ワザップ!フォーラム
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「バレンタインデイ・ラヴ」
暗黒世界には甘味料はありませんよ。
今日はバレンタインデー!
日本一のアイドル歌手、「松田松任谷斉藤森口娘。」のスペシャルライブだ!
しかし忠盛はそんな事は関係なかった。
彼は高校の職業体験で、無免許の癖にバス運転手をやらされていたのだ。
しかし無免許ってのは良いもんだ。
朝から、学校に行く代わりに体験先に行き、朝礼を受ける。
「おはよう、ヤマトの諸君」
血液が突然変異で青くなり、皮膚も応じて青くなる、ガルマン・ガミラス帝国病に犯された社長が、
壇上から社員一同を見下ろした。
だが、出勤しているのは、言葉を満足に喋れない知的障害者と、忠盛だけだ。
「他の奴はどうしたんだ」
「……」
「まあ良い、今日は東京の新宿駅前から、さいたまんこくぱアリーナに特別バスを出す」
「アアアアアアア」
知的障害者がラジオに飛び掛った。
「な、何だ!」
「今流れている音楽はバッハの『主よ私に糞尿を』ですね!」
「そうなのか?」
ラジオから流れている音楽をこの障害者は当てたのだ。
忠盛はこの障害者が誰だか気付いた。
「大江光!」
「な、何だって、こいつはノーベル文学賞を取った大江健三郎の息子で知的障害者の大江光なのか!」
社長は十五年も雇用していたのに、全然気付いていなかった様子だった。
「だって、履歴書にはイーヨーって書いてるから別にイーカーと……」
そんじゃ仕方ないね。
「よし、忠盛君には特別バスの運行を頼む……」
そんな訳で、忠盛は大型観光バスに乗り込み、道中十数台の車を弾き飛ばしながら、
新宿駅前のバス乗り場までやって来た。
『松田松任谷斉藤森口娘。 バレンタインスペシャルライブ!さいたまんこくぱアリーナ』
そう書かれた札が乗り場に掲げられ、既に異様な集団がその下で待っていた。
「うほああっ、ら、ライブ楽しみだなあ、忍者クン!」
「はい!サカナさん!」
フグの被り物もしていないし口調も違う、サカナさん。
そして全身黒ずくめの、首から下がコナンの犯人みたいで顔はジョン=F=ケネディな忍者クン。
彼らが列の最先頭だった。
「サカナさん、バスが来ましたよ」
「ど、どおおおしてええええええええ!?どうふっ、どほおっ、どして?どして?」
「乗れば分かりますよ!」
バスの出入り口が開き、多種多様な人が乗り込んでくる。
「ご乗車頂き有難うございます、さいたまんこくぱアリーナ行きライブ編成急行バスです」
「うほおお、運転手さん若いねえ」
「無免許みたいですね!」
「い、いいいいいいんんじゃないのおおおおおおおおお!?」
ああ、面倒な奴らだ。
そう思いながら、忠盛は、予定されていた客が全員乗り次第発車した。
しかし社内は修学旅行生のバスよりも酷い。
肥満者が多いので空調は聞かず、しかも各々がIpodだのWalkManだので
松田松任谷斉藤森口娘。の音楽を流すので、まったくアナウンスも通らない。
『わたしはっ十五歳、自慰は大好き、みんなに私のアソコ見られて気持ちいいの♪』
一番酷いのは、オタ芸が始まったことだった。
『わたしはっ(ハイハイ!)十五歳(ラブリー!)自慰は大好き(ビッチ!)』
「乗客の皆様へお願い申し上げます、走行中は危険ですので席をお立ちになりません様……」
「そしたらオタ芸できねえじゃねえか!」
「そうだそうだ!」
「みんな、どう思う!」
「悪い!俺たちは席を立つぞ!」
「みんな、おどろうぜ!」
そうだ、確かに一理有る。
なので忠盛は客の自由にした。
しかし客の方に気をとられていたので、前を見たら、フロントガラスに血の跡が沢山ついている。
「ふぁ、ふぁああああああ、ファンキーなバスですね忍者クン、もはああっ」
「そうですね、!とってもファンキーですね!」
もはやバスの中は解放区だ。
備品はもぎ取られ、カスタネットの代わりの様になっている。
「ビッチ!ビッチ!ビチビチビッチ!」
「もっと脱げ!もっと脱げ!」
「松田松任谷斉藤森口娘。ファンクラブの連中ってこんなのばかりなのか?」
だったら入りたいなあ。
そう思っていたその時には高速の料金所を無払いで突破していた。
しかも直ぐそこに高速の高架に上るための急カーブがある!
