この一話を私が書いてみます。あえてタイトルをつけるとしたら…【リリス】
私は地に伏した。
決して顔をあげてはならない。
昨日一人の知人が殺された。
死因は上に逆らった罪。
バラバラ死体になって燃やされ捨てられた。
一部の奴隷はこの国の奴隷という身分の更に下の扱いを受けている。
この国は戦争をした国の女を拐い調教して、貴族に買い取られる。それが奴隷。
…拒否すれば…犯され殺される。
男は労働。女は奴隷。
絶対服従。下手なことをすれば死ぬ。それが日常。
でも私達は少し違う。
服は質素な冥土服。メイドという扱いだそうだ。
食事は一日に二回。家事をしなければ殺される。
失敗をしたら二度と人間という扱いさえ受けてもらえない。
奴隷だから当然なのだが名前がない。年はかろうじて16歳ということは分かる。
それがこの家の貴族のルールだそうだ。
私のご主人様は一番下位の貴族だそうで、根は優しいのは私だけの秘密だ。
私以外にメイドはいない。
主人様が奴隷制度をあまり好まないのかもしれない。
上位の貴族となれば…無惨に人を殺す殺人鬼だ。
歯向かえば死ぬ。だから誰も何も言えない。
一つ前の代はそんな上位の貴族に対して注意をしたらしい。当然殺された。
今のご主人様もそんな眼をしている。
この主人なら世界を変えられるかもしれない。
こういうことは全てご主人様に聞いた。
優しくなんでも教えてくれる…
でも。好きになっても叶わない。
身分の差が激しすぎる。
まず無理だ。
夢を持てとはご主人様に言われるが、奴隷にそんなことは無用と突っぱねていた。
しかしある日拐われて初めて…
一つの夢を持った。