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何度も単発にスレ立てして申し訳ないです。
文章力向上の為の練習だとでも思っていただければ有難いです。
1レス1話の短編です。
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寄生虫
《山内 宗太が友人に宛てたメール》
万梨阿ちゃんは今日もきれいだった。たとえるなら、まるで美しいバラだね。
さみしそうな顔もかわいい。ちょっと変わったところもあるけどすっごくかわいい。
ふとももにうずもれたい。今すぐ添い寝したい。
でも万梨阿ちゃん、近頃拒食気味っぽいんだ。だんだん食べる量が少なくなっている。
なにかストレスを感じてるのかな?
《三宅 万梨阿のブログ》
ブログ名:わたしの日常図鑑
記事名:恐怖
私の地域では、ゴミ収集が水曜日の朝に行われるため、大概の住人が火曜日にゴミ出しをする。
あの男は火曜日の夜更け、マンションの入り口付近のゴミステーションを漁っていた。
馬鹿な私は初めて男を見たとき「ゴミ収集車の人が正しく分別しなおしてる」と勘違いして声をかけてしまった。
「こんにちは」と微笑みかけると酷く男は赤面し、「どうも」とどもりながら応答した。
その男の顔は男性ホルモン迸る毛深い顔をしていた。
次の夜更けも、男は懸命にゴミ袋を漁っていた。気付くと男はマスクや手袋などを着用しておらず、衛生面に欠けているように思えた。
さすがに親身になるのは憚られたので、挨拶は思い留めることにした。
次の夜更けにもあの男がいた。このとき、やっと私は違和感に気が付く。
「私服だ」ということ。そう、普通「ゴミ収集車の人」は何かしら統一された作業服などを着込んでいるはずだ。
しかし、ゴミ袋を漁る男は思い思いの服を着ている。
早く気が付くべきだった。ようやく違和感がうまれた。
私は次の火曜日、ゴミを出さなかった。その夜更けに男は居なかった。
さすがに怖くなった。動悸は上がる。
ひょっとすると、男は、私のゴミ袋を漁っているんじゃないか。
真実を確かめるべく、次の火曜日に出すゴミに細工をしておいた。
そして夜更けに物影で男を待ち伏せする。「どんな顔すんのか楽しみだ」とばかりに心が躍る。
…きた。あの男がゴミステーションに向かい堂々と歩き、目標を確認する。
今更だが、ここの地区はゴミ袋に氏名を書くことが規則になっている。つまりターゲットのロックオンなど誰にでも容易いことなのだ。
男は私が出したゴミ袋をロックオンする。そしてついに手をかけた。
ゴミ袋から、大量の鼠、蠅、カマドウマ、毛虫、蝉、蛆虫、その他大勢のキャストが彼に盛大なおもてなしをする。
これも今更だが、私はゴミ袋がパンパンになるまで魑魅魍魎の類を詰め込んでいたのだ。
ギャッ!っと男が仰け反る。そして男は運悪く仰け反った足でゴミ袋を蹴り上げてしまい、魍魎らは男に降り注いだ。
男の顔や身体はもはやキャスト達のステージとなっていた。
ミミズが踊り狂い、蠅はワイヤーアクションかのように飛び回り、カマドウマはゆらりと妖艶に演技している。
ちなみに蝉は奏者だ。うるさい。
ハァハァと興奮して男のほうを見ると、突如、携帯の着信音(通話)が蝉のように大音量で鳴り響いた。
携帯のまぶしい画面には『山内 宗太』の文字。3年間付き合った彼氏だ。
と、直後男が「誰だ」と悲鳴に近い声を上げた。「誰だ、誰か居るんなら助けてくれえ」