「お客様へお知らせします、急カーブです、お喜びください!」
「ヒャッハアアアアア!ビイイイッチ!ハイ!ビイイイッチ!」
意味不明のオタ芸を始める五十数名の乗客は、急カーブによる圧倒的な圧力の変化にも負けない。
「むふぁあああああああ!忍者クン!この感覚、車酔いですなああ、オボオオオエエエエエエッ」
「ギャア!汚いですよサカナさん!」
バス内にゲロが飛び散る。
だが、シャネルの五番の香りがするので誰も文句を言わない。
「ザーッ、ザザーッ……こちらオペレータ兼社長、調子はどうだね」
「バッチシですよ、無免許も楽しいですね」
「そうだろうそうだろう」
「光君はどうしました?」
「家に帰ってラジオでも聞いてるだろう」
「ワーオ」
さて高速パトロール隊の白バイをグチャンと轢き、走りに勢いが出た所で、
さいたまんこくぱアリーナ最寄のICが見えてきた。
しかしこんなのに素直に構う忠盛じゃあない。
側壁を突き破り、真下の県道に直に下りようとした。
しかしそこは幼稚園の園庭……。
「もはああっ、忍者クン、外で幼稚園児の死体が飛んでますよっ、おほお」
「壮観ですね!自慰したいな!」
「私の顔に掛けて下さい、むはあああああああ!」
そんなこんなで遠くにさいたまんこくぱアリーナが見えてきた。
「皆様、お疲れ様でした、まもなく、さいたまんこくぱアリーナです」
乗客は皆拍手した。
一人の死者も出さず(乗客側)、相応しいルートを選び続けて走った忠盛へ、
最大の賛辞が送られたのだ。
「ああ、仕事の喜びって、こう言う事なんだな」
忠盛は、この職業体験で、初めて喜びと言う物を覚えた。
そうだよ忠盛、お客様に喜んでもらえるって嬉しいよね。
そうやって皆、自分の仕事に誇りを持つんだよ。
みんなも自分と仕事の繋がりを感じて、社会のために貢献できる人になろうね。
さて乗客たちはバスを降りると、チケットも出さずに場内に乱入した。
十万人入るさいたまんこくぱアリーナは超満員で、
さっきのバスよりも酷い状態だ。
「みなさーん!松田松任谷斉藤森口娘。でーす!お元気ですかー?♪」
「ゲンキ!ゲンキ!アソコがゲンキ!」
一糸乱れぬオタ芸!
忍者クンの顔も晴れ晴れとしている!
「それでは最初の一曲、行ってみよー!♪」
「ワアアアアアアアアア!」
『十五歳の自慰伝説』松田松任谷斉藤森口娘。
作詞・バプテスマのホアン
作曲・ガーシュウィン
合いの手・ファンクラブ
わたしはっ(ハイハイ!)十五歳(ラブリー!)自慰は大好き(ビッチ!)
みんなに私のアソコ見られて気持ちいいの♪(ビッチ!ビッチ!ビチビチビッチ!)
学校では性教育(ジェンダー!)、外では雑誌(ゴシップ!)、乙女の敵はいっぱい♪
さあ、みんな、スカートもズボンも下ろして!♪(ハアアアアイ!)
自慰!自慰!みんなでみんなで自ー慰!自慰!自慰!みんなでみんなで自ー慰!
自慰!自慰!みんなでみんなで自ー慰!自慰!自慰!みんなでみんなで自ー慰!
みんなー、ハッピーかなー?♪(ベリベリハッピイイイイイイ!)
私もハッピーだよおおおおおおおおお!♪(イエエエエエエエエエエエイ!)
ここまで来て、十万人の観客は我慢できなくなり、中央のステージに突撃した。
「ハッピイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」
松田松任谷斉藤森口娘。は体が破裂し四散した。
忍者クンの手元に松田松任谷斉藤森口娘。の頭がすっ飛んできたぞ。
「あっ!頭だ!」
キスをした。
「ハッピー……」
いつまでもいつまでも余韻の残る、青春の一ページだった……。
(続けよ)
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「NINJA IN EVA」
暗黒世界にはガイナックスはありませんよ。
忠盛は今日は映画を見に来た。
しかもアニメ映画だぞ、凄いだろ。
「すいません」
「はい」
「エヴァンゲリ・ラウバル、学生、一枚」
「学生証をお見せください」
「持ってるわけねえだろブス」
「どうぞ」
そうして映画館に入り、五百メートルを疾走した。
見ろよ、牛のウンコまみれだ、良い匂いがする。
そんな牛のウンコを集めている清掃員の方がいました。
「忍者クソ!」
「おひょっ、おひょおう」
「失語症になったのか」
「うひあひい」
「コーラ飲むか」
「ぐひい」
ジャブジャブジャブジャブ
おいしいか、俺のコーラ
スペルマは入れてないぜ、残念か、そうか
「ああ美味しかった」
「喋れるようになったな」
「何を見に来たんですか」
「エヴァンゲリ・ラウバル」
「ラバウルですか、日本軍も良く耐えましたよ」
「お前も来いよ」
「チケット一枚しかないでしょう」
「どうせオタクが大挙してるんだ、一人くらい殴って席を譲らせよう」
E列12番席が忠盛の席だった。
その隣の13番には、押井守が座っていた。
「このアニメは良くないよね、だって個人の妄想でしょう、殆ど。
ほら、今、エヴァンゲリ・ラウバル初号機が出てるよね、でアレに乗ってる
マギー信司のさ、台詞を聞いてみろよ。
『逃げても良いんだ あいだみつを』
やっぱりさ、監督の精神を表してるよね。うんこなんだよね、うんこ。
それにさ、彼を取り巻く女性。
酷いね、あのアバズレども。トラウマ女に失語症のクローン女、臭そうな29歳女性。
金髪の校則違反。ストリーキングが趣味。
ところで僕の作った映画で甲殻機動部隊24時新宿乱闘編てのがあるんだけど」
「そこをどけ」
押井守の頭にロケットランチャーが突きつけられた。
「誰、誰なのあんたたち」
「KKKだ」
忠盛がロケットランチャーを発射したので、映画館のスプリンクラーが作動し、
映画館は水浸しになった。
しかも止まらない。
アーアアーあーあーあーあーーあーーあーー
映画館は水没し、地球が水没し、無限に増大する水は宇宙を占領していく
そして大いなる大徳の御許までをもぬらし
「この映画面白いっすねえ」
前話で死んだアイドルの生首を抱えながら、忍者クンは自宅で映画を見ていた。
「でも、これのどこがロシア革命なんだろう」
「その秘密はね」
「あっ、ジャムおじさん!」
「私をファックしてくれたまえ」
「良いの?」
「痔だが構わん」
尿道に触れる痔の感触。
忍者クンはそっと突き入れた。
「おほおっ」
その時、ニカラグアからサンディニスタ解放戦線が到着し、
忍者クンの背後に迫っていた。
「〜〜〜〜〜!」
「悪いけどスペイン語分らないんです」
「〜〜〜……」
解放戦線は帰っていった。
おめでとう、忍者クン、君は日本を共産主義の侵略から守ったのだ!
