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まえがき
とりあえず...
ごめんなさい。
いきなり何!?
と思うかもしれませんが、実は以前、小説を投稿すべき場所を間違えてしまいました。
それゆえ、その場所では第4章で止まっていますが、ここには全話書きたいと思います。
なお、ここにはプロローグから再び転載し直したいと思っています。
ご愛読して下さった方々に、ご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
今回、3月22日に発売が予定されている、「新・光神話パルテナの鏡」について、オリジナルエピソードを考えましたので、読んで頂ければ光栄です。
パルテナを知らない方でも、楽しめる内容になっていると思いますので、より多くの方々に楽しんで頂けることを心より祈っています。
なお、小説の中で「いじめ」「虐待」といった、良くない意味の言葉を使っている箇所がいくつかありますが、それらの言葉が、愛読してくださる皆様方のご気分を害する目的で使われたものではないことを、ご理解頂けますよう、よろしくお願いします。
では「新・光神話パルテナの鏡 エピソードZERO」を、お楽しみ下さい。
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新・光神話パルテナの鏡 エピソードZERO
プロローグ
あなたは「アルカディア伝説」を知っているだろうか?
100万年前に魔法やその技術力で栄えたと言われた伝説の超大陸、そして最も天空に近い場所と言われた伝説の超大陸アルカディア。
そして何よりも耳を疑うのは、そこにそびえるという「運命の塔」の存在である。
運命の塔には数多くの「試練」なる存在が待ち受けており、その全てを乗り越えた者は最上階にて、どんな願いでも叶えることができるという「究極のチカラ」を手にするという。
これが「アルカディア伝説」である。
エンジェル暦 1993年3月22日
炭鉱の町、ここローゼタウンでは、今あることが話題になっていた。
何でも町の炭鉱のひとつから、遺跡らしき建造物が発見されたとのことだ。
しかもその遺跡はアルカディア文明と非常に似ているらしい。
そんな中、おぼつかない足取りで学校に向かう1人の少年の姿があった。
彼の名前は「シュウ」。13歳。
銀髪に端正な顔立ちをした、ごく普通の少年であるが、成績が飛び抜けて優秀なため、クラスメートからは嫉妬され、いじめを受けていた。
放課後、シュウへのいじめの主犯格であるリュウタは、取り巻きのユウキ、シンヤと共に、シュウを「例の炭鉱」に呼び寄せた。
どうやら自分たちで遺跡の謎を解き明かそうと企てているらしい。
シュウはいやいやながらも、彼らについて行く。
リュウタたちはシュウを盾にするようにして、炭鉱に入っていった。
やがて遺跡の扉らしきものが現れた。
付近には暗号らしき象形文字がたくさん刻まれている。どうやらこの文字が扉を開くカギになっているようだ。
大人たちも解けなかった暗号を、シュウはあっさり解いた。
リュウタたちは、このために秀才であるシュウを連れてきたようだ。
扉の奥には祭壇があり、杖のようなものが掲げられていた。
リュウタ「やった。秘宝を見つけたぞ! これはオレのものだ!」
そう言ってリュウタは杖に手を触れた。
その瞬間、遺跡は音を立てて崩れ始めた。
リュウタは杖を投げ捨て、大急ぎで引き返した。
ユウキ、シンヤもあとに続き、シュウもそのあとを追った。
炭鉱の出口にさしかかった時、リュウタたちの目が狂気の色に染まった。
なんとシュウを生き埋めにしようと、し始めたのだ。
シュウ「お願い! やめて! ...苦しい...!」
そんなシュウの声に構わず、リュウタたちは砂をかけ続けた。
ーやがて炭鉱は完全に塞がった。
その日の夜
普段は静かなローゼタウンに激しい雨音と雷音が響いた。
今日はその音にパトカーの警音が混じっている。
おそらくパトカーは、あの場所へ向かっているのだろう。
全ての「発端」となった、あの炭鉱へ...
To Be Continued
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第1章 「新たな敵、現る」
エンジェル暦 2007年3月22日
光の女神パルテナが治めるここ、エンジェランドでは、いつも通りの平和な時間が流れていた。
もう冥府軍との戦いから20年が経過しようとしていた。
少年天使ピットは、まだベッドでぐっすり眠っていた。
やがて、ものすごい勢いで、イカロスが部屋に飛び込んできた。そしてピットを起こし始めた。
イカロス「パルテナ様、隊長、全然起きません...