とどのつまりあの男は蝉の演奏と着信音とを聞き分けたのだ。なんて野郎だと心の中で地団駄を踏んだ。
一気に汗が噴き出る。彼氏なんて相手にしている暇なんてなかった。一刻も早くここから逃げなければ。
携帯に目をおとし、着信を切った。さて、これから逃げようとしたときに、私は失神しそうになった。
人の形を成した蟲たちが眼前に立っていた。正しくは、全身に隙間なく蟲を付着させた男が立っていた。
「そんなとこにいやがったのかあ…。」ニチャアっと口を大きく歪ませる。男は迂闊にも唇に僅かな隙間を作ってしまったのだ。
次の瞬間は今まで以上に恐ろしかった。
身体を這っていた蟲たちが勢いよく男の口内に飛び込んだのだ。
今だから冷静にたとえることができるが、まるでタイムセールに押し寄せる主婦らのようだった。
ヴヴカジャカジャバチバチ…グシャ。クッチャクッチャ。
なんと男は一瞬の険しい表情を見せただけで、すぐに私を見る恍惚の表情に戻った。
いや、それ以上に。音から察することができると思うが、彼は蟲らを噛み潰していた。咀嚼していた。
そしてその悍ましい咀嚼物は路上に吐き捨てられ、ベチャッと強くアスファルトに叩きつけられた音を放ち、飛沫を上げた。
「さあ、もう準備はできてんだろうなあ?」男の言葉が私には理解できなかった。
しかし次の男の行動で私はそれを悟る。蟲に覆われた掌で私の手首を包む、そして押し倒される。
…もうこれ以上、私は書くことができない。その後はマンションの住人に発見され、男は逃走した。
今、私は彼のストーキングから逃げるつもりため、引っ越しの準備をしている。
彼氏にこのことは話せていない。処女じゃなくなったと知れば、捨てられるかもしれないからだ。
そんなことはないと信じたいが、やはり勇気がいる。
純潔の喪失感と恐怖感が綯交ぜの日常を癒してくれるのは、もはや彼しかいないのに。
《三宅 万梨阿のブログ記事に対するコメント1件》
おいwこんな長文書いちゃってホントはうれしかったんだろ?w
悲劇のヒロインもきどれて一石二鳥ですねw
それに鈍感な彼氏にも不満抱いてんじゃねーの?ww
彼氏はお前のことめちゃくちゃ好いてるみたいだったけどなw
うざいと同時にうらやましかったぜw
逃げられると思うなよ
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抄訳
《被験者:109号の結果》
微熱を孕んだ室外機が幾つも幾つも幾つも幾つも、計四つの室外機が微熱を孕んでる。
襤褸の街には排気と廃棄とが綯い交ぜの青春を謳歌する猫はニャアと泣いて人もキャアと鳴いて其々が其々の生活をネットの餌にしてパクパク食わせ安っぽい遊園地みたいなオケの薄いチャンチャカ音楽が信号機から流れて人も流れて電車も流れて性行為、枯れ葉の落ちる間の時間まで息を止めていた少女の自殺。
妥協の一途を辿り人と内側の自分に殺され人が小学生の名札を踏んづけて泣かせて悦楽は彼女等、熱を帯びた黒髪靡かせ淫靡の交情を知ったつもりでいるつもりだ。遮断機の遮断桿のカンカンの淡々の蝶々は延々と咳き込んだ夢の夢の住人で公衆トイレに篭ってちゃん、爪切り探す母親が深夜に消え困ったちゃん。
屑の人材派遣の文字が走行中にババア跳ねて心電図は運動会、男は懺悔不戯言言、横断歩道の白い塗料を電話電話電話かけて女かけて忘却の街ば再生せんと関係図の線は未だに濃いかけんばいかん。屑の人材派遣トラック排気ぼこぼこ排出量世界一の光景僕は忘れ難しの光景君は嘲笑いし数珠し自称四肢支障症。
