ワザップ!フォーラム
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第39章 「VS 勇往創神 シュウ Part3」
ピットは、虞を振り払い、シュウを斬りつけた。
シュウは、それを杖でガードする。
シュウ「相変わらずの、正面突破な攻撃だな。
それでは敵に動きを読まれやすいほか、横も背後もスキだらけになる、そう教えたはずだ!」
シュウは、ピットの攻撃をガードした直後に、ピットの背後に回り込み、回し蹴りを放った。
ピットは、吹き飛ばされる。
ピット「くそぅ。」
ピットは、分かっていた。
今、ここでシュウを止めないと、世界が大変なことになる、そう述べたパルテナは正しい。
分かっていた。
ーでも、シュウへの攻撃をためらってしまう自分が、どこかにいた。
シュウは、物凄いスピードでピットの周りを走り始めた。
杖先からは、青白いオーラがこぼれている。
シュウが、突然立ち止まった。
と同時に、シュウはその場で杖先を振り回しながら、回転した。
杖先からは、四方八方にイナズマがほとばしる。
ピット「うわぁぁぁ!!」
ピットは、かわしきれなかった。
そして、床に倒れた。
パルテナ「ピット、ピット、しっかりして!
ピット!!」
シュウ「...パルテナ様?
ピット君は...
ボクが、たった今、倒しました...」
To Be Continued
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第40章 「VS 勇往創神 シュウ Part4」
ピット「うぅ、まだだ。」
ピットは立ち上がった。
シュウは振り返った。
シュウ「その身体では、もう戦えない。
立っているのも、つらいだろう?」
ピット「...まだだ。...ボクはキミを止める!」
シュウ「なぜだ。なぜ、そこまでボロボロになりながら、なぜ、傲慢な人間どものために戦う!?」
ピット「...人間は...
確かにリュウタは悪いヤツだった。
でも、全ての人間が悪いわけではない。
ボクは、そんな人たちを、守りたい!
そして、今のキミのように、絶望と憎悪の中で魔物になっていく人も、救いたいんだ!」
シュウ「...ボクが『魔物』だと!?」
シュウは、杖先を高く掲げ、イナズマを放とうとした。
パルテナ「ピット! 避けて!」
その時、黒い影がシュウの前を横切り、ピットを抱えてイナズマを回避した。
ピット「お前は...ブラックピット!」
Bピット「何ドジってんだよ! バカ!」
ピット「いきなり、バカって何だよ!」
Bピット「お前が、ヤバそうだから助けてやったんだよ!
とにかく、これで借りは返したからな。」
ピット「そうだな。ありがとう。『ブラピ』。」
Bピット「何だよ、『ブラピ』って。」
ピット「『ブラックピット』だと、長いから略して『ブラピ』。」
ブラピ「勝手に略すな! まあ、いい。
あいつを倒すんだろ?
オレとお前、ピットが2人もいるんだ。
簡単に負けはしないぜ!」
ピット「ああ、そうだな。
ありがとう、ブラピ」
ブラピ「『ブラピ』って呼ぶな! 行くぞ!」
To Be Continued
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第41章 「VS 勇往創神 シュウ Part5」
ピットとブラピは、2人で連係を取りながら、シュウに攻撃を加えていった。
だが、シュウはほぼ全ての攻撃をガードしたり、回避したりした。
シュウ「2人がかりでも、この程度か。」
やがて、ピットにもブラピにも、疲れが出てきた。
ブラピ「くそ、あいつ、動きが速い上に、攻撃の破壊力が半端ない!」
ピット「...まだまだ、これからだ!
ボクは、シュウを止める!
