ワザップ!フォーラム
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〜はじめに〜
・本作品は、
『ドラゴンボールZ』に
登場する『ターレス』が
主人公のSSです。
・2次創作ですので、
不自然なシーン、キャラ崩壊などあるかもです。
ご容赦ください。
・非公式の設定もあります。
嫌いな方は、このSSを読むのはおすすめできません。
・投稿主から一言
「俺の過去の作品
『ターレス戦記』の
リメイクとなる本作品ですが、
読み易さは割りと改善されてると思います。
お楽しみ頂ければ幸いです。」
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第0話
『宇宙の壊し屋 ターレス』
ビュオォォ……
あまりに広大な砂漠に吹きすさぶ風は、砂の混じった、弱く、乾いた風だ。
この星の名前は、
『ナバナ星』。
1時間ほど前は、文明がそこそこ発展していて、全宇宙の中でも平和な部類に入る星だったが……。
突如として、『宇宙の壊し屋』と恐れられる軍団が襲撃し、ナバナ星の民は、それに対抗しきれず、敗戦してしまった。
その結果が、今の、砂漠と化したナバナ星である。
しかし、砂漠は砂漠でも、生気に満ち溢れた一本の大木が、そこにあった。
その大木の名前は
『神精樹』。
植え付けられた惑星のエネルギーを吸い取れるだけ吸い取り、それを我が物にして実をつける、恐ろしい大木である。
そして、その神精樹から採れる実が
『神精樹の実』
である。
神にのみ食べることを許されたという、その実の効果は、
平たく言えば、食べた者の戦闘力を滅茶苦茶上げるというものだ。
そして、前述の『宇宙の壊し屋』と恐れられる軍団は、この神精樹の実を食べて、強くなっているのだ。
「……様、これで我々も更に強くなれまっせ」
「順調だな……フフッ」
……と、ここまでは、彼らにとって『いつも通り』だったが……。
「おい、……、これを見てみろ」
「ん?なんだ?」
その男の目に入った物は、
通常のそれとは違う、鈍い銀色に光る神精樹の実だった。
「……フン、どうせ、欠陥品だろ、捨てとけ」
「でもよ、明らかに欠陥品とは思えない輝きをしてるんだぜ?」
「なら勝手にしろ。大事にとっとくんだな」
「ああ、そうさせて貰うぜ」
「フン……」
「……よし、これぐらいで良いだろ」
どうやら、一通りの『仕事』は終えた様である。
そして……。
ガブッ
彼らは、さっき採った神精樹の実を、良い音を立ててかじった。
すると……。
「……思った以上のパワーアップだ……ッ!」
「ナバナの連中に感謝しなきゃな……フフフッ」
「……この力で……っ」
ターレス「全宇宙を跪かせてみせる!」
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第1話
『ターレス軍団襲来!
地球まるごと超決戦?!』
無数の小惑星が衝突しあう宇宙空間の中で一際目立つ宇宙船は、今まさに地球を目指して飛んでいた。
「ターレス様、青く美しい星『地球』が見えて参りました」
そう言ったのは、軍団イチの巨体を誇る『アモンド』だ。
語尾が『〜でっせ』なのが個性的である。
「へっへ、ここなら良い神精樹の実が成りますぜぇ」
そう言ったのは、とても小柄な団員『レズン』だ。
今は同化しているが、弟に『ラカセイ』がいる。
「…………」
鋼鉄のボディを身に纏う、無口な団員は『カカオ』。
ターレス軍団の一員として活動をする一方で、『宇宙の賞金稼ぎ』としても、そこそこ名は知れてる。
「ターレスよ、ここにはお前の旧友がいるんじゃなかったか?」
そう言ったのは、とある王朝の元王子『ダイーズ』。
元々ターレスと敵対してたせいか、軍団の中で、唯一ターレスを呼び捨てにする。
ターレス「旧友だと?笑わせるな……」
ターレス「……カカロット……」
ターレス「サイヤ人の面汚しめ……ッ!」
……ターレス達を乗せた宇宙船が、地球の大地に着陸した。
レズン「うっひょおおぉ!」
レズンは、大きく息を吸って、吐いて、肩を下ろす。
レズン「空気が美味しいトコじゃねえか!」
アモンド「レズン、あまりはしゃぐな」
ダイーズ「……壊すには惜しい星だな」
ダイーズ「お前はどう思う?」
ダイーズは、ターレスがいる方向に首を傾ける。
ターレス「……フン、いずれココも、『ヤツ』に目をつけられる運命だ……。」
ターレス「その前に、ここは俺達の手で……」
ダイーズ「へいへい、分かりましたよ、じゃあ、さっさと神精樹の実を植え付けようぜ!」
話の途中で、それを遮る様に、ダイーズは言った。
ターレス「……チッ」
腹が立って舌打ちを打つターレス。
ターレス「……まぁ良い。アモンド、『アレ』を頼む」
アモンド「かしこまりました」
すると、指先に何やらパワーを込め始めたアモンド。
アモンド「むぅぅぅ゙……」
アモンド「『プラネットボム』!!」
そう叫んだ瞬間、目の前の、何もない高野のど真ん中で、凄まじい爆発が発生した。
黒煙と共に砂嵐が、激しく空を舞う。
やがて黒煙は消え去り、視界が良くなった。
そしてターレス達は、爆発地点に向った。
大きく抉れた大地を下に見下ろすと、真っ暗で、全く底が見えない。
所謂、奈落の底である。
一通り見終えたターレスは、腰に下げた小袋から、一粒の種を取り出した。
『神精樹の種』である。
ターレスは、取り出した種を、先程出来上がった奈落の底に放り投げた。
ターレス「良い芽を根付けよ……フフッ」
バシュウウウン
ターレス達は、不敵な笑いを浮かべ、その場を後にした。
……一方、ターレス達の『気』にいち早く気付いた者がいた。
「そんな……まさか……ッ」
その名は『孫悟空』。
またの名を『カカロット』。
地球育ちのサイヤ人である。
悟空「ベジータ達と同じサイヤ人の気……!」
悟空「しかも、そいつらとは桁違ぇの、とんでもねぇ気だ……!」
危機を感じた悟空は、今すぐターレス達の元へ向かった……。
……ターレスと悟空。
これから始まるであろう二人の激闘は、恐らく、『地球まるごと』巻き込むことになるだろう……。
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第2話
『激突!二人のサイヤ人
超決戦の幕開けだ!』
鱗雲を突き抜ける一筋の光。
天を駆ける悟空の耳元に、更なる天に居る者が囁く。
『……悟空!聞こえるか、悟空ー!』
悟空「界王様かぁ、どうした!」
今、悟空と(直接ではないが)会話しているのは、『界王』様だ。
遥か天空のその先にある『界王星』で、暢気に過ごして……いや、そこで人々を見守っている、とても偉いお方だ。
界王『悟空、今お前が追っている者は、『宇宙の壊し屋』と恐れられているサイヤ人だ!』
悟空「やっぱりサイヤ人だったか……それで?」
界王『奴はこの地球に神精樹を植え付け、破壊しようとしているんだ!』
悟空「ひゃ〜!地球を破壊だってぇ?!」
悟空「……ところでよ、その神精樹っちゅうんは、どんなモンなんだ?」
悟空は、申し訳なさそうに、頭を掻きながら、神精樹について問う。
界王『うむ、神精樹というのは、植え付けられた惑星のエネルギーを……』
〜説明後〜
悟空「なんてこった……そしたら、今もこうして、その神精樹っちゅうんが……」
……そう。
今もこうして、神精樹が地球のエネルギーを吸い尽くしつつあるのだ。
界王『このままでは、地球が崩壊してしまう。だが、手がないというわけではない』
悟空「ほ、ホントか、界王様ぁ!」
界王『まずは、諸悪の根元であるサイヤ人の元に向かうのだ』
悟空「おぅ、任しとけ界王様!」
バシュウウウン……
ターレスの元に向かう悟空。
その一方で、ターレスの存在に気付いた者がまた一人。
その者が今居る場所は、巨大な山の、頂上に登る途中に存在する小さな森の奥だった。
「……よし、もうこれで大丈夫だよ!」
そう言った少年のすぐそこには、腕に草の包帯を巻いたドラゴンがいた。
少年は、このドラゴンの傷の手当てをしていた。
ドラゴン「ぐぉーー!」
「よしよし、すっかり元気になったね」
ドラゴン「ぐぅー」
ドラゴンは、少年の頬をやさしく舐める。
「ははは、やめろよ。くすぐったいだろぉ」
ドラゴン「ぐぅ、ぐぉ〜ん」
この、ドラゴンと心を交わした少年の名前は『孫悟飯』。
孫悟空の一人息子で、サイヤ人の血を引いていながら、地球人の優しさを持つ少年だ。
悟飯「今度は遊ぼうね、バイバーイ!」
ドラゴン「ぐぉ〜ぅ!」
悟飯とドラゴン。
お互い手を振って別れた。
そして、この時から、悟飯は何かの異変に気付いていた。
なぜなら、さっきの森の木々の中で、明らかにその森の、いや、地球上のそれとは全く違う木が生えていたからだ。
それも、ただの木ではなく、なにか、根っ子の様な肌触りで、凄いエネルギーを感じさせられた。
その一方で、周りの木々のエネルギーが減っていくような気もした。
悟飯「……さっきから嫌な気がこっちに近づいてきている……」
ザッ
悟飯「!」
草を踏む足音が聞こえたので、その方向に視線を向けた。
その方向は、さっきのドラゴンと戯れていたその場所への方向。
胸騒ぎがした悟飯は、すぐにその方向に飛んでいった。
すると……
「……フフ、ここらで腹ごしらえもしとくか……」
悟飯「なっ……!」
この時、悟飯は察した。
さっきの足音の主が、さっき自分が手当てしたばかりのドラゴンを食べようとしているのだと。
見過ごせなかった。
悟飯は、その一心で、未知の敵に挑んだ。
悟飯「やめろーーっっ!」
しかし、悟飯の渾身の力を込めた一撃は……
ガシッ
悟飯「!?」
片手で受け止められてしまった。
ターレス「何だ小僧……この俺に楯突くのか」
悟飯が言っていた、嫌な気の正体は、ターレスだった。
いや、それよりも驚くべきことは、他にあった。
悟飯「お……父……さん?」
ターレス「?」
なんと悟飯、父である孫悟空とターレスを見間違えたのだ。
無理もない、なぜなら、悟空とターレスのその顔は、正に瓜二つなのだから。
しかし、似ても似つかない。
なぜなら、悟空が純粋なのに対し、ターレスは『悪』そのものなのだから。
そして、そのターレスは、悟飯のあるところに気付く。
一つは、悟飯のお尻に生えてる尻尾が、サイヤ人のそれだということ。
もう一つは……
ターレス「……そうか、貴様、カカロットの息子か」
ターレスの、悟空に対しての『カカロット』というその呼び方で、悟飯は、こいつはお父さんではない。ということに気付いた。
そうと分かればと言わんばかりに、悟飯は、ターレスに敵対の意思を見せる。
悟飯「お前……サイヤ人だな?!」
ターレス「そう、俺の名は『ターレス』。」
悟飯「ターレス……?」
ターレス「小僧、カカロットの居場所を教えろ。そうしたら放してやる」
しかし、悟飯は交渉に乗らず、手を振りかざし、人を殴る体勢になった。
悟飯「誰が……お前なんかにぃぃぃ!」
ガシッ
しかし、またしても受け止められてしまった。
ターレス「そう邪険にすんな……俺達は生き残ったサイヤ人の僅かな仲間……」
ターレス「仲良くしようや……ッ!」
と言いながらも、悟飯の小さい握り拳を強い力で握り締めるターレス。
悟飯「うわぁぁぁ!」
激痛のあまり悲鳴を揚げる悟飯。
「……オラの悟飯に……ッ」
ターレス・悟飯「!」
「手を出すなぁーー!」
ターレス「ッ!」
とっさに悟飯を放り投げ、『気弾』を両手撃ちしたターレス。
ドォォン!