ゲロのキッチンタイマァ目腫らし青年、宙に猫が暗黒を間違い探しの旅ズンズン進め吾等虐殺の前科終わりだ世界、縄輪っか担うナウ、溢れ男が溢れ女に溢れドゥクドクアッ三分だ。オタマ漏れ出すアタマの漏れ出すゲロに似て庭先放出悦悦悦、妹犯しの三千里、アァ時間だ焦げちゃう液、固体白虎隊一体なんだい伯父さん。
街路樹の磔のチラシの問題視、幼児が凝視、ジジイ壊死、マッカ消火栓に熱帯魚は倫理に反して殺す。恋仲カップル黴に鳴って蔓延ればキャアのキャアに煩いなあと893バタム性交渉。俺が悪いの罪悪の弔いの自己や嫌悪に絆され愛の第一次ジブン革命戦争勃発ツツツツーツツダダイズム。
おかあさん
肛門の虐待対し肢体笑い信号が今に赤になる焦燥の裂傷にスリップして横転緑のガソリンブチャー残念だったと妊婦だ、嬉し恥ずかし喧しいわボケぬっころすぞッテ大阪城に聳える今に歪む親父の口元からファホファホ煙がファホファホまるで室外機そう室外機違い既知外の15階建て身を清めイザ参らんと原付奔る。
輪郭が動いてら内側死ね、輪郭動いてら中身死ね、輪郭が動いてら素性死ね、輪郭に恋してらその他死ね、輪郭を犯してら空しいく飼育折檻折檻壊れちゃうヒィもうやめてと泣き叫ぶ涙乍に。陰は閉じてバタム、時も止まって幼い頃走馬灯のように、股は閉じなさいと両親が言ったことを守れなかった少女は懺悔死。
風船はモノトーンの映像で弾ける。こころは痛むんだでもどうしようもないんだ快楽がそこに交じってんだ援助交際みたいにカースト制度みたいに九龍城みたいに。堕胎のリズムで死ねたら良い。ドラッグに頼るみたいに死ねたらいい。マリファナの煙が肺の虫を燻した後の高揚感、君にはわかるかい、だろわからんだろ。
荒んだ夢を掲げては少年の長い髪を見ているカラスの様に身の程知らずの滑稽だと嘲笑されては水質汚濁の心だ。吼える産廃のほうには誰も見向きもしやがらんでますます恥の基準値低下すんだよ。なんだよ俺を見んなよぶっ殺すぞいまにな。咳をしても独りなんだ多分これからずっとワンルームのみの世界の干渉を受けない醜いこの排他的なワンルームで天寿を全うするんだなあ。
有触れた言葉に飽いた眼窩から毀れん球体ひとっつふたつに蛸焼き美味いなあ。
柿の種を食べているが卒塔婆を間違えて食べちゃった事を咎める女の子は線路で青空仰ぐの絵具みたい排気の煙が集団的自衛権の行使で空に集積して蔑むんだ、不安の明日の足を舐めれば免罪符は、もうないと告げられ軽挙の妄動、挙動の不審さながらのガムテープのビビビイの音を聴き流して今に入水こんにちは。
私みたいにほらみてきもちいいいきっとおにいさんはわたしが好きなの。会った時から知ってたの。けどはだとはだは摩耗していたいの。
ピンク色に艶やかに発光のダイオードの部屋は深夜のコンビニに並ぶ程の威圧感を放っていて匂いもエロい本もあるから酷似してる。ページを捲る擦れる音もさなにもかんも似てるさ。アッ消費税もだ。多分。排気ガスが息巻いて怠惰の日常を運んでシュレッダーの会話もとげとげも猫のニャアの盛りのついたメス猫もさ、厭らしい目で見ている小学校教諭もマスクつけてる女子中学生も忘れ物して落ち込む小学生だ。きっと俺ら、子宮に何か忘れてんだよ。それがほかの人に合わせられない決定的な欠落だよ。
龍をせぐ曇天の街にパッパラ卑下するオタクめ全員監禁してやる精神喰われちゃってもう駄目じゃん今に見てろ同情はマーブル模様になって温かいうちにグイッといってやるサアどうした、ふふふ怖いんだな汗が滲む、春の地面は心地良いぞサア還れよ、アイロン処刑執行人みたいな音にチャカチャカの頭蓋の骨を叩いてやる。