全力で止めてみせる!」
シュウ「...そうか。
これがボクの全てだ。
全力で受け止めてくれ!」
シュウは、そう言って、杖先から青白く光輝く球体を作り出した。
そして、シュウは叫んだ。
シュウ「...これがボクの最終奥義
行け、『終焉の彗星(ラグナロク・ノヴァ)』!!」
ピット・ブラピ「...!」
To Be Continued
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第42章 「VS 勇往創神 シュウ Part6」
ラグナロク・ノヴァはじわじわとピットたちに近づいてくる。
ピット「...何て攻撃なんだ!
止め切れるのか...?」
ブラピ「何、弱気になってんだよ!
お前、さっき『ボクはシュウを全力で止める!』とか、言ってただろが。」
ピット「...そうだな、ブラピ。
ボクは、これを止めなくちゃならない。
いや、止めてみせる!
ボクの全てをかけて...」
その時、パルテナがピットに声をかけた。
パルテナ「ピット、私の声が聞こえますか?」
ピット「はい、聞こえてます。」
パルテナ「ピット、ブラックピットと同時に矢を放つのです。
私が先ほど、地上の人々のチカラを集めておきました。そのチカラを送ります。
地上の人々は、ピット、そしてブラックピット、あなたたちを応援しています。
地上の人々は、皆あなたたちに助けられてきました。
そんな人々の感謝の気持ちが、今度はあなたたちのチカラになる...
さあ、ピット、ブラックピット、矢を放つのです!」
ピット「はい!」
ピットは深呼吸をした。
ピット「行くぞ! ブラピ!
ボクと同時に、矢を放つんだ!」
ブラピ「分かった。あとブラピって呼ぶな!」
2人は矢を放った。
それは、やがてひとつになり、輝き始めた。
パルテナ「これが、人々の魂をひとつにして放つ究極の奥義、その名も...」
ピット・ブラピ・パルテナ
「『祈魂集結(ソウル・クラスター)!!」
ソウル・クラスターはラグナロク・ノヴァと衝突した。
だが、少しだけ、ラグナロク・ノヴァが押してくる。
ピット「お願い! みんな、ボクたちにチカラを!」
パルテナ「お願いします。皆さん、どうかピットにチカラを貸してあげて下さい。」
ソウル・クラスターが、少し押し返した。
やがて、ラグナロク・ノヴァにヒビが入った。
シュウ「何っ! 」
そして、ラグナロク・ノヴァは砕け散った。
ソウル・クラスターは、そのまま真っ直ぐシュウに向かって飛んでいった。
シュウ「なっ! うわぁぁぁぁ!!」
そして、シュウに命中した。
To Be Continued
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第43章 「VS 勇往創神 シュウ Part7」
ピット「...勝った...」
ピット「...勝ったんだ! やった、シュウを止めたんだ!」
シュウ「...まだ、戦いは終わってないぞ。
ボクは、こんなところで負けるわけにはいかないんだ!」
シュウは、よろけながらピットに向かって歩いてくる。
ピット「...シュウ、今度はボクが聞くけど...
どうして、そこまでして世界を変えたいんだ?」
シュウ「さっきも言っただろう。
『今の世界は汚れている』と。
14年前、ボクはそれを身をもって痛感した。」
ピット「...分かってる。キミが苦しかったのは、分かってる。
キミは、長い時間、絶望と憎悪が渦巻く闇の中をさまよい続けた。
今も、さまよっているのかもしれない。
ボク、魔物と戦い慣れているから分かるけど...
キミからは、他の魔物のような『邪悪な気配』は感じないんだ。
キミは、本当は世界を滅ぼそうとなんか考えていない。
キミは、ただ寂しかった。
キミは、旅を続けるうちに、無意識に自分を受け入れてくれる人を、探していたんじゃないのか?
つまり、シュウ、キミは『トモダチ』が欲しかった。
そうじゃないのか?」
シュウ「...」
ピット「でも、誰もキミを受け入れてくれなかった。
誰もキミを信じてあげなかった。
だから、キミは自分を痛めつけた人間たちを滅ぼそうとした。
もし、そうならボクだけでもキミを信じてあげる。
ボクがシュウの本当の『トモダチ』になる!」
ブラピ「バカ! お前、正気か!?