激しい爆発が辺りを包む。
突然の奇襲に焦りを隠せなかったターレスだが、今、再び冷静さを取り戻した。
暫くして、草が舞い散る煙が消え去った。
そして見えたのは、悟飯の真の父親『孫悟空』だった。
ターレス「……カカロット……」
悟飯「お、お父さん……!」
悟空「オラ……おめぇを許さねぇ!」
……大ピンチの悟飯の前に駆けつけた悟空。
ターレスと悟空の、サイヤ人としての因縁の対決が、今、切って落とされようとしていた……。
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第3話
『決死の覚悟!
界王拳20倍の超パワー』
ターレス「…………」
悟空「…………」
二人の激しいにらみ合い。
二人の間に吹く風は、ナバナ星のそれとよく似ていた。
この青く美しい地球も、このままでは、赤茶けて乾いた星に変わってしまう宿命である。
暫くの沈黙の後、先に口を開けたのは、ターレスだった。
ターレス「カカロット……サイヤ人の面汚しめ!」
悟空「オラ、地球で生まれ育った孫悟空だ!」
ターレスの言い分を真っ向から否定する悟空。
次に悟空は、ターレスに対する怒りをぶつけた。
悟空「地球をこんな滅茶苦茶にして……」
悟空「悟飯にまで手を出そうとして……」
更に次の瞬間、悟空は大きく息を吸って……
悟空「……オラ、おめぇをこのまま帰すわけにゃいかねぇっ!」
ターレス「……っ!」
相手の心に響くように、大きな声を張った悟空。
しかし、根っからの悪であるターレスには、それは無意味なことであった。
そしてターレスは、
『言いたいことはそれだけか』
と言わんばかりに、アキレス腱あたりに力を込めて、足を踏み込んで……
ターレス「ならば……ッ!」
バシュッ
悟空「!」
ズンッッ
悟空「?!……ぐはっ」
一瞬にして悟空の懐に飛び付き、強烈なパンチを叩き込む。
次にターレスはこう言った。
ターレス「なら、俺の邪魔をするな……」
ターレス「地球人ごときに、サイヤ人は止められはしないぜ!」
ドゴッ!
悟空「うわぁぁぁ!」
今度は、鎖骨あたりを目掛けて裏拳を放った。
おもいっきり吐血し、そのまま地面に倒れかけた悟空の頭を、凄い勢いで踏みつけ、踏みにじるターレス。
そして、こう言った。
ターレス「跪け……跪いて命乞いをすれば許してやる……ッ!」
悟空「い、いやだッ……!」
ターレス「なんだと……?」
悟空は、苦しい顔をしつつも、ターレスの誘いを振り払った。
なぜなら、悟空にはある『覚悟』があったからだ。
地球を守るため……
仲間を守るため……
この宇宙の、平和を取り戻すため……
このサイヤ人と戦う覚悟を……決めていた。
悟空は、こうして虐げられていながらも、燃える戦士の、眼の輝きを失うことはなかった。
そして、ターレスは、そんな悟空が気に入らなかった。
ターレス「往生際が悪いところだけはサイヤ人そっくりだなッ……!」
ガシッ
悟空の髪の毛を鷲掴みにし、晒し首の様にぶら下げる。
そして、そのまま、膝で鎖骨を蹴って、更に蹴って、蹴りまくった。
悟空「う、うっ、うわ!、がぁぁ!!」
悲鳴を揚げられても、ターレスは攻撃の手を休めない。
だが、鎖骨にヒビが入ると死んでしまうので、あくまで手加減をしながら。である。
悟空「がっ……うわぁぁぁッ!!」
あまりの激痛に、涙さえも流してしまった。
だが、それでも、ターレスは蹴るのを止めない。
躊躇もしない。寧ろ、とても嬉しそうだ。
血も涙もないとはこのことである。
ここまで、押されっぱなしな悟空だが、ある考えが、悟空の脳裏に過る。
それは『界王拳』。
界王秘伝の奥義で、ベジータ戦でも大活躍だったが、その『度合い』を間違えると、使用者を死に至らしめるリスクも持っていた。
だが、今悟空は、そのリスクを恐れず、極限にまで界王拳を高めようとしていた。
そうでもしなければ、こいつには勝てない、そう思った。
決死の覚悟を決めた悟空は、ついに……
悟空「界王拳……」
悟空『20倍だぁぁーーーーーーー!!!』
ターレス「……!?なんだとッ?!」
……ついに、界王拳のリミッターを外した悟空。
地球育ちのサイヤ人は、ターレスを倒すことができるのか?!
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第4話
『空前絶後の大死闘
かめはめ波VSキルドライバー』
ターレスの拘束から解放され、形勢が逆転した。
しかし、いくら勝つためとはいえ、余りにも無茶なことをした悟空に、界王様はカンカンに怒っていた。
界王『ばっかもーん!今の悟空が20倍の界王拳を使ったりしたら……』
悟空「いっ!?」
激しい怒鳴り声が、悟空の耳の穴で鳴り響く。
歯をくいしばる程に痛く(?)、本当に鼓膜が張り裂けそうだった。
悟飯「お、お父さん……」
ターレス「…………ハァ」
父親の情けない姿を見て唖然とする息子。
敵も、呆れて見ていられない。
悟空「ま、まぁ良いじゃねえかぁ、減るモンじゃねぇんだし」
界王様『そういう問題ではない!』
界王様『もし減るとしたら、お前の寿命ぐらいだ!』
悟空「いぃ〜!勘弁してくれぇ界王様!」
界王様『知らん、それより……』
悟空「……あぁ」
その時、悟空の目付きが、キリッとした逞しい戦士のそれになった。
ターレス「……!」
その、やる気満々の悟空を見て、ターレスも切り替え、戦闘の構えになった。
悟飯も、その場の空気で緊張し、息を飲んだ。
再び戦闘モードになったこの二人。
大地は震え、木々は揺れ、
空は竜巻を起こし、海は波を呼ぶ。
曇天の下で、本当の『闘い』が、今、始まる……。
悟空「うりゃああああああ!!」
ターレス「はああああああ!!」
一秒も足らずに、一気に距離を詰めた二人。
そして、それぞれの右手を振りかざし……
ドオォンン!!
空間さえもが震える、拳同士の激突。
足元に広がるのは、小さな大地が多数浮かんでいる巨大なクレーター。
お互いの拳の間に、血が流れ落ちていく。
その血は、二人の凄まじい気に押し潰される様に、一瞬で消滅した。
次の一手を悟空が仕掛ける。
悟空「らあああああああああ゙!」
ターレス「くっ!」
辛うじて交わしたターレス。
だが、悟空の拳から衝撃波が発生し、その先にある地面が凄い勢いで抉れた。
そしてターレスの頬の皮膚も、衝撃波によって、刃物で切られたような傷ができた。
だが、ターレスは、その傷の痛みをモノともせず、怒濤のカウンターを放った。
ターレス「くたばりやがれッッ!!」
悟空「!」
スガッッ!!
悟空の脳天をぶち抜くが如くの強烈な両手打ち。
その衝撃で、強く地面にうちつけられ、更にその上でバウンドまでした。
頭を強く叩かれたせいか、意識が朦朧として、目眩がして、胸焼け、更に腹痛も催した。
悟飯「お父さん!!」
子供でも分かる。
今の悟空は、相当危険な状況なのだと。
最早まともに立ってはいられない悟空に対し、ターレスは、無慈悲に更なる追撃を加えようとしていた。
ターレス「貴様が死んだ後、この砂漠と化した星のど真ん中に貴様の墓を建ててやる!!」
ターレス「それが、同じサイヤ人として生まれた俺からの、せめてもの贈り物だ……」
そう言うと、ターレスは、掌に、巨大な気弾を作り出した。
その威力は、少なくとも、悟空の体が跡形も無く消滅程のモノである。
その気弾を放つ直前に、ターレスは、不敵な笑いを浮かべながらこう言った。
ターレス「あばよカカロット。泣くなら地獄で泣きやがれ」
ポーヒー
悟飯「いけない、お父さん!よけて……」
ドォォォォォォン!!