頑張ったんですが...
いつもの『アレ』、やってくれませんか?」
パルテナ「仕方がないですね。分かりました。」
2人はピットの部屋に向かって行った。
パルテナ「ピット、いつまで寝ているのですか!
今すぐ、起きなさーい!!」
イカロス「うわぁ。相変わらずスゴイ大声。」
ピットはようやく目を覚ました。
ピット「うわぁ。パルテナ様、どうしたんですか?」
パルテナ「今すぐ、私についてきて下さい。
地上で大変なことが起こっています。」
ピット「それって、また冥府軍の奴らですか?」
パルテナ「それが、分からないのです。
何か、胸騒ぎがします。」
パルテナ「ピット、地上の人々の笑顔を絶やしてはなりません。
直ちに地上に赴き、魔物を殲滅するのです。」
ピット「分かりました!」
そう言って、ピットは愛用の神弓を手に飛び降りた。
魔物が氾濫する地上に向かって...
To Be Continued
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第2章 「ナスビ使い...!?」
地上に降り立ったピットは、暴れる魔物の姿を見て驚いた。
ピット「お前は...ナスビ使い...!?」
魔物「グォー!」
ピット「こいつ、喋れないのか?」
魔物はピットを発見すると、いきなり殴りかかった。
ピット「うわっ! こいつ、冥府軍のヤツより動きが速い!」
パルテナ「ピット、私の声が聞こえますか?」
ピット「はい。聞こえています。」
パルテナ「その魔物の弱点は『頭』です。」
ピット「分かりました! ありがとうございます!」
ピットは神弓を引き絞り、矢を放つ。
しかし、魔物は触手で矢を叩き落とした。
ピット「くそぉ。どうやったら当たるんだ!?」
次の瞬間、魔物はピットに向かってビームを撃ってきた。
ピットは飛び上がり、間一髪でそれをかわす。
ピットはそのまま、魔物の上を通り過ぎ、魔物の背後に降り立った。
そして魔物が振り向くより早く、矢を魔物の頭目がけて放った。
矢は魔物の頭を貫いた。
魔物は断末魔のごとき叫び声を上げて、地面に倒れた。
ピット「やった。何とか倒したぞ!」
その時、ピットの背後から何者かが忍び寄ってきた。
ピットは神弓を構えて、振り返った。
そこには...
To Be Continued
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第3章 「コードネームは『J』」
ピットが振り返ると、そこには、フード付きのマントで素顔を隠した謎の男が立っていた。
???「待ってくれ! ボクは魔物じゃない!」
ピットは神弓を下ろした。
???「感動しちゃったよ。ホンモノの天使を見るのは、初めてだ。
ボクは『J』。キミの名前は?」
ピット「ボクは『ピット』。キミたち人間を守るために、この地上に降り立った天使だ。」
J「そうなんだ。キミは以前、冥府軍から人間たちを守ってくれたんだよね。
ボクは歴史が好きでね、特に天使や冥府軍について、調べるのが好きなんだ。」
しばらくの間、静寂が訪れた。
先に口を開いたのはJだった。
J「『A.F.T.社』...」
ピット「えっ?」
J「『アルカディア・フォース・テクノロジー社』。
それが、キミの今回の相手だよ...」
J「話が過ぎちゃったね。ボクはそろそろ失礼するよ。」
ピット「あ、うん。さようなら。」
Jは去っていった。
これがピットとJの初めての出会いだった...
To Be Continued
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第4章 「アルカディアの真相」
エンジェランドに戻ったピットは、パルテナに地上での出来事を伝えた。
魔物のこと、Jのこと...
そして、A.F.T.社のこと...