鴨川の大学生は兵隊さながらの様相でひどく嫌悪して堕胎しろと女に怒鳴ったときみたいに顔マッカで叱って列を乱すは将校にどやされるけどアスペルガー患ってるから知らんよ全然。
骸骨は象さん如雨露に尿を溜め、柱状変圧器の隅を齧り小学校を模し、高橋食肉ビルを上履きにして泥を踏んで不快になって死のうかなってなって。自殺願望者。否、生存拒絶者は日本の割合をたちまち半分の占めを世界中No.1のシェアを誇るってさ骸骨が。小学生鳴かせの上履隠しは泥んこになって泣き腫らすんだ。
夕暮れに蝉時雨に五時告げる鐘響き子供たち四散せばならんけど僕独りなんだ。ブランコとかだったりの遊具がキイキイ錆びた音を耳触りの悪いので提供してくれてる鉄。頭蓋が駄目んなってしまう程の寂寥感は清涼感で緩和、すなわちそれはアリンコ潰し遊びで。赤軍派だったり白樺派だったりいろんな派閥があるけど僕はひとりのぼっちの派閥だなと哄笑と抗いの自嘲を重ねて合唱コンクール金賞受賞事象卑小の半鐘理想。希望の青さ、悲しみにて乾いた笑いにて味薄まったカルピス、おかあさんは家でもうつくってくれないだろう。
おかあさん
デパートのおっきな風船に七夕の紙がついてるやつに僕は恋焦がれて告白、駄目よと言われたので泣き腫らした。喉は痛いの痛いのとんでけーは何処にとんでったんだろ。ちいさい風船で我慢しなとフラれて妥協する僕は垂らしで、その風船をどっかにやってしまって痛いの痛いののやつみたいにどこかへ飛んでった。屋上の廃れた遊園地で、遊園地が、夜を引っ張り始めたころ、あれおかあさんまでどっかに引っ張られちゃって悲しいねおはおう喪失感こんにちは喪失感こんばんは喪失感さよならおかあさん、人工的な風が冷たくて不快だよ。
だから今日も僕は微熱を幾つも幾つも幾つも幾つも、計四つの微熱を孕んでる
そして遮断桿がお辞儀するからね、僕もするんだ、でもカンカンに赤くなってるどうしよう。
《研究者のメモ》
自殺志願者を起用しての実験は、とても端的で拙く、理解しがたい節もあるが、人生をこれだけの文章で抽出することが出来るのなら結果として成功と云うべきだろう。
ただやはり最新の記憶から特徴語が抽出されてしまうため、時系列が逆さまになってしまっている様だった。
改善しなくてはなるまい。次の被験者で試行しなくては。
きっと次こそは脳味噌が融解するようなことは無いだろう。
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この夜に夢が路傍に朽ちている。
徐にわたしはそれに触れると、それらの夢が魂の残滓となって弾けた。
わたしの髪は生暖かい風を孕み、音もなく揺れる。
夜が太陽を飲みこみ、星が燃えている。
腐った肢体が何かを問うが、彼には内臓が無かった。
不感症の信号機が母胎の森を照らすころ、わたしは何かの不安に苛まれる。
いくつもの幻覚がトリップして、非現実を現実へと変貌させた現実を見据える。
心の廃墟で泣いている黒い彼に手を差し伸べるが、それは夢のように消えてしまった。
電子の海月が揺蕩うのは、文明の不甲斐なさが原因である。
放物線を描いた魂の線。
猥雑な手記がそれぞれの墓場で死んでいる。
その朽ちた手記を拾い集めては、日々の肥やしとした。
どれも腐っていた。
偉人は脳を転がして名言を吐く。
鉄塔は夢を見ているのをわたしは見ていた。
田園に聳え立ちながらも、髭の様な雨に穿たれようと、鉄塔は夢を見ていた。
そうだ、きっと貴方もつらいのだ。