悟飯のその声も虚しく、巨大な気弾は、大きな音をたてて大爆発を起こした。
悟飯「!」
悟飯はとっさに舞空術で、爆発から免れるために飛び立った。
辺りを激しい光が包んだ。
目を開けていられない程に眩しかった。
暫くして、光は消えて無くなり、残ったのは、視界一杯に広がる広大なクレーターだった……。
そのど真ん中にターレスは浮いていた。
そして、そこに悟空はいなかった。
完全に消え去ってしまったのか……
いや、違う。悟空は……
悟空「はぁ……はぁ……」
なんと、悟空は生きていた。
そこは、ターレスの視界にも、悟飯の視界にも入らない、所謂、『死角』に『移動』していた。
そう、悟空は、気弾が着弾する直前に、20倍界王拳のスピードを出しきって、爆発に巻き込まれ死亡するを辛うじて免れたのだ。
だが、ターレスもそれに気付いていた。
冷静にスカウターで敵の場所を探る。しかし……
悟空「タァァァレスゥゥゥゥ!!!」
ターレス「!?」
その時、遥か上空で、雄叫びの如く唸る呼び声が。
ターレスはすぐ、その呼び声が聞こえた方向に目を向けた。
ターレス「な……」
すると、太陽よりも眩い光が、ターレスの目に焼き付けられ、そして震わせた。
その光を放っていたのは、そう、悟空だった。
自分の両方の掌を照らし合わせて、その間に、大きな気の塊を作り出していた。
悟飯「や、やったぁ!お父さんっ!」
ターレス「あいつ……何時の間に?!」
悟空「ターレス!おめぇだけは……ぜってぇ許さねぇぇ!!」
悟空「受けてみろ!これが、20倍界王拳の……」
悟空「『かめはめ波』だっっ!!!」
ターレス「なにっ?!」
シュインシュイン
悟空「……波ぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドュゥゥゥゥン!!!
ターレス「くそったれがぁぁぁ!!」
悟空とターレスのその距離は、悟空のかめはめ波も余裕で交わせる程遠かった。
だが、だからといって、かめはめ波を交わすと、地球そのものが消し飛んでしまう。
20倍界王拳のかめはめ波は、それだけの絶大な破壊力を持っていた。
『宇宙の壊し屋』たるターレスにとって、地球がどうなろうと知ったことではなかったが、
今破壊されては、ターレス達は宇宙空間に放り出されることになる。
さすがのターレスといえど、酸素無しの宇宙で生き延びることはできないので……
ターレスは、かめはめ波に対抗することにした。
ターレス「はぁぁぁ……」
悟空と同様(ポージングは違うが)、両方の掌を合わせ……
円形の、リング状の気を成形した。
なんとも妙な形だが、これは、ターレスのとっておきの強力な技『キルドライバー』だ。
そして、ターレスは、そのキルドライバーをついに振りおろし、放った。
ターレス「こいつで終わりだぁぁぁぁ!!」
ドギュウウウウウン!!
悟空「何?!」
ギュオオオン……
衝突したかめはめ波とキルドライバー。
だが、お互い相殺されず、そのまま撃ち合いになっていた。
悟飯「あ……ああ……」
地球の命運を賭けたこの撃ち合いだが、悟飯は、不本意ながらも『綺麗だな』と感じた。
例えるなら、『戦場に咲く一輪の花』。
ターレスは、地球の大地に支えられ……。
悟空は、地球の大空に支えられ……。
それぞれの意志で……。
……そして、今、地球をまるごと巻き込んだ決戦が、終わりを告げようとしていた。
最初は、ターレスのキルドライバーが押していたが……
ここにきて、悟空のかめはめ波が少しずつ、ターレスとの距離を詰めていた。
ターレス「ぐっ……うぅっ」
悟空「はぁぁぁ……!」
……戦闘力なら、まだターレスがギリギリ上回っていた。
だが、だからといって、悟空が負けるはずはなかった。
なぜなら、悟空にはあって、ターレスにないものがあったからだ。
ターレスが『破壊』をするなら、悟空は『守護』する。
そう、悟空には、『守るべきもの』があった。
地球も、チチも、悟飯も、クリリンも……
仲間は全部、なにがなんでも守り通す。それが悟空だった。
その意識の違いが、ターレスをここまで追い詰めたのだ。
ターレスも負けじと踏ん張るが、もうこれで精一杯だった。
……その時……
バァァァァン!!
ターレス「!!」
ターレスのキルドライバーが、撃ち破られた。
そして、そのまま、かめはめ波は……
ターレス「な…………」
シュイイイイィィン!!
ドッカアアアアンン!!
ターレスに直撃した。
凄まじい光と共に、ターレスどんどん吹き飛ばされてゆく
ターレス「うわぁぁぁぁぁ!!」
やがて、かめはめ波は、ターレスを連れてどこか遠くに飛んでいった。
そして、その先で、20倍界王拳の巨大な気が炸裂した。
その様は、悟空達の目からでもハッキリと見えた。
……果たして、悟空は、本当にターレスを倒せたのだろうか。
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第5話
『銀色の戦士?!
超サイヤ人 ターレス覚醒』
荒れ果てた荒野の片隅に、大の字に倒れたターレス。
強烈なかめはめ波を食らっても、なお息があるが、もはや虫の息であった。
ターレス「はぁ……はぁ……」
目は半開き。まぶたが重い。
どこの関節も、動く気がしない。
戦闘服はボロボロで、肌に当たる風が痛い。
このままでは死ぬだろう。
ターレスの目は、全く生気が無かった……。
……一方、悟空達は、ターレスがまだ生きていることに気付いていた。
悟飯「お父さん、はやくアイツに止めをささなきゃ……」
悟飯はそう提案した。だが……
悟空「……無理に殺すことはねえ」
悟飯「!」
……悟空は昔からこうだった。
どんなに悪い奴でも、憎悪のままに殺さず、生かしてやろうとする。
それが、悟空の流儀だ。
純血のサイヤ人でありながら、地球人の優しさを持つ悟空は、誰からも愛される存在だった。
悟飯も、そんな父の背中を見て育ったので……
悟飯「……分かったよお父さん。だけど……」
悟空「だけど?」
悟飯「今度、アイツが悪いことをしたら……」
悟飯は振り向いて、笑顔で言った。
悟飯「……その時こそ、アイツをやっつけてよね!」
悟空「……ああ、分かった。約束だ!」
悟空も笑顔になる。
だが、その笑顔は、未練もなく死ぬその直前のその笑顔に変わり、そのままバタッと倒れた。
悟飯「お、お父さん!」
界王『言わんこっちゃない……』
界王『『仙豆』でも食わん限り、当分再起不能だろうな』
……
「……ーレス!」
……?
「……レス!ターレス!」
……!
ガタッ
ターレス「ハッ!」
ダイーズ「ようやく気がついたか……」
ここは神精樹の穴の中。
気の遠くなるような高さの天上の下、ターレスは目を覚ました。
さっきまであった傷が嘘の様に消えてる。
これも、神精樹のおかげなのだろうか。
ターレス「……貴様らが俺を運んでくれたのか」
アモンド「御安い御用でっせ」
ダイーズ「いや……それより」
ターレス「?」
はて?な顔をしてダイーズを見る。
ダイーズ「……お前、相当怪我してたぜ?なんかあったのかよ」
するとターレスは、肘を膝に乗っけて、風に髪を靡かせながら答えた。
ターレス「……カカロットにやられた」
ダイーズ「カカロット?って、そいつはターレスの旧友……」
ターレス「ちげぇっつってんだろ間抜けが」
ピリピリした様子。
自分よりも実力が下だと思い込んでいた奴に負けた悔しさは、ターレスのプライドを傷付けた。
アモンド「ま、まぁこうして助かったんですし、ここは一旦引き返して……」
そんなターレスを落ち着けようと、アモンドが発言する。だが……
ターレス「バカ野郎!」ガタッ
アモンド「ひっ」
更に頭に血がのぼったターレスは、アモンドを怒鳴り付ける。
ターレス「貴様はそれでも俺の部下か?!」
ターレス「もっと、サイヤ人の様な誇りを……」
ドッカアアアアン!!
全員「!?」
突然、爆音をたてて、神精樹が揺れ出した。
ポロポロと落下してゆく神精樹の実。
ガツン
ターレス「!」ピキッ
その中の一つが、ターレスの頭に衝突した。
もう我慢ならんと、ターレスの怒りは、ついに最高潮に達した。
相当頭にきたターレスは、天上に向けて、大声で叫んだ。
ターレス「どこのどいつだぁー!こんなふざけたことをしやがる野郎はぁー!」
ダイーズ達「なっ?!」
広い空間のため、こだまする叫び声が咆哮の様に轟く。
ターレス「はぁぁぁぁ!!」
ドギューン
ターレスは、攻撃を加えた者の所へと飛んでいった……
ダイーズ「しょ、しょうがねぇなターレスの奴……」
ターレス「……!」
キキッ
飛行に急ブレーキをかけて、空中に留まる。
そして、ある方向に視点を向けた。そこには……
「……ん?」
「どうしたんだ?……」
ターレス「……貴様らか、こんな真似しやがったのは」
クリリン「え?……って、なんだ、悟空じゃねぇかぁ!」
ピッコロ「……バカめ、見た目に惑わされるな」
クリリン「へ?」
ピッコロ「……貴様サイヤ人だろう。何しに来やがった」
ターレス「それはこっちの台詞だな……」
この、緑色の体色で、頭に生えた二本の触角が特徴的な奴は『ピッコロ』。
昔は悪の大魔王と恐れられた彼だったが、今では悟飯の師匠として、改心している。
そして、もう一人の、ツルツルの坊主男は『クリリン』。
幼少の頃、悟空と共に、亀仙人の元で修行を受けた、悟空の大親友である。
ピッコロ「……俺達はな、このふざけた木を吹き飛ばそうとしているだけだ」
ターレス「バカが、そんなことでこの神精樹が吹き飛ぶと思うのか?」
ピッコロ「なに……?貴様、この木にやけに詳しいな」
疑いの目が大きくなる。
ターレス「……詳しいも何も、この神精樹を植え付けたのはこの俺だからな」
クリリン「何ィ?!」
身構えるクリリン。
ピッコロ「……やはりそうか。ならさっさと、その神精樹とやらを退かせ」
ターレス「……丁重にお断りする」
ニヤリと笑って返す。
そんなターレスに、ピッコロは反発した。
ピッコロ「ふざけるなぁ!!」
指先を二本の触角の間に当てて、気を溜め始めたピッコロ。
ターレス「……フン」
ターレスは、取りあえず待ってやることにした。
ピッコロ「舐めやがって……食らえ!」
ピッコロ「『魔貫光殺砲』!!」
すると、ピッコロは、腕をまっすぐに伸ばし、その指先をターレスの頭に向けた。
その瞬間、一直線に流れる電流が、ピッコロの指先から放出された。
当たれば致命傷のはずだが、なおもターレスは立ち尽くす。
ドォォォン……
クリリン「やったか?!」
ピッコロ「……なっ?!」
ターレス「……少しは効いたぜ……!」
なんとターレス、ピッコロの必殺技を、片手でかきけしてしまった。
不敵な笑いを浮かべると、その次の瞬間……
ターレス「……はぁ!」
ビシュンッ
ピッコロ「……っ?!」
姿を消したターレス。
すると、いつの間にかピッコロの懐に飛び込んでいた。
だが、ピッコロはそれを読んでいた。
伸縮する腕を伸ばし、ターレスを掴まえようとする。だが……
ビシュン!