おめでとう!おめでとう!
おめでとう!
「ぼくは、ぼくでいいんだ」
(うんこ)
※ホアンはエバンゲリオンも甲殻機動隊も殆ど見た事がありません(前者はエロ同人なら見た事あります)
※ホアンはアナルファックを正当な避妊方法としては見ていません
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「ハードボイルドはダンステリア」
暗黒世界にシンディ・ローパーはたくさん居ますよ。
http://www.youtube.com/watch?v=0K4Kv2LfdmU
ギュウウウルルルルテーレッテレー♪テーレッテーレーテーレッテレー♪テーレッテーレー♪
シンディ・ローパーの英語が多くて分りにくい題名の大ヒット曲が流れ始めた。
「うるせえぞ」
「ゴメンナサイ」
「分れば良いよ」
そう言ってから忠盛はケンタッキーフラインドチキンへ入った。
「あれれ」
店員も客もみんなシンディ・ローパーだ。
困ったな。
香水臭いぞ。
しかも午後になると遊び出すんだ。
それでデブのオカンとオトンを泣かせてる。
酷い女だなあ。
そんな事は考えず、忠盛はカウンターに並んだ。
「イラッシャイマセGirls Jusut Want To Have Fun」
「うん」
「ゴチュウモンヲドウゾGirls Jusut Want To Have Fun」
「あのー、そうだな、お勧めは」
「コレナンカイカガデス?Girls Jusut Want To Have Fun」
「えっ、忍者クンのフライ?」
「ハイGirls Jusut Want To Have Fun」
「じゃあそれ一つと、あとポテトフライを二百個」
「ハイ、ゴチュウモンハイジョウデスカGirls Jusut Want To Have Fun」
「うん」
「1ドル25セントニナリマスGirls Jusut Want To Have Fun」
「毛唐の金なんか持ってねえよアホ」
そう言って忠盛は金を払わなかった。
しかし店長のシンディ・ローパーが自分のMTVに見蕩れていた為、見過された。
さて忍者クンのフライとポテトフライ二百個を持った忠盛は店の二階に上がると、
窓を割って、外部のホームレスを呼び集めた。
「私はジョン・ウィルクス・ブースだ!これよりポテトフライの配給を行う!」
二百個分のポテトフライを窓からばら撒くと、ホームレスたちは一列に並んで、
地面に無残に落ちたポテトフライを一本一本掴んで行き、
それを靖国神社に持っていった。
そうすると靖国神社で英霊おみくじをやらせてくれるのだ。
一等は征夷大将軍位。
二等はAKB48のウンコ(ランダム)。
三等は6億円。
ポテトをばら撒き終えた忠盛は、忍者クンのフライと対面した。
「うまそうだなあ」
「僕を食べないで」
「ケチャップは無いのか」
「ボクは作曲家なんだ」
「じゃあ俺が食べ終えるまで何か曲を歌ってくれ」
「歌手じゃなくて作曲家dンングウウッンゴッ」
忍者クンはほお張られ、忠盛の胃に収まった。
「アアアアア!酸ガアアアア!」
胃から音がする。
「アツイヨオオオオ」
「仕方ねえなあ」
忠盛は嘔吐した。
大江健三郎の作品みたいに、ドハデにだぜ。
Boys be ゲロ。
さすがクラーク博士。
えっ。
クラーク博士が来てるの。
「やあ忠盛君」
「あんた誰」
「クラークだよ」
「ああ、クラーク・ケントか」
スーパーマンのクラークでした。
失礼しました。
「本当だよ、何がクラークだよ!え!人間違いも良い所だ!」
「まあまあ」
「罰として、君の吐いた忍者クンを食べさせてもらう!……あれ、忍者クンは?」
忍者クンは、フライの衣の部分だけが解けたおかげで、自由の身になったのだ。
そして外へ脱出したのだった。
「ボクは自由だ……自由だあああああ!」
「自由 is freedom♪自由 is freedom♪」
どこかで聞いた、しかしインチキくさい歌が聞こえる中、
忍者クンは新潟まで踏破し、そこで貨客船に乗った。
「ボクは佐渡に行くんだ……そして、世阿弥の後継者になるんだ……」
ところが忍者クンはマンギョンボン号に乗っていた。
ダメだなあ。
「〜〜〜〜!」
「ハイハイ、ボクは佐渡に行きます」
「〜〜〜〜〜〜〜!〜〜〜!」
「何いってるか分らないな、ところでその人民服素敵ですね、YMOですか」
「〜〜〜〜!〜〜〜!YMOは良いよねー」
「だよねー」
「〜〜〜〜〜!本当はいけないんだけど佐渡に連れてってあげるよ」
「ありがとう」
マンギョンボンは佐渡に舵を切った。
地平線の彼方の太陽が忍者クンとマンギョンボン号を美しく照らした……
夢を願う全ての若者に幸あれ!