こいつは、お前を...!」
ピット「分かってる。」
シュウ「...フフ、ハハハハハ...
ブラックピット君の言うとおり、キミは本当にバカだな。
どこまで、お人好しなんだ?
ハハハハハ...」
シュウの声は、だんだん小さくなった。
そして、シュウは床に崩れ落ちた。
そして、涙声でつぶやいた。
シュウ「...ボクの負けだ...
...ピット君、キミの...チェックメイトだ...」
そして、シュウは眠るように気を失った。
To Be Continued
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第44章 「覚醒」
ピットはシュウを抱きかかえた。
ブラピ「...『トモダチ』...か...」
ブラピは、床に宝玉が転がっているのに気がついた。
ブラピ「おいっ、ピット。お前、あれ回収しなくてもいいのか?」
ピット「あっ! そうか、シュウが自分から究極のチカラを捨てたから...
早く回収しなくちゃ!」
ピットは、宝玉に向かって走り出した。
その時、宝玉の側にある柱の影から、ひとりの男が姿を現した。
ピット「...お前は、リュウタ!
死んだはずじゃ...」
リュウタ「A.F.T.社は製薬業も営んでいる。
止まった心臓を動かす薬くらい、簡単に作れるのだよ。
お前たちのあとをつけてきて正解だった。
おかげで、『究極のチカラ』を入手できるとは...」
リュウタは、ピットに抱きかかえられたシュウを見てつぶやいた。
リュウタ「やはり、シュウは昔のままの『クズ』だったか。」
ピット「お前、今ボクのトモダチにひどいことを言ったな!
シュウに謝れ!」
リュウタ「...『トモダチ』?
何をバカなことを言ってるんだ?
お前の翼を使えなくしたのは、そいつだろ?」
そして、リュウタは宝玉に触れようとした。
ピット「よせっ! やめろ!」
ピットは、シュウを床に置き、リュウタに飛びかかった。
リュウタは、素早く宝玉を手に取り、身をかわした。
リュウタ「...ブラックピット。
ちょうどいい。
ピットを始末しろ。」
ブラピ「...やだね。」
リュウタ「お前の親である私の命令が聞けないのか。」
ブラピ「お前は、オレの親じゃない。
オレを生み出し、利用しようとしただけだ。
お前の命令なんて聞く気はない。
どうやらオレも、ピットと同じ『バカ』になったみたいなんでな!」
リュウタ「そうか...
では、この究極のチカラをもって、まずはお前たちから片付けよう。」
ピット「よせっ!」
その時、宝玉が淡い光を帯び始めた。
声が聞こえる。
???「...オオ、欲望二満チタ人間...