ピッコロ「!?」
なんと、また姿を消した。
クリリン「……!ピッコロ、後だぁー!」
ピッコロ「何?!ぬわっ……」
ターレス「フッ」
ズガァッッ!!
ピッコロ「がぁっ……」
ピッコロの首を目掛けた、強烈なラリアットが決まった。
二重にトラップを仕掛けたターレスの策略が見事に成功した。
……いや、それよりも、ピッコロが、さっきの衝撃でどこか遠くへと吹き飛んでしまった。
クリリン「ピッコローーーッ!く、くそぉーー!」
ターレス「!」
逆上したクリリンは、『気円斬』の体勢になる。しかし……
ガッ
クリリン「な……あ……」
ヒューー……
ドサッ
意識を失い、下へと真っ逆さまに落ちていった。
ダイーズが、クリリンの首の後を叩いたからだ。
ダイーズ「……少しは落ち着いたか?ターレス」
ターレス「……あぁ、まぁな」
……ヒュウウウウ
ドッカァァァン!!
悟飯「!?」
突然の出来事に困惑する悟飯。
取りあえず、音がした方向へと走っていった。すると……
悟飯「……!ピッコロさん!」
血だらけ傷だらけの師匠が、そこにいた。
ピッコロ「……悟飯か、無事だったか」
悟飯「……ええ、僕は。ですが……」
……悟飯は、ターレスが自分達を襲ったこと、そして、悟空が今危険な状態であることを告白した。
ピッコロ「……そうか、貴様もあいつに……」
悟飯「……え?!ピッコロさんもターレスに?!」
ピッコロ「ああ……それより、これを孫に……」
スッ
すると取り出したのは、一粒の『仙豆』だった。
これは、食べた者の傷が全を癒やし、さらに、一週間は腹持ちするという優れ物だ。
悟飯「これは……でも、ピッコロの分は……」
悟飯はその仙豆を受け取ったが、躊躇した。
ピッコロ「フン、どうせ俺が生き返ったところで奴は止められん、孫しか頼れる奴が居ないんだ」
悟飯「……分かりました。ピッコロさん、どうか死なないで」
ドギューン
悟飯は仙豆をギュッと握り締め、悟空の元へと向かった。
ピッコロ「……フン」
悟空「……んー」
コリッコリッ
美味しそうな音をたてて、仙豆を食べる悟空。
そして……
悟空「……ぷはーー!生き返ったー!」
元気を取り戻し、おおはしゃぎの悟空。
それを見て安心したのか、悟飯はクスッと笑った。
悟空「ありがとなぁ、悟飯!」
悟空「……それと、ピッコロの奴にも感謝しなきゃな」
悟飯「……はい!」
……そんな休息も束の間、ターレス達は現れた。
ターレス「…………」
悟空「……おめぇは、ちっとも反省してねぇみてぇだな」
ターレス「ほざけ、下級戦士のゴミが……」
……再び、戦いの火蓋が開いた。
ドガッ、ズガガガガッ!
目にも止まらぬ早さの打ち合い。
ターレス「らぁ!」
悟空「!」
サッ
ターレス「っ!」
ターレスの一撃がかわされ、そこに隙ができた。
悟空「今だ!!」
その隙に、悟空は、ターレスの鳩尾に渾身の一撃を叩き込む。
ターレス「がはっ……」
初めてターレスは吐血した。
思わぬダメージに怯むターレス。
更に隙が出来たターレスに、容赦なく悟空は追撃を加える
悟空「おりゃ!」
ターレス「ぐっ!」
悟空「そりゃっ!」
ターレス「ぐぁぁ!!」
……戦闘とは、たった一瞬のミスで、ここまで追い詰められてしまうものである。
アモンド「ターレス様!くそっ!」
ダイーズ「待て!」
加勢に入ろうとしたアモンドを止めるダイーズ。
アモンド「止めるなダイーズ!このままだとターレス様が!」
ダイーズ「今、ここでターレスの邪魔をすれば、それこそターレスのプライドが傷つく!」
アモンド「……くっ!」
ターレス「……よく分かってるじゃねえか、流石ダイーズだ」
ダイーズ(……だが、やはりこのままでは勝機が全くと言うほど無い)
ダイーズ(なにか、手は……)
ダイーズ「……!」
するとダイーズの目に入った物は、ナバナ星で見つけた『銀色の神精樹の実』だった。
変種であるこれを食ったりしたらどうなるか分かったものではないが、今あるのはこれしかない。
躊躇しながらも、これをターレスに投げ込んだ。
ダイーズ「ターレス!これを受け取れ!」
ガシッ
しっかりとキャッチしたターレス。
ターレス「なんだこいつは……」
ターレス「……ああ、ナバナの時に見つかった欠陥品か」
ダイーズ「……欠陥品かどうかは、食ってみてから言え!」
ターレス「…………!」
悟空「らぁぁー!」
ターレス「ぐはっ」
ドサッ
一発蹴りを入れられたターレスは、もう後がないと悟った。
もう、どうにでもなれと。覚悟を決めて、銀に光る神精樹の実を口にした……
ターレス「……!!」
悟空「い!?」
シュインシュインシュイン
突然、ターレスの戦闘力が猛烈に上昇し始めた。
辺りは黒い雲に覆われ、竜巻が唸り、雷が轟くという壮絶な状況に変化した。
ターレス「な、なんだ、この、溢れる様なパワーはっ……!」
ターレスの髪の毛が、徐々に逆立ってゆく。
その極大な気によってもり上がった大地を見て、悟空も……
悟空(す、すげぇ!なんだかオラワクワクしてきたぞ!)
ダイーズ達「こ、これは……」
ターレス「……うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ドッカァァァン!!
シュインシュインシュイン……
悟空達「……!」
……銀色の、逆立った髪に銀色のオーラ。
ターレスの外見は、大きく変化していた……!
-
第6話
『ついに決着!
そして、新たなる冒険へ』
シュインシュインシュイン
悟空「お……おめぇ……それって」
ターレス「……フン、自分でもよくわからん」
ターレス「……だが、一つだけ分かったことがある」
悟空「……?」
少し間を空けて、ターレスは言った。
ターレス「貴様なら5秒もしないうちに、八つ裂きにできるってことをな」
悟空「!」
ビシュン!
悟空「な……」
今までにないスピードで、悟空を翻弄する。
いい加減イライラしてきた悟空は……
悟空「く、くそ!こうなったら……」
悟空「……はぁぁぁぁ……」
悟空は、範囲攻撃の『爆発波』の体勢に入る。だが……
シュタッ
ターレス「遅い」
悟空「っ!?」
これを待っていたと言わんばかりに、悟空の背中に飛び込む。
そして、右足で悟空を蹴り飛ばす。
悟空「わぁぁあ゙!」
斜め上に飛んでった悟空の前に、瞬時に待ち伏せるターレス。
そして、今度は左足で、なぎはらうように、悟空を更に蹴り飛ばす。
横に一直線のような軌道を描いて飛んだ。
悟空は、体勢を立て直そうにも、突然の変化(強化)を果たしたターレスのパワーにより受けたダメージのせいで、動くことができない。
そして、飛んでった先にはやはりターレスがいた。
斜め上、一直線ときて、締めはどうするつもりなのたろうか。
ターレス「ふん!」
すると、両方の拳を組んで、それを振り上げ、そして、それをまっすぐ落とした。
この、所謂『両手打ち』が、悟空の、腹と背中の境界線のようなその辺りにヒット。
そして、悟空は案の定、真下に落下していった。
そして地面に叩きつけられる。
大きな砂埃をたてて墜落した悟空の姿は無様なモノだった。
ターレス「……所詮は下級戦士。無様なモンだ」
そう言うとターレスは、ゆっくり悟空の元へと降下していった。
シュタッ
着地すると、ターレスは悟空の髪の毛を前の様に引っ張り、持ち上げる。
そして、悟空の顔をじっと見つめた。
すり傷、きり傷、アザ、吐血など、様々、至るところに、悟空のダメージが多く見られた。
その後、ターレスは悟空の傷だらけの顔を目掛けて、一発殴った。
そして、こう言った。
ターレス「……やめだ」
悟空「……は?」
やめだ。と、急に終戦を宣告され、拍子抜けた表情を浮かべる悟空。
ターレス「……俺は強くなりすぎたようだ。今の貴様をいたぶったところでつまらん。」
ターレスは続ける。
ターレス「はじめは貴様を殺すつもりでかかったんだがな。」
ターレス「いつの間にか、貴様へのリベンジに燃えていたようだ。」
悟空「……!」
ターレス「貴様を真に倒すその時が来るまで、地球は破壊しないでやる。」
ターレス「せいぜい、死ぬまでの猶予を楽しむことだな」
そう言って去ろうとしたターレスだが、悟空に呼び止められる。
悟空「ま、待てよターレス!」
ターレス「なんだ、貴様は本当に往生際が悪いな」
悟空「い、いや、そうじゃなくって……」
悟空は胡座をかいて、手を膝に置いて問う。
悟空「地球はもう、その神精樹ってのにエネルギー取られちまったんだろ?だったらもう……」
ターレス「……フッ」
クスッと笑みを浮かべたターレスは、気を両手に集中させる。
そして……
ターレス「はぁぁぁぁ!!」
バシュウウウウ!