パルテナ「本当に、そのJという者は『アルカディア』と言ったのですか?」
ピット「はい。正確には『アルカディア・フォース・テクノロジー社』と言っていました。
ところでパルテナ様、アルカディアって何ですか?」
パルテナ「アルカディアとは、100万年前に栄えたと言われる伝説の王国です。
そこは、ここ、エンジェランドに最も近いと言われていました。
アルカディア王国の人々は、その独自の技術力と魔法で、様々な道具を発明しました。
そして、やがて人々は『究極のチカラ』という危険すぎる道具を発明してしまったのです。
究極のチカラがいかに危険であるかを知った人々は、アルカディア王国に『運命の塔』を建て、そこに究極のチカラを封印したと言われています。
私も詳しくは知らないのですが、『アルカディア伝説』に関しては、詳しく調べ直す必要がありますね。」
その日、ピットは眠ることができなかった。
「アルカディア伝説」と、その名を語る企業団体「A.F.T.社」のことが気になっていたからだ。
結局、寝付くことができないまま、夜が開けた...
To Be Continued
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第5章 「A.F.T.社の真の姿 Part1」
次の朝、また地上に魔物が現れたとの情報が入り、ピットは地上に向かう。
地上に向かう直前、パルテナがピットを呼び止めた。
パルテナ「ピット、Jと名乗るその人物には、気をつけなさい。」
ピット「分かりました。」
地上に降り立ったピットは、目の前の光景を目にして驚いた。
なんと、Jがリボルバーを片手に魔物と戦っているのだ。
ピットはパルテナに言われたことを思い出し、Jに加勢するか、少し迷った。
ドーン
その音でピットは我に返った。
ピット「...J?」
J「おっ、ピット君、キミも来てたのか!」
ピット「あの、ひとつ聞きたいことがあるのですが、A.F.T.社はなぜアルカディアの名を語るのですか?
パルテナ様に聞きました。
アルカディアとは、100万年前に天空に最も近い場所として栄えた王国だって。
でも、なぜヤツらがアルカディアの名を語るのか、分からなくて...」
J「そうか、キミたちは何も知らないんだな。
とは言え、地上のほとんどの人間たちもヤツらの真の姿は知らないんだが...
よし、分かった。
説明してやろう。」
そう言って、Jはおもむろに話し始めた。
To Be Continued
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第6章 「A.F.T.社の真の姿 Part2」
J「『アルカディア・フォース・テクノロジー社』は、6年前、ひとりの男のもとに築かれた。
その男の名は『エルデスト』。
エルデストはA.F.T.社を立ち上げたあと、先端技術、石油化学、医療、製薬、金融...など、あらゆる分野で成功を収めた。そしてA.F.T.は世界の頂点に立つ巨大企業となった。
それゆえに世界中の人々からの信頼も厚い。
だがそれはヤツらのオモテの顔。
A.F.T.社の真の姿は『魔物製造工場』だ。
エルデストはどこからか冥府軍のデータを入手し、それをもとに魔物を作り始めた。
魔物製造のために、犬や猫などの動物や、植物、挙句の果てには人間までもが犠牲となった。
やがて、エルデストの魔物製造はエスカレートしていき、ついには自分自身を実験体にするに至った。
エルデストはもはや人間ではない。
魔物だ。
そしてヤツはもう一つ、あるものを発明した。
『アルカディア・フォース・テクノロジー』、その意味は、おそらく、『アルカディア』の『チカラ』を『技術力』で手に入れる、だろう。
エルデストは、アルカディア文明の道具のひとつである『闇の衣』を発明した。
『闇の衣』は、その名の通り、禍々しいオーラに包まれた暗黒の鎧。
それはボクのリボルバーのような並の武器では、歯が立たないほどの守りなんだ。
だが『闇の衣』には唯一の弱点がある。
それは、かつて神々が残したという武器、『神器』の前では無力化するということだ。
だが普通の人では神器を手にしても、そのチカラを100%引き出すことができない。
ピット君、キミのチカラを貸して欲しい。
キミは以前、神器を使って冥府軍を倒した。
だからキミには神器のチカラを引き出すチカラが備わっているはずだ。
今、こうしている間にも、たくさんの動物や植物、人間が犠牲になっている。
エルデストを倒せるのはキミだけなんだ。
どうだろう?
