなたが先ほど戦った魔物は冥府軍の者ではないと言うのですね。
私もうすうすそんなような気がしていました。」
パルテナ「ピット、その『J』と名乗る人物には気を付けなさい。
何か胸騒ぎがするのです。」
ピット「分かりました。」
パルテナ「ピット、Jは本当に『アルカディア』と言ったのですか?」
ピット「はい。正確には『アルカディア・フォース・テクノロジー社』と言ってました。
ところで『アルカディア』って何ですか?」
パルテナ「『アルカディア』とは、ここエンジェランドに最も近いと言われた大陸です。
ですが、100万年前に滅びたと言われています。」
その日の夜、ピットは眠れなかった。
Jやアルカディアの名を語る企業団体のことが、気になっていたからだ。
次の朝、また地上に魔物が現れたとの情報が入り、ピットは再び地上へ向かった。
ピットは地上で思わぬ光景を目にした。
何とリボルバーを持ったJが魔物と戦っているのである。
ピットはパルテナに言われたことを思い出し、Jに加勢するか少し迷った。
ドーン
その音で、ピットは我に帰った。
Jが魔物を倒し終えたようだ。
J「A.F.T.め、次々と魔物を作りやがって...」
ピットはJの、その言葉を聞き逃さなかった。
ピット「J...?」
J「おっ、ピット君、キミも来ていたのか!」
ピット「A.F.T.が魔物を作っているって本当なんですか?」
J「ああ、聞こえていたのか。
...本当だよ。」
J「『アルカディア・フォース・テクノロジー社』...
それは6年前に誕生した、世界を股にかける巨大企業。
先端技術、石油化学、医療、製薬、金融...
あらゆる分野において世界のトップに立つ企業団体だ。
...だが、それは全て表の顔。
ヤツらの真の素顔は、『魔物の製造工場』だ。
ヤツらはどこからか、冥府軍のデータを入手し、犬やネコなどの動物のほか、植物、挙げ句の果てには人間までもを魔物を作るための実験体にしようと目論んでいる。
キミが、昨日戦った魔物は『ナスビ』をもとに作られた魔物だ。」
ピット「...ひどい...
...あの気になっていたことがあるんだけど、ヤツらはなぜ『アルカディア』の名を語るのですか?
パルテナ様からアルカディアについて聞きましたが、なぜヤツらがアルカディアの名を語るのか分からなくて...」
J「パルテナ様とは、キミが昨日魔物と戦っていた時に、どこからか助言をしていた人のことかな。」
ピット「聞こえてたんですか? パルテナ様の声は人間には聞こえないんですよ。」
J「うん、聞こえてたよ。
『アルカディア・フォース・テクノロジー』の真の意味は、『アルカディア』の『チカラ』を『技術力』で再現する、だ。
ヤツらは、おそらく魔物だけでなく、アルカディアの技術も作り出そうとしているんだ。」
ピット「じゃあ、すぐにやめさせないと。」
J「ボクのチカラだけじゃ無理だ。
A.F.T.社は今やこの世界全体を支えている上に、人々の信頼も厚い。
ボクの話なんか誰も信じてくれない。」
ピットは少し迷ったが、Jの言葉を信じ、こう答えた。
ピット「ボクはJの話を信じるよ。
だからボクにも協力させてくれないか?」
J「ありがとう。助かるよ。
今度は2人で世界を救おう!」
こうしてピットはJと手を組むことになった。
To Be Continued