渾身の力を込めた気弾を放った。
それが目指す先は、神精樹の中枢部辺りだ。
ドッカアアアアン!!
そして着弾。
爆音が響き、周辺の森に棲む生物達が一目散にどこかへと逃げていった。
すると、驚くことに、神精樹が徐々に姿を消していく。
それと同時に、周りの草木に生気が戻りはじめた。
悟空「い、いってぇ何が起こっているんだ……?」
悟飯「お父さん……もしかすると、これって……」
孫親子も、驚きを隠せない。
ターレス(……今までやったことが無かったが、神精樹は、中枢部に存在する『核』をぶち抜かれるとくたばっちまうらしい)
ターレス(……俺達にはいらん機能だと思ったんだがな)
界王『ふむ……ターレスの奴め、粋な真似をしよるのう』
界王『……ところで、なんで奴が、神様達が作った神精樹を絶命させるための機能を知っているんだ……?』
……神精樹から成る神精樹の実は、神のみが食べることを許された代物。
だが、それを、ターレスの様な悪人に悪用されては、とんでもないことになってしまうので、あらかじめ神様が神精樹に取り付けた機能。それが、所謂『神精樹絶命機能』である。
なぜそれをターレスが知っていたかは置いといて、とにかく、神精樹は完全に消滅し、地球はまた、元の元気を取り戻した……。
……そして、ターレスのパワーアップ状態も、いつの間にか消えていた……。
……
悟空「……ありがとな、ターレス!」
ターレス「礼なんざヘドが出る。今度は必ずぶっ潰してやるからな」
そう言い残すと、ターレスは軍団をまとめた。
ターレス「行こうぜ、野郎共!」
ターレス軍団「はい!(おう!)」
バシュウウウウ
彼らは、自分達が乗ってきた宇宙船へと飛んでいった……。
ピッコロ「……奴が改心したと思うなよ。孫」
悟飯に担がれながら発言するピッコロ。
悟空「ピッコロォ!おめぇ、その体……」
ピッコロ「そんなことはどうでもいい。それよりだな、孫よ」
悟空「な、なんだピッコロ」
ピッコロ「……奴はまた、その言葉の通りに、ここへやってきて、今度こそ貴様を殺しにかかるだろう」
悟空「!」
ピッコロ「その時までに精々力をつけておくんだな」
悟空「……ああ、分かっている」
悟空「……それにしても、奴には驚かされちまったなぁ!」
大空を見上げ、悟空は言う。
悟空「あいつよ、急に姿を変えちまって、更にめっちゃくちゃ強くなっちまったんだぜ」
悟空「オラァ、なんだか、すっげぇワクワクしてきた!」
すると、悟飯の居る方向に体を向ける悟空。
悟空「悟飯!今から父ちゃんと猛特訓だ!ぜってぇ、ターレスの野郎を越えっぞ!」
悟飯「お父さん……ハイッ!」
そして、親子は自分達の家まで飛んでいった……
ピッコロ「……フン、奴らは相変わらずだな。全く、付き合ってられん」
アモンド「……それにしても、あの時のターレス様は格好良かったでっせ」
ターレス「……格好良かったかどうかは別として、あの時は、確かに自分でも大きな変化を感じた」
ダイーズ「髪がぶわーっと逆立って、銀色のキラキラに変身したんだよな!」
意味不明なジェスチャーで、ダイーズはその変わり様を再現(?)した。
そんな部下に、頭を抱えて呆れるターレス。
ターレス「……まあ良い、さっさと次の星に行って、そこをぶっ壊してやる。後に続けお前達!」
ターレス軍団「アイアイサー!!」
……かくして、ターレスは悟空と再戦を約束し、次の星へと、地球を後にした。
これからどんな冒険が始まるのか?
ターレス軍団は、そのことに期待を膨らませるばかりだった……。
-
第7話
『ドラゴンボールを求めて
急げ、欲望に奮える戦士達!』
……
「……あれが、ナメック星ですか……」
「左様に御座います。」
「……本当に、ナメック星に『ドラゴンボール』は存在するのですか?」
「はっ。7つ揃えれば、なんでも願いが叶うそうで」
「ほっほっほ。」
「私が不老不死の体を手に入れるのも、そう遠い未来ではありませんね……」
「……貴方もそう思うでしょう?」
「ベジータさん」
ベジータ「……はい。全てはフリーザ様の意のままです」
フリーザ「ほーっほっほ!」
ビュオオォ……
……ナメック星に迫る、帝王の魔の手。
『宇宙の帝王』フリーザの、円盤状の宇宙船は、今まさに、ナメック星を目指していた……。
……そして、この軍団も、同じくナメック星を目指していた……。
ターレス「……おい、アモンド」
アモンド「はっ。ターレス様」
アモンドは、宇宙船を操縦しながら返事をする。
ターレス「……ナメック星まで、あと何日かかる?」
アモンド「少なく見積もって5日でございまっせ」
ターレス「……フン」
ターレスは、とても退屈そうだった。
宇宙は、その広さの次元が違うので、星と星を行き来するだけでも、何日、何週間も時間がかかるのだ。
ダイーズ「……まぁまぁ、一緒にトランプとかして、時間を潰そうぜ」
他愛も無い提案で、ターレスの気を紛らわそうとするダイーズだが……
ターレス「何が悲しくて貴様らと遊戯をしなきゃいけねぇんだ」
どうやら、相当ご立腹な様だ。
ダイーズ「……うーん」
ダイーズも、少し残念だったようである。
レズン「そういえばさ!」
こんな空気の中、唐突にレズンが切り出す。
レズン「ターレス様、ナメック星なんかに行って、一体何をするつもりなんすか?」
その問いに、ターレスは『よくぞ聞いてくれた』と言わんばかりに、ニヤッとして答えた。
ターレス「……『ドラゴンボール』だ」
ダイーズ達「『ドラゴンボール』??」
……『ドラゴンボール』とは、平たく言えば、
七つ揃えると、なんでも願いを叶えてくれる『神龍』を呼び出せる玉のことである。
そして、そのドラゴンボールが存在するナメック星まで、ターレス達は向かっていた。
ターレス「……どうだ、凄いだろう」
確かに凄い。と、ダイーズ達は揃って頷く。
だが、ダイーズは、その次にまた疑問を吹っ掛けた。
ダイーズ「そのドラゴンボールとやらが凄いのは良く分かった。」
ダイーズ「だけど、解せないな」
ダイーズ「お前に、それを集めなくちゃ叶えられない願いなんてあったか?」
そう言われると、ターレスは、袋から何かを取り出した。
それは、銀色に光る、欠片状の物体だった。
レズン「……これは?」
ダイーズ「……ほう」
二人は、興味深々にその物体を見つめる。
ターレス「……あの時、俺に凄まじいパワーをくれた神精樹の実だ。」
……そう、銀色の戦士が目覚めた、あの時……。
ターレスがこの神精樹の実を食べて力がみなぎって、その時にそれを持っていた手が強い握り拳になっていたため、この様に砕けていたのだ。
……一通り部下に見せたターレスは、話を続ける。
ターレス「……俺の目的は、この神精樹の実を、元の(食べる前の)状態に戻し……」
ターレス「それを適当な星に植え付け、大量に量産することだ」
アモンド「なんと……!」
レズン「名案ですねぇターレス様!」
ダイーズ「はっはっは!どうやら、俺がその神精樹の実をとっておいたのは正解だったようだな!」
部下達の賛同を受け、ターレスは、自信満々の表情で、こう言い放った。
ターレス「……フッ。この願いが叶えられれば、本当に怖いもの無しさ」
……そんな期待に胸を光らせ、着々とナメック星に向かっていくターレス軍団。
そして、全宇宙が震える、
『ドラゴンボール争奪戦』が、今、幕を開けようとしていた……。
-
第8話
『戦慄のナメック星
誇り高き王子 ベジータ参戦!』
……ターレス達が地球を後にして、ちょうど5日過ぎた朝。
ついに、ナメック星に到着した。
ターレス「ついに来た……」
ターレス「……どれ」
太陽が照らす朝の日差しを手の甲で避け、周囲を見渡す。
するとどうやら、ここナメック星は辺境の地の様で……
視界に広がる青い草原。
見たこともない植物やキノコ。
あちこちに見える起伏の高低差が激しく、
更に、川の色と空の色はエメラルドグリーンと、地球とは異なる点が多数存在した。
ダイーズ「……なあターレス。本当にここにドラゴンボールはあるのか?」
ターレス「……噂ではあるが、間違い無い筈だ」
ダイーズ「本当かなぁ……」
部下に不信感を抱かれるターレスだが、気にせず、こう切り出した。
ターレス「今から二手に分かれて、ドラゴンボールを探したいと思う」
ターレス「俺とダイーズはあっち」
ターレス「アモンド、レズン、カカオはそっち」
それぞれの向かう方角を指差し……
ターレス「よし、後で落ち合おう」
ダイーズ達「アイアイサー!!」
……ドラゴンボール集めに、行動を移した。
……そして同時刻。ついに、この者もナメック星に到着した。
フリーザ「ここがナメック星ですか……」
「間違い御座いませんね」
「へっへっへ、久し振りに暴れてやるぜザーボン!」
ザーボン「えぇ、フリーザ様の願い、必ずや叶えて差し上げましょう。ドドリア」
ドドリア「へへ、腕が鳴るぜ!」
フリーザ「……元気なのは良いことですね」
忠実な部下の健気な会話に、思わず微笑んだ帝王。
そしてもう一人、帝王に仕える部下が口を開く。
ベジータ「……ではフリーザ様。早速御命令を……」
フリーザ「……そうですね。それでは、各自ドラゴンボールの捜索に動きなさい」
ベジータ達「はっ!!」
フリーザ「……ほほほ」
ゴォォォ……
ターレス「……おっ」
ダイーズ「どうした、ターレス」
どうやら、ターレスが何かを見つけた様である。
それは……恐らく、この星の民家だろう。
ナメクジの様な形状の、白い家だ。
もしかしたら、所謂ナメック星人が居るかもしれない。
ターレス達は、そこに降り立ち、探索を始めた。
ターレス「……むっ」
家の中を覗いて見ると、かなり暗かった。
だが、この暗さでも、一際目立つ光を放っている、一つの玉が置いてあった。
そう、これが『ドラゴンボール』である。
ターレス「やりぃ!見つけたぜ」
ダイーズ「おっ、本当か!って、暗いな」
もしや、このドラゴンボールが、間接照明の様な役割を果たしていたのだろうか。
それにしても、家に照明が無いのはおかしい。
ナメック星人の気配も皆無だ。
ダイーズ「……なぁターレス。ここ、何かおかしいぜ」
するとターレスは、ドラゴンボールを両手に抱え、ダイーズにこう言い放つ。
ターレス「もし、仮にここがおかしくても、俺達には関係ねぇ」
ターレス「ドラゴンボールは見つけた。取り合えず後にするぞ」
ダイーズ「……分かった」
そして、ターレス達は、民家を後にし、ドラゴンボール集めを再開した……。
……そして、更に数分経った頃。
また何かを発見した様である。
ターレス「……!?あいつは……」
突然、鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をするターレス。
流石にダイーズも気になり、ターレスと同じ方向に視線を向ける。すると……
ダイーズ「……おいおい、こりゃあ……」
ドカァァァン!