ところで忠盛は店内のシンディ・ローパーたちとお楽しみをしていた。
クラークとどちらが一時間以内に多くのシンディを犯せるのか競争していたのだ。
Girls Jusut Want To Have Fun♪Girls Jusut Want To Have Fun♪
(続けよ)
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「地球を愛そう週間」
暗黒世界は地動説を取ってますよ。
「皆さん!地球を!大事にしましょう!」
新宿駅前には真っ白な街宣車に乗った連中が集まり、地球愛護を訴えていた。
最近流行のウルトラグレートマイティストロングエコロジストだぜ。
「皆さん!地球を!愛しましょう!」
観衆から万雷の拍手。
もちろん忠盛もそこに居た。
「よし、俺も地球を大切にするぞ」
忠盛は硬く心に決めた。
こんな清々しい気持ちは久しぶりだ。
初めて自慰した時だってもうちょっと暗かったぜ。
クール。
その時、機動隊がいきなりやって来て、街宣車に向かって進んできた。
「こらああああ、ここは集会の許可をとってないだろおおおおお、排除するぞおお」
「皆さん、国家権力に負けず!地球を愛しましょう!」
観衆はみな同調した。
さあ大変だ機動隊と乱闘が始まったぞ。
しかし忠盛は周りの乱闘には目もくれず、地球を大事にする精神を膨らませ続けた。
「地球を……大事に……そうだ!」
忠盛は後方警備の婦警を捕まえると、直ぐに犯した。
「婦警の癖に生意気だ」
「何をするッキャアアアアアアア」
「TENGAより締りが悪い」
そして、婦警の頭をがんがん地球にぶつけたのだ。
「お受け取り下さい!お受け取り下さい!」
「ギャアアアアッギャアアアアア」
そして膣外射精と同時に、婦警は絶命した。
その時。
新宿を中心として地球規模の断裂が発生し、地面からジュクジュクのマグマが沸いてきた。
こんな時、どうすれば良いだろう?
「マグマ大使ー!」
ピュルリリリーピュルリリリーピュルリリリー
アースが生んだ、奇跡のマグマ♪
「俺を呼んだのは誰だ」
「私です」
「名前は」
「忠盛」
「良い名前だね」
マグマ大使は何もせずに帰っていった。
忠盛の心の中には、マグマ大使の暖かな言葉だけが残った。
「良い名前……か……」
気付くと、地球は粉々に砕け散っていた。
「あーあーあーあー」
宇宙には、地球から落ちてしまった人が溢れている。
アロンアルファがあれば大丈夫!
どんなに粉々に砕け散っても、ほら!元通り!
ベトッベタッ!
地球は元通りになった。
しかし、どうもおかしい。
「誰だ、日本の場所にユタ州を移設したのは」
「東京がモザンビークに移ってるぞ」
「ニューヨークがグリーンランドに!」
世界がシャッフルされたので、人々は協力しなければならなくなり、
全ての対立は収まった。
あたらしい世界共同体が始まったのだ。
忠盛が婦警を犯さなければ、この平和は実現しなかったのだ。
ありがとう忠盛、ありがとうアロンアルファ
〜〜月間ムー七月号より〜〜
(つづけ)
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楽しい睾丸の日
暗黒世界には去勢設備はありませんよ。
児童公園の真ん中で、今日も忠盛はお楽しみの最中である。
「ふんふんふふーんふーんふふんふん♪」
忠盛はご機嫌だ。
彼の手元には誰かの内臓がビチビチと握られていた。
それを遊具に飾り付けるのだ。
「ふーんふふーんふふふふーん」
ブランコの支柱に誰かの小腸をモールの様に飾りつけ、血液で赤く染める。
忠盛は不意に小腸を口に入れた。
「ンゴエッ」
嘔吐。
吐瀉物は足元の死体にぶっかかった。
「マズイんだよバカヤローッ」
死体を蹴ると、死体の口から気味の悪い液体がビュウビュウ出る。
見ていて気持ちがよくなった忠盛は、児童公園の遊具を内臓で飾りつける作業をやめ、
児童公園を飛び出した。
「おい、忠盛」
「やあ次郎くん」
「今日は誰の死体を使ったんだ」
「ショタを二匹、二次元美少女を三匹」
「この前より少ないな」
「何、これから繁殖期だ、どんどん出てくるぞ」
「ジョセフ・スミス師も君を応援しているよ」
「ありがとう」
青春ドラマのような爽やかさを覚えた忠盛は、近所のコンビニに止まっていた
シャーマン戦車を奪って、公道に乗り出した。
~~~
「ハーイ、みなさーん、今日は楽しい遠足ですよー♪遠足の歌を歌いましょうー♪」
ムチムチ熟女系二次元キャラの保母さんが、
ロリとショタの混合された二次元幼稚園児達に、遠足の賛美を強要した。
「えんそく!えんそく!たのしいな!えんそく!えんそく!たのしいな!」
オカッパ頭の二次元美少女も、ありえない髪の色をした二次元ショタも、
みんな本当に楽しそうに歌うので、筆者は腹が立った。
「ハーイ、皆さん!信号ですよ!信号を渡るときはどうするんですかー?♪」
「はい!はーい!」
「ハイ、サトシくん♪」
「あおになったら!みぎみて!ひだりみて!もういちどみぎみて!てをあげてわたります!」
「ハイ、偉いですね♪その通りですよ♪」
信号が青になった。
熟女保母キャラは長い紫の髪をなびかせながら、二次元園児達を先導して、
車道に一歩踏み出した。
「(大丈夫ね……)」
もう一歩、二歩。
「さあ皆さん渡りましょうー♪」
住宅地と郊外型スーパーの間の横断歩道に、それほどの脅威は無いはずだった。
しかし、忠盛がこの町にいると言う事を誰もが忘れていた。