コレデ我ハ復活デキル...」
宝玉は、激しく光を放ちながら、リュウタを飲み込んだ。
リュウタ「うわぁぁぁぁ!!」
???「我ハ、100万年ノ時ヲ越エ、今ココニ復活ヲ果タシタ。」
宝玉は、姿を変え、中央に大きな目玉がついた地球儀のような姿になった。
???「我ガ名ハ、『魔神王 カオスネビュラ』
万物ヲ束ネル王ニシテ、人間ノ負ノ感情ヲ映ス鏡ナリ。
マズハコノ地上ニ居座ル人間ドモヲ、ヒトリ残ラズ滅ボシテヤル。
100万年分ノ憎悪ノ激シサヲ、思イ知ラセテヤル!!」
To Be Continued
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第45章 「VS 魔神王 カオスネビュラ Part1」
魔神王カオスネビュラが放つ、禍々しいオーラに圧倒されるピット。
ピット「...カオスネビュラが...復活しちゃった...」
パルテナ「ピット、カオスネビュラが復活してしまったのですね。」
ピット「はい...」
パルテナ「ピット、こうなってしまった以上、もう一度、カオスネビュラを封印するのは極めて困難でしょう。
カオスネビュラは復活から、まだそんなに時間が経っていません。
100万年もの間、封印されていたのですから、完全にチカラを取り戻すには時間がかかるでしょう。
ピット、私がカオスネビュラを完全に葬る方法を調べます。
それまで、時間を稼いで下さい。
ピット、カオスネビュラの目玉を狙うのです。
とにかく、時間を稼いで下さい!」
ピット「分かりました!」
ピットは、神弓を目玉に向けて放った。
矢はカオスネビュラの目玉に命中する。
カオスネビュラ「グォー! 貴様、許サン!」
カオスネビュラは、ピットに向かって、目玉からビームを撃ち出した。
ピット「うわっ!」
ピットは危うくかわす。
ブラピ「ピット、ここでは狭すぎて戦いにくい。
地上に降りるぞ。
オレが、お前とシュウを抱えて飛び降りる。
お前は、神弓で目玉を撃て!」
ピット「分かった。」
ブラピは、ピットとシュウを抱えて、運命の塔から飛び降りた。
カオスネビュラ「待テーッ!」
カオスネビュラは、落ちて行くピットたちを追いかけてきた。
カオスネビュラ「我カラ逃ゲラレルトデモ思ッタカ?」
ブラピ「ピット、目玉を撃て!
お前とシュウはオレが、しっかり持っててやる!
お前は、心置きなくカオスネビュラと戦え!」
ピット「分かった!」
ピットは、再び神弓を引き、矢を放つ。
カオスネビュラの目玉は、とても大きいため、狙いやすかった。
カオスネビュラ「グォーッ!」
ブラピ「よし、やったようだな。
そろそろ地上だ。
しっかりつかまってろ!」
ブラピは、2人を抱えて、見事に着地した。
と同時に、弱点を撃たれて苦しむカオスネビュラが、真上に落ちてきた。
ピット「危ない!」
ピットとブラピは、シュウを抱えてかわした。
カオスネビュラは、物凄い勢いで地面に叩きつけられた。
To Be Continued
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第46章 「VS 魔神王 カオスネビュラ Part2」
ピット「ふぅ。とりあえず気絶してるみたいだけど...」
ピットが言い終わる前に、カオスネビュラが起き上がった。
カオスネビュラ「天使ノ小僧ゴトキニ、コレホド手コズルトハ...
マダ、チカラモ完全ニハ戻ッテイナイ、トイウワケカ...
デハ我ノ真ノチカラヲ見セテヤロウ!」
カオスネビュラは、周りの魔物を吸い込み始めた。
ピット「うわっ! 吸い込まれる!」
ブラピ「しっかり、つかまれ! 」
カオスネビュラ「マダダ。モットダ!
モット我ニ、チカラヲヨコセ!」
カオスネビュラは、少しずつ異形の姿になっていった。
身体のいたるところから、電気コードのプラグのような触手が出ており、牙を向き出した口や、大きな目玉が、見えている。
ピット「カオスネビュラが!」
カオスネビュラ「フフッ。コレガ我ノ真ノ姿ダ!
ダガ、マダチカラガ足リヌ。」
カオスネビュラは、ピットとブラピを見据えた。
カオスネビュラ「オマエタチカラ、チカラヲ感ジル。
オマエタチモ...我ト...
ヒトツニナレ!!」
カオスネビュラは、触手を伸ばしてピットとブラピに掴みかかった。
ピットとブラピは、次々とかわす。
カオスネビュラは、たくさんの触手を一気に伸ばしてきた。
ピットが、触手をかわした時、一本の触手がピットを背後から捕らえた。
触手はピットを締めつける。
ピット「うぅぅ...離せ...! 苦しい...」
カオスネビュラ「フハハハ...