バコォォォン!
「さっさとドラゴンボールを差し出せと言うのが分からんのか、このムシケラ共が!!」
「ひ、ひぃぃぃ」
そこにあったのは、凄惨な光景だった。
家が壊され、ナメック星人が襲われ、中には死した者までいた。
ひたすらに逃げ回る者もいたが、それらはすべて『奴』に殺された。
『奴』はベジータ。
ターレスと同じ、戦闘民族のサイヤ人で、その王子である。
黒い髪の逆立った髪が特徴的。
ナメック星人「だ、誰が、お前になど渡すものか!」
ベジータ「おのれ、どいつもこいつも身の程を知らんな」
ベジータ「貴様もあいつらの様に殺されたいか!!」
ナメック星人「この……悪魔めぇ!!」
「おい!!」
ベジータ「……ん?」
ダイーズ「お前……なんて惨いことをしやがる!」
あまりに酷い光景を目の当たりにしたダイーズは、ベジータを止めに入った。
ターレス「……ダイーズ、そんな下等生物共に情けをかけるというのか」
ダイーズ「確かにな、だが、俺はこいつが許せねえ!!」
ターレス「……はぁ、全く手間かけさせやがるぜっ」
ダイーズ「へっ、すまねぇな……ターレス」
……もしかすると、この二人には、見えない信頼関係の様なモノが築かれているのかもしれない。
そして、二人揃ってベジータの前に立ちはだかった。
ベジータ「……なんだ貴様ら。このベジータ様に何の様だ」
ターレス「……やはりな。懐かしい御方だ……」
……サイヤ人の王子と宇宙の壊し屋。
この、天下を分けた戦いの行方はどうなるのか?!
-
第9話
『天下分け目の超決戦
燃えろ、サイヤ人魂!』
……ベジータの視線は、ターレスに向けられた。
ベジータ「オイ、貴様。気に入らない面をしてやがるな」
ベジータ「……カカロット、ではないな?」
ターレス「流石だな、王子さんよ。俺の名はターレスだ」
ダイーズ「王子……?」
こんな奴が王子?と、ダイーズは遺憾に思った。
ベジータ「……ターレス」
ベジータ「……そうか……ターレスか。ハッハッハ……」
『ターレス』という名を聞いたら突然、不気味に笑うベジータ。
ターレスとダイーズは、少々引きぎみだが、ベジータは続けた。
ベジータ「貴様、惑星ベジータが消滅した後、消息が不明になった級戦士だろう」
ダイーズ「えっ……」
ターレス「……ほう、よく御存知だな」
更にベジータは続ける。
ベジータ「貴様の様な『使い捨て』のサイヤ人はタイプが少ないからな。正に雑種と言ったところか」
ダイーズ「!貴様……」
ターレス「……慣れている。感情的になるな」
ベジータ「フン、随分と落ち着いているな。果たして、いつまで持つか」
するとターレスは身構えて、微笑みながらこう言った。
ターレス「……そいつは今に分かるさ」
そして、人指し指をクリンクリンと振り、挑発。
案の定、プチッという音が鳴り、周りの人々に緊張が走る。
ナメック星人「……」
ナメック星人達が見守る中……
ついに、戦いの火蓋が開かれた!
ベジータ「はぁぁぁぁ!!」
ターレス「んんんんん!」
シュバッバキバキッ
まずは打ち合い。
無数の拳と蹴りが衝突しあうその音は、正に戦いのドラムだ。
そして……
ターレス「っ!」
ベジータ「そこだ!!」
ドゴォ!
ターレス「がはっ……!」
まずはベジータが先制。
怯むターレスに追撃を加える。
ベジータ「俺は、誇り高きサイヤ人の王子だ!!」
ターレス「チッ……!」
ビシュン!
ベジータ「……むっ!」
姿を消し、ベジータの視界から外れるターレス。
一旦気を溜め、そこから奇襲を仕掛ける作戦で行こうとしたが……
ベジータ「おやおや、こんな所にいたんだな」
ターレス「なんだと?!」
なんと、ベジータはターレスのすぐ後にいた。
スカウターを使っても、こんな短時間で敵を見つけ出すことは不可能。
一体、何が起こったというのか。
ベジータ「そらっ!」
ターレス「ぐわぁ!!」
肘でターレスを打ち付け、地面に叩き落とす。
そして、それを追いかけ、更にラッシュしまくる。
ベジータ「……俺はな、地球におけるカカロットとの激しい戦いで……」
ベジータ「スカウターに頼り過ぎていたことを反省した」
ターレス「!……まさか」
ベジータ「『気』を探れる様になったんだよ、俺は」
バゴォッッ!
ターレス「がはっ……!」
ダイーズ「っ!ターレス!」
ターレス「くっ……けほっ、けほっ」
断崖に強く打ち付けられ、苦しい顔で吐血する。
ベジータ「……フン、ざまぁねぇなターレス」
ターレス「くそぉ……!」
そこに、ターレスの身を案じ、ダイーズが駆け寄る。
ダイーズ「大丈夫か、ターレス」
だが、ターレスはそれを振り払う。
ターレス「どけェ!……ぐっ!」
ダイーズ「……ターレス」
ナメック星人A「おいおい、あの人が押されてるぞ」
ナメック星人B「このままじゃ終わりだ……」
ナメック星人C「えーん、ママー」
ダイーズ「くっ……ターレス、加勢するぞ!」
ベジータ「ハン、ゴミ共が集まったところで無意味だ」
ターレス「……そいつはどうかな」
ベジータ「何……?」
そう言ったターレスは、袋から……
……神精樹の実を取り出した。
ターレス「今に見てやがれ……」
ガブッ
ダイーズ「俺も……」
ガブッ
ベジータ「……!?なっ?」
シュイィィィン!!
ベジータ「なんだと……?!」
ターレス・ダイーズ「……第2ラウンドだ」
……携帯していた神精樹の実を食べ、パワーアップしたターレス達。
果たして、そのパワーは、ベジータを倒すことができるのか?!
-
第10話
『圧倒的な超パワー!
これが神精樹の実の力だ』
……神精樹の実を食べ、更なるパワーアップを果たしたターレス達。
だが、ベジータがそれに怖じ気づいた様子は見られなかった。
それどころか、余裕の笑みを浮かべている。
ベジータ「……なるほど?」
ベジータ「確かに……素晴らしい戦闘力だな」
ターレス「……お褒めに与りまして」
ベジータ「……そうだな。俺も、貴様らに良いものを見せてやろう」
ダイーズ「なに……?」
すると、ベジータは身に付けているスカウターを取り外した。
そして、それを足元に落とす。
ベジータ「……フンッ!」
ガシャアアアン!!
ターレス「!」
ダイーズ「な?!」
……なんとベジータ。自分のスカウターを、躊躇いも無く、思いっきり踏み潰してしまった。
無惨に、粉微塵になったスカウターの破片達は、やがて風に吹かれ、どこかへ飛んでいってしまった……
ダイーズ「貴様……なんてことをッ!」
怒りに奮えるダイーズだが、ベジータは笑って返す。
ベジータ「ククク、言っただろう。俺は気を探れる様になったと」
ベジータ「故に、もうこんな物は必要無い!」
ターレス「……っ!」
スカウターはいらない。と、ハッキリ断言したベジータ。
こちらもパワーアップした筈なのに、何故か、圧倒されている様な感覚。
ターレス達は、何とも言えない『劣等感』を覚えていた……
……これも、サイヤ人の王子たるベジータの『資質』なのか。
……周りの空気が緊迫する中。ベジータはまた口を開いた。
ベジータ「……フン、それともう一つ教えてやろう」
ダイーズ「な……なんだ」
すると、ベジータは、突然構えた。
これは、気を高める構えである。
全身の筋肉を最大限にまで奮わせ、徐々に気を高めていく。
ベジータ「……いいか。よぉく聞いておけ」
ベジータ「戦闘力など、戦いの最中でいくらでも増やせるということをな!!」
バシュウウウ!!
ターレス「!」
サッ
ベジータ「ちっ!」
不意を突いたベジータだが、ターレスは間一髪でかわした。
ターレス(今のは危なかった……)
ターレス(あんなのをモロに食らっていたらひとたまりも無かっただろう)
ターレス「……だが!」
ターレス「当たらなければどうということはないッ!」
バシュッ!