ブルルルルル……
「せんせー!へんなおとが」
「あら、何かしら♪」
「あれー!せんせー!あれ!せんしゃ!」
「あら、あららら……あら」
信号無視もなんのその。
忠盛のシャーマン戦車はそのまま保母と園児たちに突っ込んだ。
「ヒャアアアアアアアアアッハアアアアアアアア」
グゴゴゴギチギチギチギチギチミイチイイイイイイイイイクチャアアアアアアア
キチイイイイイイイギチイイイイイイグチャアアアアアアグゴオオオオオオオオ
「ぎゃあああああああああああああああ」
「うはあああああああああ」
「ママアアアアアアアア」
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
「くああああああああああああああ」
「ありゃあああああああああ」
「おげえええええふごえっええええええ」
「んぼおおおおおおおおおおおおお」
「ウキャああああああああああああ」
「ぱぱああああああああああああああああああああ」
「まああああああああああああああ」
「えっぐえっみちいいいいいいいいええ」
周囲の人々が集まってきた。
忠盛は一人残らず保母も園児もひき殺し、車外に出た。
「いよっ!忠盛!」
「今日も流石だねえ!」
近所の人々が忠盛に拍手を送る。
そう、これが良いんだよこれが。
社会の為、地域の為に貢献できる、それほど嬉しい事は無いよね。
ねえ忠盛。
「うん」
テレビの前の皆も、社会の為、地域の為に貢献できる人になろうね。
そんな事より周囲の人々と一緒に忠盛は内臓を集め始めた。
黒ずんだりミンチ状になった死体を丁寧に集め、郊外型スーパーの駐車場に止まっている、
無数の車に飾り付けをしていく。
「こらああああ!私の車に何をしてるんだ!」
「飾り付けです」
「あ、そんならいいや」
こうして街には内臓で飾り付けられた車が沢山走るようになった。
きれいだね、ぼくのまち。
(続けよ)
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大麻撲滅週間
暗黒世界では大麻が自生してますよ。
「ああ、今日も良い天気だな!」
忠盛のパパは東スポの風俗欄を見ながら気持ちの良い朝を過ごしていた。
「なあ忠盛!」
「なあにパパ」
「パパと一緒に散歩に行こう」
「うん」
さてそこからが大変だぜ。
パパと忠盛は軽トラのキャリーに乗ったかと思うと、
近くの自衛隊駐屯地に突入した。
「死ね!軍国主義者ども!」
萌え募兵ポスターに釣られて興味本位で入隊していた、
肥満気味の自衛隊員たちは、パパのAK47で次々撃ち殺されていく。
Go、Go、枯葉作戦!Go、Go、枯葉作戦!
枯葉?
パパは戦車を見つけて乗り込み、そのまま町へ乗り込んでいった。
おそらくこの前の忠盛と同じ様に、色々轢殺しに行くのだろう。
そして忠盛はと言うと、駐屯地の敷地内で大麻が自生しているのを見つけた。
「あーすげえな」
忠盛は大麻を何本か引っこ抜き、ここまで乗って来たキャリーの荷台に載せ、
駐屯地を出る事にした。
「さてどうすっかなー」
その時、道端の政府広報が目に入った。
『いいことをしましょう!いいことをするときもちがいいよ!』
忠盛は感動した。
「そうか、良い事をすると気持ちが良いのか!」
しかし脇見運転のせいで、老婆をひき殺してしまった。
でもこれから良い事をするんだ、これくらい何とも無いさ。
忠盛は大麻を大麻取締局へ持って行く事にした。
大麻取締局はきっと楽しい場所に違いない。
取締局に着き、キャリーを降りた忠盛が建物を見上げると、
とても立派な標語が書いてあった。
『大麻を吸うと気持ちがいいよ!大麻を吸って皆ハッピー!』
忠盛は感動した。
「そうか!大麻を吸うと気持ちが良いのか!」
そう言いつつも、忠盛は大麻を担いで取締局の中に入った。
しかし取締局の中は非常に蒸し暑い。
内部は植物園の様になっていて、そこら中に大麻が生え、
中央にカウンターがある状況だった。
「あの、大麻が生えてるのを見つけたんで持ってきたんですけど」
「あー!もう間に合ってます!いりません!そちらで処分してください!」
「でも、ここは……」
「ええ、大麻取締局ですよ!大麻を取って締めて出荷するんです!」
「あーなるほど」
仕方なく、忠盛は大麻を持ったまま外に出ようとした。
しかし誰かが呼び止める。
「待って!久しぶりのお客さん!」
振り返ると、取締局長の丹波哲郎が立っていた。
「少しここにあるのも持って帰ってくれないか!生えすぎてるんだ!」
「良いですよ」
「ありがとう!君の霊界体験はすばらしい物になるだろう!」
忠盛は大麻を余分にもらうと、そのまま外に出て、元の町に帰った。
~~~
翌日……
忠盛は近所の児童公園に大麻を持ち込み、遊んでいる幼児や、
ベンチで日向ぼっこしている老人、土管の中に住み込んだホームレス等に
気前良く大麻を振舞った。
「うああああ、きもちいいいいいいいいいい」
「わしが最後に大麻を吸ったのは戦争が終わる前の年のおおおお……」
「あーカンボジアが懐かしいなあああああああ」
忠盛は皆が大麻を吸ってハッピーになったのを見て、
自分は大麻を吸ってもいないのに、とても気分がよくなった。
そうだね忠盛、いいことをするときもちがいいね。
「そうだね」
みんなも、まわりのひとにきもちいいことをしようね。
~愛国社出版 五年生の道徳 「忠盛のハッピー・ガンジャ!」より~
(続けよ)