マズハ、オマエカラ吸収シテヤル!」
カオスネビュラは、ピットを体内に引きずり込もうとした。
その時、ブラピがピットを締めつける触手を叩き斬った。
ピットは、辛くも脱出した。
ブラピ「油断したな。」
次の瞬間、カオスネビュラは新たな触手を伸ばし、ブラピを捕らえた。
カオスネビュラ「我ノ身体ニ、傷ヲツケルトハ...
貴様ハ、絶対ニ許サン!
オマエカラ、取リ込ンデヤル!」
カオスネビュラは、ブラピを取り込もうとする。
ピット「ブラピ!」
ピットは、ブラピを捕らえる触手を叩き斬ろうとした。
だが、カオスネビュラの別の触手にはたかれてしまう。
カオスネビュラ「同ジ手ハ、二度ト食ラワン!
オマエハ、後回シダ!」
ブラピ「どうやら、オレはもう飲み込まれる。
ピット、あとは任せたぞ...」
カオスネビュラは、ブラピを完全に飲み込んだ。
ピット「ブラピーッ!!」
カオスネビュラ「オオ、素晴ラシイ チカラ ダ。
ダガ、マダ足リヌ。
次ハ、オマエノ番ダ!」
カオスネビュラは、触手を放ってくる。
ピット「お前! 絶対に許さない!」
ピットは、シュウを抱えて、触手をかわした。
カオスネビュラ「イツマデカワセルカナ?」
やがて、ピットにも疲れが出てきた。
カオスネビュラ「ソロソロ限界ノヨウダナ。
デハ我ノ一部トナルガイイ!」
カオスネビュラは、触手を一気に伸ばしてきた!
To Be Continued
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第47章 「VS 魔神王 カオスネビュラ Part3」
シャキーン...
鋭い音が響いた。
と同時に、カオスネビュラの触手が、全て斬られて落ちた。
イカロス「隊長ーッ! 大丈夫ですか?」
ピット「イカロス!?」
パルテナ「イカロスたちが到着したようですね。
間に合って良かった。
彼らは自分たちから、ピットの助けになりたいと申し出てくれたんですよ。」
ピット「そうなのか、イカロスたち?
ありがとう。」
パルテナ「あなたたちが時間を稼いでくれたおかげで、カオスネビュラを滅する方法がひとつだけ見つかりました。」
ピット「何ですか?」
パルテナ「あなたたちが先ほどまでいた『運命の塔』。
それこそが、古代アルカディア文明が生み出した究極の神器『運命の巨塔』だったのです。
それを使えば、カオスネビュラを滅することができるはずです。」
ピット「しかし...パルテナ様?
あんなに大きなもの、ボクにはとても持てませんよ。」
パルテナ「運命の巨塔は、持って使うのではありません。
運命の巨塔の地下に、制御室があります。
そこで運命の巨塔を動かすことができるはずです。
ですが、ピット。よく聞いて。
ここからが肝心です。
運命の巨塔の攻撃チャンスは、おそらく一回きり...
外したらあとがありません。
また、運命の巨塔は役目を終えると崩れ落ちるでしょう。
制御室にいると、崩壊に巻き込まれる危険もあります。
ピット、それでもあなたは行きますか?」
ピット「...ボク、この世界を守りたい。
だから、ボク、行きます!
そして、カオスネビュラに勝って、必ずエンジェランドに帰ります!」
パルテナ「よく言ってくれました。
ピット、ありがとう。
幸運を祈っています。」
パルテナが言い終わった時、ピットのすぐ後ろで物音がした。
ピットは、振り返った。
そこにはシュウが立っていた。
To Be Continued
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第48章 「VS 魔神王 カオスネビュラ Part4」
シュウ「今の話、全部聞いていた。
ピット君、ボクに行かせてくれないか?」
ピット「無茶だよ。キミはまだ傷が癒えていない。」
シュウ「こんなことになったのは、ボクのせいだ。
だから、ボクがけじめをつけなくちゃならない。」
ピット「でも...」
シュウ「ピット君、これを...」
シュウは、一本の杖をピットに差し出した。
ピット「これは...」
シュウ「『アルカディアの錫杖』。
キミなら、使いこなせるはずだ。
それを構えて、頭の中でイメージすると、それが現実になる。
それでカオスネビュラの動きを止めるんだ!