ベジータ「下級戦士風情が、ほざくなァァァ!!」
ドガッ ドガガッ
ターレス「どこ狙って打ってんだ?ウスノロが」
ベジータのラッシュ攻撃だが、ターレスはそれを全てかわしきった。
ベジータ「くそったれぇぇぇ!!」
ベジータ「はぁぁーーー!」
次にベジータは、両手に気を込め、大きな気弾を作った。
ベジータ「食らえぇぇーー!!」
気弾を思いっきり投げたベジータ。
だが、それが着弾したのは、目の前の敵ではなく……
……目の前の、地面だった。
ベジータ「なにぃ?!」
そう、ターレスは、気弾が放たれる寸前で移動し、姿を消していたのだ。
そして、今は……
ターレス「こっちだぜ!」
……ベジータの背中に回りこんでいた。
ベジータ「しまっ……」
しまった。と言う間も無く、もう一人の敵が口を開いた。
ダイーズ「……俺がいることも忘れるなよ!!」
……ベジータは、完全に囲まれていた。
ダイーズは腹。ターレスは背中。
逃げることも可能だが、気付いた時にはもう遅かった。
ターレス・ダイーズ「「くたばれやァァァ!!」」
ドゴゴォォォ!!
ベジータ「のわぁぁぁぁ!!」
……両面から強烈なパンチを浴びせられたベジータ。
お腹と背中がくっつきそう。とはこのことである。
内蔵のどこかが潰れた様な痛みが全身に迸る。
これなら、死んだ方がまだマシってぐらいの激痛である。
……ガクッ
その内ベジータは気を失い、地面に、バタッと無惨に落ちていった。
ダイーズ「……フッ」
ダイーズ「……フン」
パチッ
コンビネーションを決めた二人は、ハイタッチを交わし、一息ついた……。
……だが、まだまだ戦いは始まったばかりである。
ザーボン、ドドリア、そして、更なる強敵達が、ターレス達の前に立ちはだかる時も、そう遠くはない……。
-
第11話
『更なる強敵の出現
サイヤ人の恨みを思い知れ!』
……ターレス達が勝利を喜んでいる一方で、無様に横たわってる王子が地面を這っていた。
ベジータ「お、おのれ……」
ベジータ「ま、まさかこの俺が、二度も敗北を喫することになるとはな……!」
なんとか気合いで立ち上がり、逃亡を図るベジータ。だが……
ダイーズ「……うん?何かが上空からこちらに向かって来てるぞ」
ベジータ「……!あれは……」
ビュオオオ
ドッカァァァン!
そこに姿を現したのは、顔色が悪くて、全身にイボの様なモノができてる巨漢戦士だった。
その名は『ドドリア』。
ドドリア「よぉ……探したぜ。ベジータ」
その凶悪な面構えで、ベジータ達を睨み付ける。
ドドリア「フリーザ様がお呼びだ。付いてきてもらうぜ」
ベジータ「フン、だが断る」
ドドリア「な、何だと?!てめぇ、反抗する気か?!」
更に顔を引き締めるドドリアだが、ベジータは屈しない。
ベジータ「反抗だって何だってしてやるさ」
ベジータ「俺の目的は不老不死」
ベジータ「貴様らを潰してでも、俺はドラゴンボールを揃えてみせるぜッ!」
ベジータは、自信満々な表情で、そう言った。
ドドリア「ぐ……ぐぎぎ……」
ドドリア「ぐぉぉぉぉ!」
逆上したドドリアは、真っ正面からベジータに突っ込んだ。
ダイーズ「おい!まさかベジータの奴、あの化け物と戦うつもりか?!」
そう。ベジータはさっきの戦いで致命傷を負っている。
どちらが勝つかなど、誰がどう見ても明白だった。だが……
ベジータ「……はぁぁぁ」
するとベジータは、両腕を後ろに突き出し、気を溜め始める。そして……
ベジータ「……はッ!!」
一気に、解き放った。
物凄い突風が、ドドリアに襲いかかる。
ドドリア「!?うわぁぁぁ!!」
ビュオオオ!
その巨体も軽く吹き飛ばす程の『気爆波』が炸裂した。
そしてベジータは、吹き飛ばされたドドリアを全速力で追いかける。
ベジータ「フンッ!」
ドガァ!
ドドリア「うげェ!」
両手打ちで追撃を加えた。
ドドリアは、そのまま真っ逆さまに落下していく。
ドガアアアア……
強く地面に叩きつけられ、ドドリアは最早虫の息である。
ドドリア「がはっ……」
ピクピク
ベジータ「…………」
コツコツ
ベジータは、無表情でにじり寄る。
ドドリアは、それに恐怖さえ覚えた。
ドドリア「ま、待てベジータ!」
挙げ句、跪いて命乞いを求める。実に情けない有り様だ。
ベジータ「フン」
ベジータ「一つ、貴様に訊いておきたいことがある」
すると、ドドリアは急に手のひらを返し
ドドリア「お、おう!なんでも話してやるから、命は助けて……」
ベジータ「惑星ベジータが消滅した原因についてだ」
ドドリアの言葉を遮る様に、ベジータは言う。
因みに、『惑星ベジータ』とは、ベジータやターレスが生まれた星。
言わば、サイヤ人の国である。
ドドリア「は?」
ドドリア「おいおい、忘れたのか?惑星ベジータが消えちまったのは、巨大隕石の衝突……」
ベジータ「嘘を吐くな!!」
ドドリア「ヒッ……」
大声で怒鳴りつけられ、情けない声が漏れるドドリア。
ターレス「……おい、どういうことだベジータ」
今まで沈黙だったターレスも、やっと口を開く。
やはり、自分の生まれ故郷のことに関しては、気になるモノがあるのだろう。
ベジータ「……本当に、その巨大隕石とやらの衝突なら、とっくに防げた筈なんだ」
ベジータ「突然現れたんだ。あの、『光』が」
ベジータ「どうなんだ?オイ!!」
ドドリア「わ、分かった。全て話そう……」
…………
………
……
「……フリーザァァァ!!」
フリーザ「…………」
「俺は、貴様が許せねぇぇぇ!!」
フリーザ「…………」
「くっ……くそぉ!!」
「……これで、全てが変わるんだ!!」
「俺の運命も!」
「サイヤ人の運命も!」
「カカロットの、運命もッ!」
「そして……、貴様の、運命も……ッ」
フリーザ「…………」
「これで……最後だぁぁぁぁぁぁ!!」
フリーザ「……ホホホホホ」
「なっ……?!」
フリーザ「……もう、消えておしまいなさい」
「ぐっ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドッカァァァン!!
……その男は、惑星ベジータと共に、フリーザに葬り去られた。
……その男は、全てを知っていた。
サイヤ人が、フリーザに皆殺しにされることも。
そして……いつか、フリーザに敢然と立ち向かう戦士が現れることも。
その男は、未来に全てを託した……
……
………
…………
……一通り説明を終えたドドリア。
惑星ベジータが消えたのは、巨大隕石の衝突などではない。
その真相は、フリーザによるモノだった。
フリーザはサイヤ人の力を恐れていた。
だから、サイヤ人を皆殺しにするつもりだったのだ。
ドドリア「確か、そのサイヤ人の名前は、『バーダック』とかいったな」
ドドリア「全く、馬鹿な野郎だぜ、フリーザ様に逆らわなければ死ぬことは無かったかもしれないのによぉ!」
ドドリア「さあ、話すことは話した。俺は帰らせてもらうぜ……」
ベジータ「待て」
ドドリア「!?」
その場から飛び去ろうとしたドドリアを引き留めるベジータ。
ベジータ「誰が帰って良いと言った?」
その目つきは、殺気さえ感じる獣の眼光だった。
ドドリア「お、お前……」
ベジータ「別に同族のことなど知ったことでは無いがな……」
ベジータ「誇り高き戦闘民族サイヤ人が貴様らゴミ共に良いように利用されていたのが悔しいんだ!!」
ドドリア「ヒッ……」
ターレス「……ベジータ」
ベジータ「覚悟は出来たか……?」
シュインシュイン
この時のベジータの戦闘力は、既に悟空とターレスを軽く越えていた。
怒りに奮えたサイヤ人はここまで強くなれる。
ドドリアは、はっきりと恐怖を味わった。
ドドリア「だ、誰かぁぁぁぁ!」
じたばたと逃げようとするドドリアだが、もう、ベジータの『定めた狙い』が揺れることは無い。
しっかりと敵を捉え……
ベジータ「サイヤ人の恨みを思い知れええええぇ!!」
ドギュウウウウウウン
ドドリア「ぎ、ぎゃあああああああアアア!!!」
ドッカァァァン!!
……ドドリアは死んだ。
ベジータのフルパワーの『ギャリック砲』を食らい、跡形も無く消滅していた。
ベジータ「へっ……汚ねぇ花火だ」
……惑星ベジータの消滅の原因はフリーザにあることを知ったベジータとターレス達。
サイヤ人の激しい怒りは、フリーザ軍にどこまで通用するのだろうか……?
-
第12話
『美戦士ザーボン登場!
絶体絶命の大ピンチ?!』
……
界王『……あやつら、もしや本当にあのフリーザに挑む気か?』
界王『……どうなってもワシャ知らんぞ……』
……
ターレス達がドドリアを倒す一方で、アモンド達は確実にドラゴンボールを集めていた。
アモンド「……ふぅ、これで3つ目でっせ」
両脇にドラゴンボールを抱え、次のドラゴンボールの在処へと向かおうとするアモンド。だが……
レズン「それにしても変だよなぁ」
アモンド「何がだ」
レズン「ドラゴンボールのあるトコには、決まって変な宇宙人がウヨウヨしているよなぁ」
変な宇宙人……とは
例えば、頭の形が妙に長かったり、顔面にマスクを被っていたり……。
とにかく、変な連中なのである。
アモンド「良いんじゃないか?どうせザコだし」
アモンド「それに、奴らのおかげでドラゴンボールの在処もまる分かりだしな!」
大きな口を開けて笑うアモンド。
カカオ「……」
カカオも、小さく頷いた。
と、その時……
「あまり調子に乗らない方が良いですよ」
アモンド「っ!?誰だ!」
……そこに現れたのは、色白で端麗な容姿を持つ戦士。
『ザーボン』だ。
ザーボン「私の名前はザーボンです」
アモンド「……お前も奴らの仲間でっせ?」
ザーボン「そうですね……」
ザーボン「もっとも、あの様な美しくない連中とは一緒でありたくないものですが」
するとザーボンは、アモンド達が持っているドラゴンボールを指差し、
ザーボン「そのドラゴンボールを大人しく渡しなさい。さもなくば……」
だが、アモンドは横に首を振った。
アモンド「……悪いが、俺達には『渡せない理由』があるんでっせ」
そう言い切って、ついに身構えた。
ザーボン「そうですか……」
ビシュン!