ボクに協力してくれないか?」
ピットは少しの間、黙り込んだ。
そしてこう答えた。
ピット「地上の人々を守るのは、ボクの使命だ。
だから、協力するよ。」
To Be Continued
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第7章 「特訓の日々」
J「本当か! ありがとう、ピット君!」
ピット「ところで、そのエルデストってヤツはどこにいるの?」
J「ああ、まだ言ってなかったな。
A.F.T.社の本拠地は『ロストエターナル島』というところにある。
絶海の孤島だが、かつて炭鉱で栄えた町があった場所だ。
その本拠地の地下に、『A.F.T.社 生物化学主要研究所』というところがある。
ヤツらはそこで生物実験を行い、魔物を製造しているんだ。
エルデストはそこにいる。」
ピット「じゃあ、今すぐそこに言って実験をやめさせないと。」
J「いや、まだだ。
ピット君、キミはエルデストと戦わねばならない。さっきも言ったが、ヤツは魔物だ。
他のどんな魔物よりも強いだろう。
ピット君、キミは昨日のナスビの魔物に少なからず苦戦していたね。
だからキミは、もっと強くならねばならない。
もちろんボクも強くならねばならない。
すぐにでも実験をやめさせたい気持ちは分かるが、ピット君、キミがエルデストに負けてしまっては意味がない。
だから、しばらくの間、A.F.T.社の魔物を相手に、戦いの練習をしよう。」
ピット「...そうだね。ボク、もっと強くならないと。」
次の日から、ピットはJとともに魔物と戦い、戦闘の腕を磨いた。
特にピットは、正面突破的な戦い方をJに注意されることが多かった。
それに対し、Jはまるで戦神のごとく、次々と魔物をさばいていった。
やがて、2人の息は合うようになり、魔物にもほとんど苦戦しなくなった。
J「ピット君、だいぶA.F.T.の魔物との戦い方にも慣れてきたみたいだな。」
ピット「Jこそ、人間なのに相当強いよ。
ボク、Jが戦うところを初めて見た時、びっくりしちゃった。」
J「そうか、褒めてくれてありがとう。
ピット君、もう十分練習したし、強くなっただろう。
そろそろ研究所に乗り込まないか?」
ピット「うん、そうだね。早くしないと取り返しのつかないことになっちゃう。」
J「よし、じゃあ、明日ロストエターナル島に向けて出発しよう。今日はゆっくり休むといい。」
ピットはエンジェランドに戻り、深い眠りに落ちた。
次の朝、ピットはパルテナにこう告げて、地上に向かった。
ピット「パルテナ様、A.F.T.社を倒してきます。
安心して下さい。人々の笑顔はボクが守ってみせます。」
To Be Continued
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第8章 「Jの作戦」
J「ピット君、来たね。では今からボクが考えた作戦を説明する。
まず、ここからボートでロストエターナル島に向かう。
ロストエターナル島に着いたら、炭鉱の町があるから、そこを通って奥の森に抜ける。
森の中を少し歩くと、A.F.T.の本社ビルが見えてくるから、警備員に気づかれないように侵入する。
ここからが肝心だぞ。
A.F.T.の地下研究所の入り口は2つある。
ひとつは正面玄関、もうひとつは資材搬入口だ。
正面玄関から入ると、捕まえてくれとでも言うようなものだ。
よって、資材搬入口から侵入する。
資材搬入口は警備員も多いが、コンテナや輸送機に身を隠しながら移動できる。
資材搬入口を抜けたら、空調設備用のダクトを使ってB4Fにある、中央警備室に向かう。
そこでマスターキーを入手したら、またダクトを使って、今度はB7Fの魔物実践試験用コロシアムに行くんだ。
エルデストはそこにいるはずだ。
新たに作った魔物の実践試験をお高く見物でもしているだろう。
ピット君、そこに着いたらボクと別行動を取る。
キミは迷わず、エルデストを叩け。
ボクは他の警備員どもを引きつけておく。
キミは心おきなくエルデストと戦ってくれ。
作戦は以上だが、質問はあるか?」
ピット「ないよ。分かった、その作戦で行こう。」
J「もし分からないことがあれば、あとから聞いてくれても構わない。
では今夜、ロストエターナル島に向けて出発しよう。」
To Be Continued
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第9章 「海上での攻防 Part1」
ロストエターナル島を目指して、ボートで出発してから数時間が経過していた。
ピットはふとあることが気になり、Jに質問した。
ピット「Jって、何でいつもフードで顔を隠してるの?」
Jは少し焦ったが、落ち着いてこう答えた。
J「いや、ボクはいわゆる『恥ずかしがり屋』なんだ。このフードを被ってると、なぜか落ち着くんだよ。」
ピット「そうなんだ...