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※管理陣に一度削除されたが、「内容に消される程の問題は無い」事を確信し、再度掲載する…
これで消すならば、管理陣は小説フォーラムを閉鎖する事を考えた方が良い
ハッチポッチTombstone
暗黒世界ではエチケットは守られてますよ。
『ハッチポッチマサクル♪ハッチポッチマサクル♪』
NHK教育テレビのハッチポッチマサクルは日本で一番人気の子供向け番組だ。
とっくに視聴向け年齢を超えている忠盛も大好きなんだぜ。
画面の中にはエチケットおじさんが居る。
『良い子の皆!』
近所中から割れんばかりのハーイ!と言う子供たちの声が響いた。
忠盛はエチケットおじさんにハーイ!と言う気は無かった。
ハーイ!と言うと自分が良い子であると言う事になる。
自分はハーイ!と言って良い子である事を認める段階ではない。
つまりハーイ!とは言わない、それが忠盛の論理であり、
この論理により忠盛は2026年度のイグノーベル哲学賞を受賞した。
『ハーイ!の及ぼす自己肯定及びそれに伴う責任についての論考』
ところでエチケットおじさんは心筋梗塞を起こしていた。
『あかん、もうワシは死ぬ、これもエチケットや』
ところが忠盛がテレビに放尿すると、息を吹き返した。
『ああ、マイナスイオンや、マイナスイオンがワシを救ったんや』
常に正しい事を言うエチケットおじさん。
『ババアは殺しても罪にならん、これ、エチケットやで』
「そうなのか」
忠盛は急いで外に出た。
ちょうど、アリさんの行列を盛大に踏み潰す為に動いているロードローラーがあった。
「おい、そこのボンクラ」
「何だよ」
「てめえ、ロードローラーを降りろ」
「いいよ」
「ありがとう」
ロードローラーから降りた建設作業員は、早速ロードローラーの前に立った。
「俺を轢殺して、性能を確かめてくれ!」
「それは出来ない、ババアしかひき殺せないんだ、これ、エチケットだぜ」
「そうなのか、残念だなー」
建設作業員は仕方なく翼を生やして太陽へ向かっていった。
「イカロス……!」
熱い思いを胸に秘めながら、忠盛は近所のスーパーマーケットの前の
国道へ向かった。
「ミツちゃん、今日は安売りなのね」
「ええ、ええ、木曜日は木曜モックンでね」
「本木 雅弘が」
「違うわよ、モックンはね……」
この二人の老婦人を見つけた忠盛は、ロードローラーの速度を上げた。
カーステレオからは奥崎謙三の政見放送が流れている。
「おやあ、アレ、大きな車がこっちに来てるわね」
「面白いわねえ」
忠盛は運転席から顔を出して微笑んだ。
「こんにちわ!」
老婦人たちも手を振って返す。
「おやまあ最近の子は気分が良いねえ」
「挨拶もしっかり出来フギャアッ」
ミチイイイイイイイ、ギチイイイイイイと言う音と共に、
老婦人二名は年金受給資格を失った。
「エチケットを守るって気持ちいいなあ」
そうだね、忠盛。
エチケットを守るって、気持ち良いよね。
「うん」
社会を維持する為には、皆がエチケットを守らないといけないんだよ。
カルマの多いものはポアする必要があるんだよっ、良いねっ。
「ハーイ!」
ところでブレーキが壊れたロードローラーはそのまま直進を続けた。
「あーあーあーあー」
忠盛は飛び降りた。
ロードローラーはスーパーマーケットに突っ込み、
五十代の女性店員数名を轢殺した。
「五十代がババアに含まれるかは複雑な問題ですね」
「保留しましょうか」
「いやっ、ちょっと待って、今、奥崎が良いこと言った!」
「私はね、国家と言う物は全て人間を分断させる物だと思うんです」
朝まで生テレビを見ながら、忠盛はエチケットおじさんの陰茎の事を考えていた。
(続けよ)
-
ザ・グレート・タイフーン・イン・ザ・チバ
暗黒世界では風速が常に三十五メートルですよ。
「台風だ!」
「台風が来たぞ!」
九十九里浜に集まった民衆は、荒れに荒れる海を目前に騒いでいる。
「台風だ!」
「台風だ!」
忠盛は高台からそれを見下ろしていた。
顔にものすごい勢いで雨粒が当たるが、セミのおしっこよりマシだ。
「すげえなあ、あいつら」
「ああ、すげえな」
横を見ると、坂本が居た。
「お前いつの間に……」
「保険外交員と交尾してたらいつの間にか……」
「そんじゃ仕方ねえな」
「あっ、見ろ」
その時、高波が海岸に押し寄せた。
「うわああああああああ!」
「キャアアアアア!」
「ヌワアアアアアアアア」
多くの人々が高波に引きずり込まれていく。
「津波じゃなくても飲まれるものなんだなあ」
「困るなあ」
高台の上に居た二人は無事だった。
高台に居る周りの人々はなぜか皆インド人だ。
「ナマステ」
ガンジーも居る。
「おい、ガンジー、ナマステって言っただろ」
「……」
無言の行をしているガンジーは答えない。
「おい、ナマステ、ナマステ」
「……」
「この野朗」
忠盛はガンジーを海の方に放り投げた。
すると、ガンジーは何と海面に立ち、そのまま海の彼方へ歩いていった。
高台に居たインド人たちは歓声を上げる。
「おもしれえな」
「ああ」
「台風っておもしれえよ」
「ああ」
その頃、台風は海上でウンコを漏らしていた。
そのウンコが溶けて、海はしょっぱくなる。
すごいね、自然の循環は。
(続けよ)
-
君
暗黒世界では皇族は乞食ですよ。
美しい朝。
燦燦降注ぐ太陽の光。
今日も気持ちの良い目覚め。
「陛下、新年度をお迎えになり、誠に喜ばしき一日であります」
「あ、そう」
陛下って何だ?
