正体を明かそうにも、本人には自分が「憑かれているフリをしている自覚が無い」んですよ。
本当に憑かれていて、100%自分はオセロットの身体を奪ったリキッドだと思っているので、私たちプレイヤーからすればフリでもオセロットにとってはフリですらない程の真実なんです。
ただ…普通の任務なら真実を思い出す事も出来たでしょう。
しかしながら今回(MGS4)はいつもの任務とは違います。
一部の綻びすらも失敗に繋がり、ビッグボスが解放されるチャンスを永遠に失う恐れがあるのでオセロットは薬物投与とマインドコントロールを重ね掛けして「自分(オセロット)すらも殺した」んです。
ただ一つ【ビッグボスを助け出す】という決意を胸に秘めて。
それ程の意思で自分というものを抹消しないと戦えない相手(AI)だったし、それ程までにしたからこそ…彼は還って来れなくなってしまったんです。
還って来れなくなってしまったから正体を明かすも何も無い、自分はリキッドだとしか思っていない訳ですから。
ただ、リキッドとしての決着(解放)をスネークとの戦いにしたのだけは…オセロットは救われたと思います。
あれだけ深く、喰い込み殺す様にオセロットという存在を蝕んでいたリキッドの意思が、命の全てを燃やし尽くす程の全身全霊の戦いによって薄れ…少しずつオセロットとして戻って来たんですから。
オセロットの母ザ・ボスは国に忠を捧げてスネーク(ネイキッド)によって解放されました。
ザ・ボスの息子オセロットはビッグボスに忠を捧げビッグボスの息子スネーク(ソリッド)によって解放されました。
全てを捨てて何かに尽くし、後戻りが出来なくなる運命の中で、最後に最愛の蛇によって解放された母と子の生き様は…少なくとも私は泣けるものだと思います。