もう一つ質問があるんだけど...」
J「何かな?」
ピット「JはどうしてA.F.T.社に、そんなに詳しいの?」
J「ボクはあの手この手でA.F.T.について、徹底的に調べ上げた。
戦う前に敵の情報を探っておくのは、当然のことだろう?」
ピット「あっ、うん。そうだね。」
しばらく沈黙が訪れた。
だが、突然、沈黙を破るように音を立て、海から謎の生命体が姿を現した。
To Be Continued
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第10章 「海上での攻防 Part2」
謎の生命体は徐々にその実体を現した。
ピット「なんだ、これは!? タコ?」
タコのような姿をした魔物は、ピットたちのボートを攻撃してきた。
やがて、タコの魔物の周りが渦を巻き始めた。
ピット「うわっ!」
J「ピット君、ボートの操縦はボクに任せて、キミはあいつと戦うんだ。
あいつの弱点は目だ。
的は小さいが、キミならできる。
特訓の成果を出すんだ!」
ピット「了解!」
ピットはすぐに神弓をタコに向けて構えた。
矢を放つが、的が小さい上にボートがタコの周りをグルグル回るので、なかなか矢が当たらない。
J「ピット君、肉眼ではなく心の目、すなわち『心眼』でヤツの弱点を見るんだ!
そこを撃ち抜け!」
ピット「心眼... よし!」
ピットは静かにまぶたを閉じた。
そして、頭の中でタコの魔物をイメージした。
ピット「はっ。そこだ!!」
ピットは矢を放った。
その矢は見事にタコの左目を撃ち抜いた。
タコの魔物は悲鳴を上げて暴れ回る。
ピット「うわっ!」
J「いいぞ、右目もやってやれ!」
ピット「よし!」
ピットは再びまぶたを閉じる。
そして再び矢を放った。
矢は見事に右目に命中し、タコは叫び声を上げて、海に沈んでいった。
だが、2人の戦いはまだ始まったばかりだった。
2人はこれから、もっと強大な敵と戦わねばならない。
そう、企業帝国A.F.T.を統率する、魔王エルデストと戦わねばならないのだ...
To Be Continued
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第11章 「滅びし村の記憶 Part1」
2人を乗せたボートは、やがてロストエターナル島の海岸に辿り着いた。
J「ここからは歩いていくぞ。」
ピット「うん...」
時間は既に夜更け
島は不気味なほど、静まりかえっていた。
やがて、2人の前に瓦礫の山が現れた。
かつてはそこに人が住んでいたと思わせる場所であった。
ピット「...もしかして、ここがJの言っていた炭鉱の町?」
J「...ああ、そうだ。」
Jはかすかに震えていた。
ピット「J、どうしたの?」
J「いや、何でもない。ちょっと寒気がしたんだ。
キミは大丈夫か?」
ピット「ボクは平気だよ。」
2人は瓦礫の山をかき分けて進んでいった。
やがて一軒の家が現れた。
かろうじて建ってはいるが、今にも崩れそうだった。
2人は、その家の前を通り過ぎようとしていた。
その時である。
突然、家の扉が開いて、中から老人が出てきた。
???「ほう、こんなところに客人とは珍しい。
お前さんたち、どこから来なすった?」
ピット「ボクたちは...」
ピットは少し、言葉につまったが、こう言った。
ピット「ボクたちは、A.F.T.社を倒すために、はるばる海を渡ってきました。」
老人は少し戸惑った様子で、こう言った。
???「A.F.T.を倒す...?