屁以下?それは困るな。
ここは皇居!
うわあ、すっげえ退屈な建築物ばかりだ!
ちょっと皇居のお堀の石垣さんに聞いてみよう。
おい、そこの、右の端から三十個目の、上から三つ目の……
「ぼく?」
そう、お前。
「なあに?」
どんな気分?
「ヒロポンやりたあい」
あっそう、ありがとう。
色々あって、屁以下おっと陛下は朝食を食べ始めた。
「今日は四月一日ですよ」
「四月バカだね」
「はい」
「この世は何もかも偽りで出来てるんじゃないかね」
「学習院大学の哲学科教授を一通りお呼びしますか?」
「いや、良いよ、孫のI子に会おう」
しかしその頃I子は忠盛のバイク、アベンジャー号の後ろに乗っていた。
「うわっ、マジウケなんだけど、マフラーの音チョベリグ」
「スーパーカブでこんな音出ねえよ」
「それはー私がー皇族だから?皇族だからマフラーに脅迫しちゃった感じ?ウケルー」
「うるせえぞコンマオ女」
「は?チョベリバなんだけど」
「何だそのチョビリブって」
そう言いながら忠盛はあるボタンを押した。
するとI子は吹き飛んでしまった。
「あぎゃああああああああああああああ」
I子は大気圏外に離脱し、気象衛星ひまわりとドッキング。
気象衛星ひまわりと一体化し、衛星生命隊I-KOとなった。
何だこの80年代後半のOVAみたいな名前は。
衛生生命I-KOは早速宮内庁にメッセージを送った。
「おじぃ、げんきー?頻尿治った?人生はメリーズからアテントまでって言うよネー」
宮内庁諜報部は騒然となった。
「I子様の通信だ!」
「どこから出してる!」
「宇宙です!」
「何!?」
「だから、宇宙です!」
「宇宙って何だ!」
丹波哲郎がやって来た。
「宇宙とは……貴方の中に眠ってるものですよ」
その時、その部屋に居た総ての役員の真理の扉が開かれた。
もはや彼等が天皇制の様な遅れたシステムに囚われる事は無いだろう。
彼等はあらゆる生命の存在を称えながら、静かに部屋を出て行き、日本へ、そして世界へ、
ただ心の中に宿る宇宙の存在を伝える伝道を始めたのであった。
ところで、陛下はスマホを弄っていた。
「この金髪美女のコンマオちょっとエグイよね」
その時、I-KOの通信が直接入った。
「やっほ♪おじぃ、元気ー?」
「I子?I子なのか!?おじいちゃんはスマホの所持なんて許可してないぞ!」
「は?クソウザ!氏ね!」
「ゆ、許してくれI子、おじいちゃんが悪かった、スマホ好きなだけやって良いから許して」
「ウザイ、もう許さない……まぢダウン……リスカしよ……」
「I子、悪かった、なんでもするから……そうだ、また戦争するか?それとも核開発」
「まぢ!?じゃあウンコ食って!」
「分った、見てろよ」
どこからI子が見ているかも分らないまま、陛下はしゃがみ、ウンコをひねり出し、
そしてそれを直接口に入れて食べ始めた。
「うっ、うん、うまっ、ぐえっ、うまいっ、ひぐう」
しかし、この悲しみはなんだろう。
全人類七十億が叫び苦しんでいる様な……。
「んぐっ!?」
ウンコが喉に詰まった。
もう、陛下はどうにもならない。
「……!」
その頃、I-KOは勝手に衛星放送に接続し、ロシアのポルノ番組を見て笑っていた。
陛下?もう衛星生命体となったI-KOには関係ないのだ。
あ、今スターチャイルドが小便漏らしたぞ。
宇宙って素晴らしいよね……。
「そうかな」
忠盛は空を見上げながら、ダイオキシンの染付いた綿を一級河川にどんどん放り投げていた。
(つづけ)
-
「だがしかし」じゃねえよ口答えするな
暗黒世界ではロッテが菓子産業の代名詞ですよ。
忠盛は今日も元気に小学校に深夜侵入。
「夜の校舎窓ガラス割って周った♪」
元気に歌いながら忠森は窓ガラスを割って割って割って割って周って周って周って周る。
いつかジョセフ・スミスと共に坂本の姉を治療するために精神病院に向った時に尾崎豊と会話した記憶は今も忠盛の心の中にある。
「おっ、保健室だ」
忠盛には保健室にお世話になった記憶が無い。
「あーあーあー、そうそう、確か……そうだ!性教育だ!」
忠盛はドアを蹴破り、中に飛び込み、周りを見回した。
『はをみがきましょう』
そんな衛生教育ポスターが貼られていた。
「いや、俺は歯より性器を洗いたい、いや洗って欲しい」
そんな訳で忠盛はソープランドに行こうと思ったが、その時忠盛の歯に激痛が走った。
「イデッイデデデデデ、イデエエ」
仕方なく忠盛はソープランドイキおっと行きを諦め、歯医者に向うことになった。
しかし夜間診療の歯医者なんてあるのだろうか?