ボクが、そこに運命の巨塔を叩きつける。」
ピット「シュウ! ダメだよ。こんな危険なこと、キミにはさせられない。」
シュウ「ピット君、ボクもキミにこんな危険なことはさせられない。」
ピット「どうして?」
シュウ「もし、冥府軍がまた蘇ったら、キミはそいつらと戦わなくちゃいけない。
ピット君、ボクはキミとは違う。
キミのように人間界を守れはしない。
ボクは、弱い...キミのように強くない...
でもキミを守れる!
弱いボクでも、キミを守ることができる!」
ピット「ダメだよ! 行っちゃダメだ!」
ピットは、シュウを止めた。
シュウ「ピット君、キミが命懸けで守ろうとした、この世界を、ボクも守ってみたくなった。
どうか、ボクを信じてくれないか?」
2人は、しばらくの間、黙り込んだ。
イカロスが、カオスネビュラの触手を叩き斬る音だけが響く。
やがて、ピットが口を開いた。
ピット「...分かった。ボク、シュウを信じる。
でも、ひとつだけ条件がある。」
シュウ「何かな?」
ピット「絶対に生き抜いて欲しい。
キミの人生が、絶望と憎悪だけで終わるなんてイヤだ。
だから...その...」
シュウ「分かった。ピット君。約束する。」
カオスネビュラは、イカロスたちを吹き飛ばした。
カオスネビュラ「コザカシイ真似ヲ!
誰モ我ヲ止メラレナイ!!」
シュウ「ピット君、長話をしている時間はなさそうだ。
お互い、最後の『ミッション』に取り掛かろう。
ピット君、キミに会えて、本当に良かった。
ありがとう。
キミのこと、忘れない。」
そう言って、シュウは運命の塔に向かって、走っていった。
カオスネビュラは、ピットに迫ってくる。
カオスネビュラ「グオォー! 次ハ、オマエノ番ダ!」
ピット「お前なんかに、絶対負けない!
そうだろ? シュウ!」
ピットは、アルカディアの錫杖をカオスネビュラに向けた。
To Be Continued
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第49章 「ファイナル・ミッション」
ピットは、静かに目を閉じた。
そしてカオスネビュラの動きが止まる様子をイメージした。
カオスネビュラ「何ダ!? 身体ガ動カン!?」
ピットは、目を開いた。
カオスネビュラの動きが、止まっている。
カオスネビュラは、ピットを睨みつけた。
カオスネビュラ「貴様! ソノ杖ハ...
マサカ、『アルカディアノ錫杖』...!」
ピット「お前の動きは、封じた。
お前は、ここで浄化されるんだ!」
カオスネビュラ「我ガ浄化サレルダト...
笑ワセルナ! オマエハ我ニハ勝テヌ!」
カオスネビュラは、少し動いた。
ピット「何っ! 」
その時、吹き飛ばされたイカロスたちが起き上がり、カオスネビュラを押さえつけた。
イカロス「隊長は頑張ってくれているんだ!
ボクたちも頑張るぞ!」
ピット「イカロス...ありがとう。」
カオスネビュラは、アルカディアの錫杖による魔法と、たくさんのイカロスたちに押さえつけられて、全く身動きがとれない。
カオスネビュラ「ハナセッ! ハナセッ! 」
その頃、シュウは制御室で、運命の巨塔の引き金を握っていた。
ピットは、叫んだ。
ピット「シュウ! 今だ!