お前さんたち、悪いことは言わん。やめておきなさい。
ヤツらのことを少し知ってしまっただけで、この有様じゃ。」
ピット「何かあったんですか? この町で。」
???「ああ、とりあえず中に入りなさい。
そこで話をしよう。」
老人はそう言って、家の中に案内してくれた。
???「おお、紹介がまだじゃったな。
わしはこの村の村長、ラファと言う者だ。
そして、ここが...」
老人は言葉につまって、こう続けた。
ラファ「かつて炭鉱で栄えた町、ローゼタウンだ。」
To Be Continued
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第12章 「滅びし村の記憶 Part2」
ピット「それで...ラファさん、一体ここでなにがあったんですか?」
ラファ「話せば長くなるが、聞いてくれるかね?」
ピット「はい。」
ラファは深いため息をついて、話し始めた。
ラファ「すべてが狂い始めたのは、忘れもしない14年前のあの日のことだ。
かつてこの村には、孤独なひとりの少年が住んでおった。
その少年の名は『シュウ』。
幼い頃、彼は親に虐待され、捨てられた。
その後、彼は孤児院に入ることになったんだが、虐待のせいか、人一倍人見知りが激しくてな、シュウは孤児院での生活に馴染めず、学校でもいじめられることが多かった。
だがあの子は、わしには なぜかなついてくれてな、よく遊んでやったもんじゃ。
『ボクは生まれてきちゃ、いけなかったの?』
それがあの子の口癖になっていた。
わしはシュウが可哀想でな、孤児院にシュウの親にさせてもらえるよう、催促してやった。
そして、1993年3月23日に、わしは正式にシュウの親になることになったんじゃ。
シュウは本当に喜んでおった。
わしはあの時、初めてあの子の笑顔を見たんじゃ。
だが、予想だにしないことが起こった。
わしがシュウの親になる前日、3月22日にシュウをいじめる悪ガキが、町のある炭鉱に連れていったんじゃ。
それだけでは、まだ良かった。
何があったかは知らんが、炭鉱が崩れ落ちてな、シュウが中に閉じ込められてしまったんじゃ。
悪ガキどもは何も知らんと言うし、孤児院からは夜中になっても帰らんって電話がかかってきた。
わしはすぐに警察を呼んで、炭鉱を調べてもらったんじゃが、驚くことに炭鉱を塞いでいた瓦礫の山は吹っ飛んでおった。
シュウは自力で脱出したんかと思ったが、結局14年経った今もシュウは行方不明のままじゃ...」
そう言ったラファの目に、次第に涙が溢れた。
ラファ「わしはシュウは必ず帰ってくる、そう信じておった。
だが、現実は厳しかった。
1日、また1日と日が経つにつれ、わしはシュウの死を悟った。
あと1日...あと1日さえあれば、わしはシュウを幸せにさせてやった...
わしはシュウの死を悟ってから、自分の無力さを呪った。
あの時、シュウを守れなかった...
守ってやることができなかった...」
そして、ラファは号泣した。
ピット「ラファさん、落ち着いて。」
Jはまだ震えていた。
ピット「J、まだ寒気がするの?」
J「いや、大丈夫だ。ピット君、気遣ってくれて、ありがとう。」
ラファは、少し落ち着いて話を続けた。
To Be Continued
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第13章 「滅びし村の記憶 Part3」
ラファ「シュウが行方不明になってからは、この村では災い続きじゃった。
炭鉱では、石炭が採れんようになるし、宝石も採れんようになった。
だが6年前、このローゼタウンに希望の光が射し込んだ、かのように見えた。
『エルデスト』と名乗るひとりの男が現れ、このローゼタウンの裏にある森の一部に会社を建てたい、と言うてきた。
あの時、断っておけばよかったが、もともとローゼタウンは工業の発達していない小さな村。
皆は大喜びで賛成した。
やがて、A.F.T.社が設立され、世界でも有名になり始めた。
ある時、村の子供がひとり、森の中で迷子になってな、その子はローゼタウンとは逆方向にあるA.F.T.社に辿り着いたそうじゃ。
そして見てしまったんじゃ。
A.F.T.社が実験体を地下研究所に搬送するところを。
やがて、A.F.T.社は秘密を知った者はひとり残らず排除する、と言って、魔物をけしかけてきた。
わしらは、謝るが、子供のしたことだから許してやれ、と言うてやった。
だがA.F.T.のヤツらときたら、聞く耳を持たなんだ。
村の者たちは、皆果敢に送り込まれてくる魔物と戦った。
だが、A.F.T.社は無尽蔵に魔物を送り込んだため、村の者は、ひとり、またひとりと倒れていった。
そして残ったのは、わしだけになってしもうた。」
そしてラファは再び泣き崩れた。
ラファ「わしは... わしは...