忠盛はとりあえず寝静まった住宅街の中心で叫んだ。
「イデエエエエエエエエンダヨオオオオオオ」
「……うるさい!何時だと思ってるんだ!」
「イデエエエエエエヨオオオオオオ」
「おい、黙れ!何だ!」
「イデエエエエエエエ」
近所からパジャマ姿のおじさんおばさんがワラワラ出てくる。その数は数百人を越えた。
「なんだなんだ、どうした」
「どうもあの少年が騒いでいるらしいのです」
「えっ?」
「何か、痛みでどうかしたらしいんですが……」
取り囲まれても忠盛は叫んだ。
「イデエエエエ」
困った町内会の皆さんは、至急テントを設置し、対策会議を開いた。
「何か痛いらしい」
「しかしその……何、が分らない」
「思春期特有の心の傷みでは無いだろうか?」
「尾崎豊の様な……」
「そう……」
「落書の教科書と外ばかり見てる俺……」
「超高層ビルの上の空届かない夢を見てる……」
合唱と討論を兼ねた何かが始まった。
『心の一つも分かり合えない大人たちを睨む!』
「だが待て!分かり合おうとしないのはお互い様じゃないのか!」
「違う、もっと歌うんだ!歌を聴いて考えるんだ!青少年の問題はみんなの問題なんだよ!」
『そして仲間たちは今夜家出の計画をたてる!』
「家出で何か解決するのか!」
「目先の問題があまりに巨大すぎるならそれも解決にはなるさ!」
「それは甘えだ!」
「違う!青少年が得られる世界の広さを考えてみろ!甘えも甘えも無い物だよ!」
『とにかくもう学校や家には……帰りたくない!』
「そうだ……私もふっと思うの、帰りたくないって」
「15の少年と45の女性の思う『帰りたくなさ』……家庭への絶望感って同じかね?」
「同じよ……みんな同じよ!青春は終わらないわ!」
「待て、音が……」
いつの間にか誰かがキーボードやドラムセットを持ち出し音まで響きだしていた。
そして強烈なリズムが伝わり始める。
『自分の存在がなんなのかさえ分らず震えている……十五の夜!』
「おおおおおお!」
「うああああああああ!」
『盗んだバイクで走り出す!行く先も分らぬまま!暗い夜の帳の中へ!』
「もっと!声おおおおお!」
『誰にも縛られたくないと!逃げ込んだこの夜に!自由になれた気がした……十五の夜……!』
「ワアアアアアアア!」
壮絶な歓声と拍手が辺りを包み込んだ。
「あくまで、『自由になれた気がした』……気がした、なんだよ、解決じゃない、だが希望だ」
「そうだ、これは全ての年代に共通する問題でもあるんだね」
「もっともっとわかり合う必要があるんだよ、我々は……」
その時、感動の中で途中から無視され続けた忠盛の痛恨の悲鳴が天を貫いた。
「イデエエエエエエエエエエエオオオオオオオオオオオオン!」
地面がにわかに揺れ始めた。
そして暗闇の天の果てから強烈な光がこの街に、いや地球に突き刺さった。
「これは……!」
「イデの意思が……!」
その時、全ての人類が伝説巨神イデオンより放たれたイデの光に取り込まれた。
もう、誰も苦しまない、誰も悲しまない、誰も傷付かない。
喜びの世界の中に全てが取り込まれt「イデエエエエエエエエエエヨオオオオオオオ!」
残念ながら忠盛の歯痛は治らないようだ、しかしもうそんな事は関係ない。
人類は、世界は、宇宙は救われたのだった……。
翌朝、忠盛は歯医者に向った。
「あっ、口の中にジャガリコが歯茎に深く刺さってますよ」
「そ、そうなのか、確か昨日の夜食だったな、グスン」
「口の中に刺さったのに気が付かなかったんですか?」
「ああ……そうだ!大麻も一緒にやってたんだ!それで興奮して夜中に学校に……」
「あーあー、大麻で感覚が麻痺してる間は痛まなかったんだ、とりあえず抜きますねー……」
「イデッ」
「よし、取れた、今度からは気をつけてくださいね、大麻と一緒は止めた方が良いですよ」
「はーい」
忠盛は笑顔で歯医者さんに返事をした。
そうだよね、痛くなくなって嬉しいよね。
忠盛は不注意で歯を痛めたけど、虫歯やいろいろな原因で歯が痛くなる事があるからね。
みんなも、ちゃんと歯を磨こうねっ、尊師との約束だよっ。
さあ、ここまで話を聞いてくれたよいこの皆に、マンジュシュリー・ミトラ正大師からごほうびがあります。
じゃ、ミトラ。
「はい、特選ギャグいきます……麻原しょこたん!」
ウワーハッハッハッハ……おもしろいねえ。
みんな聞いた?しょこたん!ブワーッヒャッヒャッヒャ!
あーそうそうミトラ、サリンの生成はどうだ?
「予定通りです」
その頃、忠盛はジャガリコの製造元、カルビーを焼き討ちにしていた。
(続けよ)