運命の巨塔を起動するんだ!」
シュウは、引き金を引いた。
運命の塔は、まばゆく輝き始めた。
やがて、それはゆっくりとカオスネビュラに向かって、倒れてきた。
カオスネビュラ「ハナセッ! ハナセッ!」
運命の巨塔がカオスネビュラのすぐ真上まで迫ってきた。
カオスネビュラ「ウオォォー! 貴様ラッ!
絶対ニ許サンカラナ!
我ガ肉体ガ滅ビテモ、魂ハ生キ続ケル。
イツカ必ズ、人間界ヲ滅ボシ、コノ世ノ全テヲ我ガモノニシテヤル!!」
そして、運命の巨塔はカオスネビュラに命中した。
カオスネビュラ「ギャァァー!!」
カオスネビュラの断末魔のごとき叫び声は、数分間にわたって続いた。
To Be Continued
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第50章 「ミッション・コンプリート!!」
あれから、どれほどの時間が流れたのだろうか?
目の前に、運命の塔の残骸が積もっていた。
瓦礫の山は、まだ砂埃をあげている。
ピットは、瓦礫の上を見上げた。
カオスネビュラに、吸収されたいくつもの魔物の魂が、浄化されて浮かんでいた。
イカロス「隊長ーッ! 大丈夫ですか?」
ピット「あぁ。大丈夫だ。 他のみんなは?」
イカロス「全員、無事です。」
ピット「そうか、良かった。」
ピットは、もう一度、浮かんでいる魔物の魂を見つめた。
そして、つぶやいた。
ピット「...ブラックピット...
あいつも浄化されちゃったか。
あいつ、魔物だったけど、以外といいやつだったな...」
イカロス「それは隊長が、ブラックピットに『人の心の優しさ』を教えてあげたからじゃないですか?
パルテナ様から聞きました。
隊長がブラックピットと戦ったあと、治療をしてあげたって。」
ピット「そうか...
パルテナ様は、全部見てたんだな...」
長い沈黙が訪れた。
イカロス「そうだ! 隊長、あのシュウって子のところに行かなくていいんですか?」
ピット「あっ! 」
ピットは立ち上がった。
ピット「みんな、待っててくれ! すぐに戻るから!」
そう言って、ピットは走り出した。
大切な『トモダチ』が待つ、制御室に向かって...
To Be Continued
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エピローグ
エンジェル暦 2012年3月22日
いつもは、ねぼすけのピットは、今日はやけに早起きをしていた。
もう、シュウと初めて出会った日から、今日でちょうど5年になる。
カオスネビュラを倒したあの日、シュウは制御室にはいなかった。
代わりに一枚の手紙と、宝石箱が残されていた。
ピットは、ベッドの横にある机の引き出しから、その手紙を取り出した。
「ボクの大切なトモダチ『ピット』へ。
さよならも言わずに、去ってしまってごめんなさい。
隣に置いてある宝石箱はキミに貰って欲しい。
中に入っている宝石は『飛翔の奇跡』というものだ。
それを使えば、飛べない者でも5分間は飛べるようになる。
他では手に入らないレアモノだぞ。
使い方が分からなければ、パルテナ様に聞くといい。
キミの翼を使えなくしたのは、ボクだ。
本当に、ごめんなさい。
それがキミの新しい翼になってくれることを祈っています。
キミには、本当に助けられっぱなしだったね。
キミは絶望と憎悪に取り憑かれたボクに、真っ直ぐ向かってきてくれた。
それに、『トモダチになろう』って、言ってくれた。
ボク、すっごく嬉しかったよ。
ピット君、キミにひとつ伝えておきたいことがある。
キミは、これから先、いろんな楽しいことを経験するだろう。
そして、それと同じだけ、つらいことも経験する。
でも、これだけは覚えておいて欲しい。
キミには、ボクのような生き方をしないで欲しいんだ。
ボクみたいな生き方をすると、苦しいことの連続だ。
キミには、パルテナ様もいるし、イカロスたちもいる。
話し相手がたくさんいるから、大丈夫だと思うけど、もしキミが堕天使になりそうになったら、ボクは命懸けでキミを止めに行く。
約束だ。
もうひとつ。
ピット君、ボク、やっぱり強くなりたい。
いや、強くならなくちゃいけない。
でも、今度は『究極のチカラ』なんかに頼らず、自分のチカラで強くなってみせる。
ピット君、また会えるよね...