アモンド「!?」
ザーボンは、ため息を吐いたその瞬間、姿を突然消した。
アモンドには見えなかったが、レズンとカカオには……見えていた。
レズン「アモンド!後ろだーーーッッ!」
アモンド「なっ……」
アモンドが振り向いたその先に見えたのは、ザーボンの不敵な笑いと……
……気弾が放つ光だった。
ザーボン「ならば、こちらから、渡して差し上げましょう」
スッ……
その殺る気満々の手のひらをそっとアモンドの背中に添える。そして、こう言った。
ザーボン「『引導』をね」
ドドドギュウウウウン!!
アモンド「がッ……」
レズン「あ、アモンドォォォ!」
ドサッ……
ザーボンの『エネルギー波』により、体を貫かれてしまったアモンド。
そのまま意識を失い、地面に倒れこむ。
そこにレズンとカカオが駆け寄り、アモンドの巨大を抱える。
アモンド「けほっ、けほ……」
アモンドの腹部が見事に筒抜けになってしまった。
その光景は、グロテスクの一言では済まされない程のグロさだった。
アモンド「はは……これじゃあ、満足に飯も食えねえや」
天にも召されるかの様な笑顔を浮かべるが、シャレにならない。
レズン「しっかりしろ!アモンドォォォ!」
しっかりとアモンドの顔を見据え、必死に声をかける。
そこに、ザーボンが性懲りもなくにじりよってきた。
ザーボン「全く、汚らわしい。実に美しくない」
あっさりと、死する者への冒涜を意味する暴言を放つ。
プツン……
すると、レズンは呼び掛けを止め、視点をアモンドからザーボンへと変えた。
カカオも同じく。
その表情は『怒』そのモノであり、青筋もビキビキ浮かび上がっている。
だが、そんなレズン達を前にしてもザーボンは全く狼狽えず、寧ろ嘲笑った。
ザーボン「おやおや、あまり怒らない方が良いですよ」
ザーボン「……カルシウム、足りてますか?」
ザーボンが鼻で笑ったその瞬間、レズン達の中で煮えたぎっていたモノが、ついに爆発した。
レズン「このクソ野郎がァァァ!!」
ザーボン「フン……」
…………
……
……一方、ターレス達はと言うと……
ターレス「……俺達のと貴様のを合わせれば、2個か」
ドラゴンボールの数を数えていた。
ターレス、ダイーズ、ベジータの3人は、それぞれ楽な格好で地面に座っている。
ターレス「……噂によれば、ドラゴンボールで叶えられる願いの数は『3つ』らしいからな……」
ベジータ「……願いを『山分け』という条件で、俺と協力関係になると」
ターレス「そういうことだ」
ベジータ「フン……まぁ、良いだろう」
ベジータは、ふと立ち上がり、交渉に乗ることを決めた。
ベジータ「そうと決まれば、早速貴様らの仲間とやらと合流をしなくてはな」
ターレス「ありがとよ……ベジータ」
ターレスも一息つく。
だが、ただ一人、この男は納得していなかった。
ダイーズ「…………」
ターレス「……ふむ」
案の定、ダイーズは浮かない顔をしていた。
ターレス「……堪えるんだダイーズ。『今戦うべき相手』は……分かっているよな?」
ダイーズ「……ああ。分かっているさ」
俯きながらも了解する。
ベジータ「グズグズするな。さっさと行くぞ!」
ドキュウウウン……
…………
……
レズン「ウオぉぉぉ!!」
ザーボン「愚かな……」
カカオ「……」
後ろ前から包囲し、一気に畳み掛けるつもりで襲いかかったレズン達。だが……
サッ
レズン・カカオ「!?」
ガツン!
レズン「いでっ?!」
サッとかわされ、レズンとカカオは思いっきり衝突してしまった。
包囲作戦が裏目に出てしまう。
ザーボン「無様ですねぇ……」
クスクスと笑うザーボンに嫌気さしまくりの二人は、また襲いかかる。
レズン「これでも食らえェー!」
ポーヒー
二人は、渾身の気弾を放った。
だが、ザーボンはこれを避けず……
ザーボン「はっ!」
応戦することにした。
2つの気弾を向かえ撃つ様に身構え、気を集中させる。
そして……
ザーボン「『エレガント・ブラスター』!!」
ドドドキュウウウン!!
レズン・カカオ「!……」
ドッカァァァン!!
ザーボンのエレガント・ブラスターが炸裂。
見事に押しきり、見事に吹き飛ばした……。
ヒュウウウ
ドサッ
地面に落ちるレズンとカカオ。
まだ微かに息はあるが、もう戦えない。
ザーボン「……全く、実に愚かですね……」
タッ
レズン達を見下ろし、手のひらをかざす。
ザーボン「死ね」
ギュウウウン!
ザーボン「っ?!」
バゴーン!
ザーボン「曲者?!」
「……人聞きが悪いな」
ターレス「よくもまぁ、うちの連中をこれだけ傷みつけてくれたもんだ……」
ダイーズ「どこのどいつだか知らんが……ただで済むと思うなよ?」
ベジータ「フン……ドラゴンボールは傷ついていないだろうな」
……ついにレズン達の前に駆けつけたターレス達!
さぁ行け!
今こそ、仲間の仇を討つ時だ!!
-
ザーボン「バカな、ベジータめ裏切りおって……」
ザーボンが動揺している理由は、やはりなんといっても、ベジータを完全に手玉にとったと思ったからである。
ザーボンの脳裏に苦節の記憶が甦る。
ザーボンは、まず初日は、猿の餌付けと称してバナナをベジータに与えて主従関係を築こうと試みる。
ザーボン「猿め、食うがいい」ポイッ
ベジータ「ウッキー!」※ザーボンビジョン
ザーボン「ほーれ、貴様の大好きなバナナだぞ」
ベジータ「ホッホー!」※ザーボンビジョン
ザーボン「あんなに親しくなったのに……」
ザーボンはその記憶の懐かしさに涙まで流す始末。
ターレス「……」
ダイーズ「……」
二人は絶句。
ベジータ「……ッッッッハッハッハッハ!!!」
ベジータの目は狂気に満ちたそれであった。
あまりにくだらなく、あまりに侮辱的なこいつの妄想に、憤りの限界を突破したのだ。
そして、その笑いは逓減。
茶番は終わったのだ。
ベジータ「……よほど愉快なオブジェになりたいと見える……ッッ!!!」
するとベジータは気弾を粘土のように練り、膨張させていく。
気弾はあっというまに殺傷力を秘めた殺人弾へと 変貌を遂げる。
さっき死にかけたのに元気な男だと、ターレスは心のなかでこぼした。
ザーボン(お前の考えなど読めてるわッッ!それを目にも止まらぬ早さで私めがけて投げつける気だろう!)
ザーボン(所詮は猿の浅知恵!私が奴よりスピードが劣ると思うかッッ!)
ベジータ「よぉーく見とけよクソッタレ!」
ザーボン「さぁ来るならこいッッ!貴様ごときに私は倒せんッッ!」
しかし、ベジータのこの後の行動は、ザーボンの想定を外した。
ベジータは練った気弾を餅のように、横に長く延ばした。
そして、それは分裂し、まるで……
……固定砲台のように、一直線に超速で気弾を放射した!!
ザーボン「なんだとッッ!?」
その攻撃範囲は凄まじく広い。
ザーボンが避けられる様な隙間は無く、甚だしく精密。
ザーボンは、閃光の雨に打たれることを余儀無くされた。
ザーボン「グハァァァ!!」
一頻り弾がなくなると、そこには黒煙が立ち込める。
ベジータ「ハッハッハッハ!!これが俺様の新必殺技『ギャリックフラッシャー』だ!」
ネーミングセンスが無いのは御愛敬。
ターレス「なぜ、俺との戦いの時には使わなかった?」
ベジータ「たった今思い付いたからだ。文句あるか」
ターレス「無いよ」
他愛も無い会話だ。
しかし、この時ターレスは思った。
俺の活躍が少ないと。
ドドリアを殺したのもベジータ。
安否は不明だが、ザーボンを倒したのもベジータ。
そのベジータを倒したのはターレス達だが、死にかけながらゾンビの如く生命力で戦ったベジータに比べてしまうと劣等感を覚える。
ベジータ「……!まて、あいつ生きてるぞ!」
ダイーズ「なんだとぅ!?」
ベジータの突然の察知。
気を読み取り感じ取れるようになった彼の察しは絶対の信用がある。
ターレスやダイーズは動揺した。
しかし、その刹那にターレスの感情は喜びへと変化。
理由は前述の通り。
黒煙は、彼らにとって演劇会の幕に成り下がっていた。
-
「……この程度でいきがるなよ猿共ッ!」
ザーボンを隠していた黒いベールは、ナメック星の空へと昇って、暫時、消えた。
そして、ザーボンは変わり果てた姿をターレス達に晒す。
それは醜く、それは恐ろしい気の塊だった。
美しかった青年の面影は微塵にも残らず、そこにあるのは怪物のみ。
ターレス「ブッサイクな面だな…… 」
ザーボン「私もこの姿は自分自身で忌み嫌っている」
ザーボン「故に封印してきた……だが、そうも言っていられまい」
べジータ「ハッ、例え変身したとしても……」
その時、ベジータは超速でザーボンに飛びかかった!
そして、ベジータは話を続ける。
ベジータ「今の俺の敵じゃあないぜ!」
ーー気弾を放ちながら。