ついには村の者も、シュウも守れなかった...」
しばらくラファの泣き崩れる声が響いた。
やがてピットが口を開いた。
ピット「ラファさん、あなたの無念は必ずボクたちが晴らします。
ボクとJは、今までにも数多くの魔物を倒してきました。
ラファさん、ボクたちに、行かせてくれませんか?」
ラファは、しばらくしてから、床に手をついた。
そしてこう言った。
ラファ「頼む! どうかわしらの無念を晴らしてくれ! 頼む!」
そしてラファは、ひとつの袋を差し出した。
ラファ「それには薬草が入っておる。もし良ければ使ってくれ。」
ピット「ありがとうございます。いただきます。」
そしてピットたちは、ローゼタウンをあとにした。
To Be Continued
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第14章 「侵入開始!」
2人は森を抜け、A.F.T.本社ビルに辿り着いた。
J「警備員があっちに行った。今だ!」
Jのその合図で、2人は搬入口に侵入した。
コンテナに隠れながら警備員をかわし、やがてダクトの中への侵入に成功した。
J「ふう、一安心だな。
そういえばピット君。
キミはこういう近未来的な施設を舞台に戦うのは、初めてじゃないか?」
ピット「うん、そうだよ。」
2人は狭いダクトの中を進み続け、やがてエレベーターシャフトに辿り着いた。
J「よし、今ボクたちは1階にいる。
ここからB4Fまで降りるから、落ちないように気を付けるんだぞ。」
そしてピットたちはエレベーターシャフトをB4Fまで降りた。
再び狭いダクトを通る2人。
突然、前を行くJが止まった。
J「よし、着いたぞ。この下に見える部屋が『中央警備室』だ。
ラッキーだ。警備員がひとりもいない。
ここはピット君、キミに任せよう。
あそこにある黒い小さなものが見えるか?」
ピット「うん、見えるよ。」
J「あれが、この研究所のマスターキーだ。
あれを取ってきて、もう一度このダクトに戻ってくるんだ。
翼のあるキミなら、簡単だろう?」
ピット「うん、じゃあ、今のうちに取ってくるよ。」
そしてピットは部屋の中に降り立った。
ピットはまっすぐマスターキーに向かって行く。
そしてピットがマスターキーを取ろうとした、次の瞬間、警報が鳴り始めた。
ピット「えっ、何!?」
J「しまった! ピット君、早くそれを取って、ここに戻るんだ。」
だが、ピットがダクトに戻るより早く、警備員が駆けつけた。
警備員「見つけたぞ、侵入者め。」
ピット「くそぅ... はっ、J、これを受け取ってくれ!」
ピットはそう言って、マスターキーをダクトにいるJに向かって投げた。
Jはそれをキャッチした。
警備員「もう1人いたのか! よし、まずはこの天使を連れて行け。」
警備員たちはピットをどこかに連れて行こうとした。
J「お前ら、待て!」
警備員「おっと、お前の相手は、この俺だ。」
To Be Continued
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第15章 「ハプニング発生!?」
警備員はJに殴りかかった。
Jはひらりと身をかわす。
J「お前などに用はない。さっさと引っ込んでろ。」
Jは回し蹴りを放った。
それは見事に警備員の腹部に命中し、警備員は気絶した。
J「ふぅ。だがこうしちゃいられない。早くピットを助けなければ!
でもこの広い研究所で、手探り上達で探すのは、ちょっと無理だな。」
Jはふと、警備室のコンピュータに目をやった。
J「そうだ!」
Jはコンピュータを操作し始めた。
そして研究所のマップをダウンロードした。
J「よし、これがあれば...
