芬薗の中等科1年次 男性生徒
深津 理久は、
元居たデジモンゴーストゲーム世界線での
友情不器用さが災いして、芬薗でも中々
馴染めずに居た。
其んな或る日、芬薗内をふらついて居た所、
理久の杖が突如発光し彼の手元から離れ
円で導くかの様に翔び続け………………?!
其の先で出会ったのは
カラフルな糸をせっせと編み針で編み込む
シルクハットを被った少年だった。
理久は彼の手で編み込まれて行く織物に
見惚れた。
其の糸が、数十年の時を経て明かされる
彼の家系能力の秘密に関係して居る事等、
全く連想もせずに………………。
?????
「………………ん???」
理久の視線に気付いたかシルクハットの
少年がふと顔を上げた。
?????
「………………って………………うわぁぁぁぁぁっ?!」
理久
「な、何やどしたんや?! んな驚く事無い
やんか!!!」
?????
「驚くよ………………笨薗じゃ裁縫呪文に長けた
コウドウの次女先輩ですら僕の編み込む糸は
視え無いんだよ………………君が初めてだよ
何の特殊能力も無しに僕の糸を目視出来た
のは………………凄いね」
シルクハットの少年は理久にベンチに
腰掛ける様に促すと、自己紹介を始めた。
「僕は被裡 絲褸紅(カブリ シルク)。笨薗
中等科1年次のサーカス一座クラスの
クラスリーダー。正直簡単なマジックしか
出来無い様な僕が、如何してクラスリーダー
委されてるのかが謎って位に、僕には個性が
無いんだ」
理久
「個性が無い………………か、
其れは自分も同じや。
自分も引っ越しして環境変わってな、
周囲の同輩と如何仲良く成ったら良いやら
全く理解らへん………………」
絲褸紅
「何だか君と僕って色々似てるね、親近感
湧いちゃうな。君の名前は………………?」
理久
「深津 理久………………中等科1年次」
絲褸紅
「理久か、宜しく」
理久
「若しかして絲褸紅は曇ったココロを晴らす
為に芬薗に来たんか?」
絲褸紅
「………………鋭いね、其の通りだよ。
僕は家系能力で他人と他人を結ぶ紲絲
(きいと)が視えたり、自身のはみ出た
磨導力を編み針で編み込む事が出来るんだ。
だけど言っただろう、裁縫呪文を得意とする
先輩ですら目視出来無いんだ………………」
紲絲が視えるだけなら未だ良いんだけどさ
僕がエア編み物遣ってる様にしか見え無い
からさ周囲からは白い目で見られるんだよね
加えて僕のクラスって周囲が芸達者だから
余計に負い目感じるって言うか………
あ、御免ね僕ばっかり話して
理久
「いや別に構へんよ………………絲褸紅も苦労人
やな………………自分と話した事で少しでも気ぃ
楽に成ったんなら何よりやで」
絲褸紅
「其うだ………………、此処で出会ったのも
何かの良縁だと思うし此れ組んで見無い?」
理久
「盟携(めいけい)………………?」
絲褸紅
「笨薗の生徒は芬薗で出会った気の合う
同輩と紲約(きやく)を結べるんだ。
理久となら僕、何か変われる気がするんだ」
理久
「勿論!!! 宜しく頼みまっせ、絲褸紅」