いや、きっと会える。
その時は、もっと強くなって、心も身体も強くなって、またキミと一緒に魔物を討伐したいな。
魔神王カオスネビュラの消滅によって、とりあえず魔物は消えた。
しばし、お別れだ。
次に会える時を楽しみにしている。
ピット君、何から何まで、本当にありがとう。
キミに会えて、良かった。
ボク、キミのこと、絶対に忘れないよ。
だから、キミも忘れないでね。
シュウ」
手紙は、そこで終わっていた。
ピット「忘れるわけないだろ...
シュウは、いつまでもボクの大切な『トモダチ』だ。」
ピットは、静かにつぶやいた。
その時、部屋にイカロスが飛び込んできた。
イカロス「隊長ーッ! パルテナ様がお呼びです。」
ピット「分かった。すぐに行く。」
ピットは、手紙を引き出しに戻した。
そして、パルテナのもとへ走っていった。
パルテナ「ピット、大変です。
冥府軍が、25年の時を経て、復活しました。
直ちに地上に赴くのです。
地上の人々の笑顔を絶やしてはなりません。」
ピット「分かりました!」
ピットは、不思議な高揚感を覚えた。
シュウに会えるかもしれない、そう思ったからだ。
ピットは、愛用の撃剣を手に、地上に向かって飛び降りた。
大切な『トモダチ』から託された、『飛翔の奇跡』を見にまとって...
To Be Continued...
To 『The Holy-Myth Parutena's Mirror』...
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あとがき
ボク自身、ついこの間までピットと同い年くらいだったのですが、時の流れは早く、気づくと、もう大学に通う年になっていました。
大学の入学準備に追われる中、大好きなゲームキャラのひとりである『ピット』の物語を書けたことを、光栄に思います。
『新・光神話 パルテナの鏡 エピソードZERO』は、ここで幕を閉じますが、主人公ピットの戦いが終わったわけではありません。
彼は再び戦地に赴くのです。
この先のストーリーは、実際に『新・光神話 パルテナの鏡』をプレイして、皆様自身の目で確かめて下さい。
さて、ボクは、この小説を書くにあたり、テーマをひとつ決めておりました。
それは『人の心』、そして『感情』。
壮絶な過去を持つ少年「シュウ」との出会いを通じて、主人公ピットの心がどのように成長していくか...
それを描くと決めておりました。
ボクは、ピットを「戦う天使」といったゲームで描かれるヒーロー像ではなく、「ひとりの少年」として描き、内に秘められた『優しさ』や、内面的『弱さ』も描きたかったのです。
人の心(=感情)は、時に優しく、時に牙を剥きます。
そして、それをコントロールできるようになることを、ボクたちは時に『成長する』と言います。
そんな『感情』にこそ、現代人が今、最も学ぶべき教訓が隠されていると思い、このテーマで小説を書かせていただきました。
随所における「ピットの発言」や、シュウが最後にピットに宛てた「手紙」の内容から、「何か」を感じ取っていただければ幸いです。
最後になりましたが、最後まで愛読して下さった方々、ならびに応援して下さった方々に感謝の意を述べ、終わりの言葉とさせていただきます。
皆様、本当にありがとうございました。
皆様に、天使の祝福のあらんことを...
the White Lightning
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【お知らせ】
『新・光神話 パルテナの鏡 エピソードZERO』を愛読してくださり、ありがとうございました。
この物語には続編があります。
下記リンクより、移動できます。
http://jp.wazap.com/thread/Brave・Quest/421429/