あいつらの行きそうな部屋といえば、ここだな。
B6F 『主要生物実験室』!」
Jは部屋を出て、マップを頼りにB6Fを目指した。
To Be Continued
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第16章 「奇跡の救出劇」
眩しいほどのライトに照らされた部屋で、ピットは目覚めた。
ピット「うぅ、ここは?」
ピットは自分がカプセルに入れられていることに気づいた。
向こうから、話し声が聞こえてくる。
ピット「...! 誰かくる!」
ピットは目を閉じて、眠っているふりをした。
研究員「ほう、こんな珍しい実験体は初めてだ。
よし、早速この天使で魔物を作ろう。」
警備員「大変です! 先ほどのフードのヤツがこっちに向かってます!」
研究員「安心せい。そうくるだろうと思って、この主要生物実験室の前に、警備員を全員配置した。」
ピット「...J! 来ちゃダメだ!」
ピットは心の中で叫んだ。
研究員「それに、この天使のDNAはすでに採取済みだ。
別にもう救出されても構わんよ。」
その頃Jは主要生物実験室の前の廊下で、物陰に身を隠していた。
J「くそぅ、あれじゃ中に入れない。」
Jは考え込んだ。
J「考えていても、しょうがない。
今は一刻を争う状況なんだ。
少々強引だが、これで行くか。」
Jは警備員の群れに突っ込んでいった。
警備員「いたぞ。捕まえろ!」
Jは警備員を引きつけ、華麗なジャンプで警備員の群れを飛び越えた。
警備員は勢いあまって、前のめりに倒れ込む。
J「よし、やった。」
Jはマスターキーで実験室に入った。
J「ピット! 大丈夫か?」
ピット「J! 無事だったんだね!」
J「ああ、今助けてやるからな。」
Jはピットをカプセルから出し、実験室をあとにした。
警備員「良かったんですか? ほっといて。」
研究員「さっきも言っただろう? DNAは採取済みだと。」
Jはピットを抱え、B7Fへの階段を駆け下りた。
To Be Continued
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第17章 「大乱闘!」
JとピットはB7Fの実践試験用コロシアム前の部屋に、ようやく辿り着いた。
Jはピットをベンチに寝かせると、急いでマスターキーを使い、部屋の扉をロックした。
J「ピット君、大丈夫か? 何もされていないか?」
ピット「あっ、うん。ボクは大丈夫だけど、ボクのDNAが採取済みとか言ってたよ。」
J「何だって!?」
突然、扉を叩く音が聞こえた。
J「ピット君、話している時間はなさそうだ。
身体は大丈夫なんだな?」
ピット「うん。大丈夫だよ。」
J「よし、この作戦の最終段階だ。
この先にコロシアムがある。エルデストがいるはずだ。
ボクはここでヤツらを食い止めて時間を稼ぐから、キミはこの先のコロシアムに行くんだ。」
ピット「でも、Jが...」
J「ボクなら大丈夫だ。ピット君、グッドラック!」
ピットはコロシアムに向かって、走り出した。
と同時に扉が破壊され、大量の警備員が流れ込んできた。
警備員「さっきはよくもやってくれたな。
今度はスペシャルゲストを呼んでやったぞ。」
2人の男がJの前に姿を現した。
J「幹部のディオンとキルバか。
いいだろう。2人同時に相手してやる。
かかってこい。」
警備員「こいつ...!」
ディオン「まあ、いいでしょう。」
キルバ「そうだな、あとで泣くのは、こいつだ。」
そして2人は同時にJに斬りかかった。
シャキーン...
鋭い音でピットは振り返ったが、Jに言われたことを思い出し、そのままコロシアムに向かった。
To Be Continued
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第18章 「A.F.T.社の『新製品』」
ピットはコロシアムに辿り着いた。
コロシアムの2階に、黒いオーラをまとったひとりの男が立っていた。
ピット「...見つけたぞ、エルデスト。」
男は振り返った。
エルデスト「ほう、あなたがこの騒ぎの原因を作った天使ですか?
ですが、あなたのおかげで、『優秀な魔物』を作ることができました。」
ピット「何だと! なぜ魔物なんか作るんだ!?」
エルデスト「それはもちろん、『世界征服』のためですよ。
世界の全てを、我がものにするためです。」
ピット「お前のためだけに、たくさんの生命が犠牲になったんだ! それが分かっているのか!?」
エルデスト「もちろんです。彼らは私のために『生け贄』となったのです。
無論、ほとんどは使い物にもならない『クズ』でしたが。」
ピット「何だと!?」
ピットは怒りに我を忘れ、神弓をいっぱいに引き絞り、矢を放った。
矢はエルデストの黒いオーラを吹き飛ばした。
エルデスト「貴様...! 優しく接してやっていたというのに、調子に乗りやがって!」
エルデストは少し落ち着いて話し始めた。
エルデスト「仕方がないですね。
あなたのようないけない子には、罰が必要です。」
そう言って、エルデストはスイッチを押した。
と同時に、上からピットにそっくりな黒い天使が舞い降りた。
エルデスト「これはキミから採取したDNAで作った魔物。」
エルデストは少し間を置いて、こう続けた。
エルデスト「紹介しよう。
我が社の新製品、『ブラックピット』だ!」
To Be Continued