「…っはぁ~、ようやく2時限目終わりか…」
回りが休みの中、一人自分はぽつりと呟いた。
自分の名は黒谷隼人。高校生だ。
学力は普通、運動も普通。
そう、ほとんどが普通だ。
普通じゃないと言ったら、友達がいない。
絡みにくいのか、それとも自分から話しに入らないからか。
どちらも原因だとは思うが、自分は一人というのが好きだ。
友達がいると、何と言うか、面倒臭い。
まるで友達というのは奴隷のようなもの。
だから一人というのは安心する。
「…ダルいなぁ…」
自分はまたぽつりと呟く。
正直、学力も運動も、努力しようと思えばすぐに上達する。
それをしないのは、面倒臭いからだ。
自分は何かに必死になった事がない。
何かをやっても、すぐに飽きてしまう。
だからこそ、友達も長続きしないし、成績も普通なままだと思う。
そう、恋も、だ。
大体、恋どころか、女の友達もいないのに、恋なんてするのだろうか。
それこそ、今クラスで付き合っているやつらは、2つぐらいか。
こうしてみると、案外普通なのかな。
そう、これは、恋に無縁だったはずの自分の物語。
この自分の平凡な生活が、まさか明日で変わろうなんて。
この時の自分はまだ、気付かなかった…。