ワザップ!フォーラム
スレッド内検索
-
http://zer4.blog.fc2.com/blog-entry-5.html
↑俺のブログですがこの作品中に登場するAliverのイメージ画像を作りました。
興味がある方はどうぞ。
ゲーム作成の件について
制作は順調です!(おかげで小説が止まっていますが…)
BIOHAZARD IN CSOとは違い、かなり本格的になっているので
「いつか」は必ずできると思います。
5月18日進行状況(ブログ書くのが大変なためこちらに少々…)
ストーリーイベントの作成
5月18日ブログ更新
現状と今後について書きました
俺の語彙力の無さで「飽く迄」が「悪魔で」になっております。
111投稿以降飽く迄で投稿いたします。
Ytsk様、訂正ありがとうございました。
どうも。原子番号27で失敗したプサイです。
今回も懲りずに(自称)ライトノベルを書かせていただきます。
題名が5文字以上じゃなきゃいけないから仕方なくこうなった・・・・・・
ちなみにHuman Alive(ヒューマン・アライブ)は作中に出る会社名です。
下の方はなるべく自重します。ワザップ!なので。
グロもある程度自重します。ワザップ!なので。
何か指摘がありましたら感想フォームにてお知らせください。
ほぼ毎日チェックはしているので。
直接メールしていただいてもかまいません。
念のため書きますがフィクションです。
なお、名前が原子番号27にも使われていたり
なんとなく展開がBIOHAZARD IN CSOに似ていたりしますが
原子番号27の舞台をベースにしたパラレルワールドになっています。
-
陸軍養成高校2年の俺、前嶋一樹(まえじま かずき)は学校を後にした。
右手に持ってるのは退学の文字が書かれた紙。
特に悪い事はしていない。
ただ単に能力が認められなかっただけだ。
俺は今年16歳になったが生まれる30年ほど前に法律が大きく変わったのが全ての原因だ。
経済的にはよくなったものの、治安は悪化している。
そのため、軍や警察も大きくなり募集人数も大幅に増えた。
つい1時間ほど前、寮のロッカーを開けるとこの紙が貼られていたのだ。
隊長に聞けば「お前は能力が足りない」と言われた。
これからどうする?
職業もなければ金は入らない。
そうなれば俺も悪の道に走るだけなのだ。
親は俺が9歳の時、テロに巻き込まれて死んだ。
俺はそれから孤児院に入っていた。
まず、法律で孤児院に入っている者は15歳になると共に軍学校へ行かなくてはいかない
というなんとも言えぬ法律ができていた。
それほど軍の人員が足りないのだろう。
俺は軍学校で暮らし、約1年だが軍の知識を手に入れた。
だがもうその知識も無用だ。
万が一俺みたいなことになっても保障も何も無い。
しかも孤児院に戻る事は許されない。
そうやってホームレス化する元軍人は数え切れないほど居る。
・・・・・・俺も仲間入りしてしまったし。
どうする事もできず孤児院の近くにある橋の下にとりあえず行ってみた。
当然ながら誰も居ない。
天気は雨。服装はまだ迷彩の軍服だ。
「明日からどうすればいいんだ・・・・・・」
俺は心から思って、思わず口に出してしまった。
誰も居ないのに。
だが、まるでその声を聞いたかのように誰かが草を踏み歩き
こちらへ近づく音が聞こえてきた。
ふとその方向を見てみると一人のメイドが白い傘をさしてこちらへ近づいてくる。
紙は銀髪で目は青い。とにかく無表情でこちらへ近づく。
「おかしいですね・・・・・・本日の軍事練習は野外では行われない予定でしたが・・・・・・
予定が変わったのですか?」
「いや、俺は——」
俺は退学報告書を見せ
孤児院出身であり、ホームレス化した事を彼女に話した。
「ふむ、では私のご主人様の会社で働き、住むというのはいかがでしょうか?
主人と言ってもまだ14歳のお嬢様ですが」
「14歳で会社が成り立っているのか?」
「社員も私とお嬢様の2人だけの小さな会社です」
頼りない感じはしたものの、運命を感じた。
いや、恋愛とかそういう意味じゃなくて。
ただ単に生きる場所としての運命を。
「じゃあ・・・・・・頼んでいいか?」
「少しお待ちください。お嬢様と連絡させていただきます」
彼女は終始無表情だった。
電話を取り出すかと思ったらなんとトランシーバーを出してきた。
そして相手はお嬢様と思われる人と話し始めた。
「了解。お連れします。以上——
おっと、自己紹介を忘れていました。私は白沢志月(しらさわ しづき)と申します」
「ああ、俺は前嶋一樹だ。よろしく頼む」
「では私についてきてください。傘をどうぞ」
彼女は俺に傘を差し出してきた。
「いや、大丈夫だ。濡れても構わない」
「それはいけませんね。お嬢様のお客ですから私が困ります」
こんな事を言われれば仕方が無い・・・・・・
俺はしぶしぶ傘を受け取り白沢についていった。
-
なんだか不良が溜まりそうな裏路地に入っていき
そこに会社と思われる建物があった。
・・・・・・はっきり言えば会社というか事務所だ。
2階建ての確かに小さな建物だ。
「会社自体は2階にあります。こちらへ」
俺は彼女の指す階段を上り入り口についた。
白沢に傘を返すと白沢は前に出て、扉を開けてくれた。
・・・・・・と言ってもよくある鉄製のドアだが。
中に入ると社長(?)と思われる女性——
いや、少女が椅子から立ち上がってこちらを見てきた。
ちなみに長めの金髪で(子供用)スーツを着ている。
中はその少女が座っていた椅子と机があるぐらいであとは書類が入っている戸棚だとか
本棚だとか事務用品だとか別の部屋に繋がっているドアぐらいしかなかった。
あと、刑事ドラマでおなじみのブラインドつきの窓。
「白沢、ご苦労様。えっと——名前は?」
「お嬢様、まずは自分からすべきだと思いますが?」
「あ〜はいはい、私はアリシア・シルヴェール。この会社の社長。
まぁ敬語とか気にせず名前もアリスなんて普通に呼んで構わないわ」
めんどくさそうにアリスと名乗る少女は自己紹介を
(さりげなくしっかりと)してくれた。
「俺は前嶋一樹。陸軍経験約1年だ。よろしく」
「白沢から軽く事情は聞いたわ。住む場所だけど一階が
会社とは関係のないプライベートスペースになってるから。
プライベートと言っても社員兼用だけどね」
「で、俺はここで何をすれば?」
「えっと、ここは簡単に言えばなんでも屋。
ゴミ片付け、引越しの手伝い、浮気調査、防衛、強盗、暗殺
ジャンル問わず金さえ払えばなんでもするっていう会社よ」
・・・・・・とりあえず最後の方のは触れるべきなのか?
「前嶋様はここに住む間、仕事した分給料が支払われます。
当然ながらご飯代、生活費等差し引きますが」
「ああ、分かった——
んで、念のために聞きたいのだがここの会社名は?」
「Human Alive(ヒューマン・アライブ)だ」
人間の生存・・・・・・?
「社員証・・・・・・というか国に登録しなきゃいけないから書類に目を通して
同意書に個人情報の書き込みとサインを頼む」
アリスは椅子に座ると引き出しから紙とホッチキスで止められた書類を渡してきた。
その渡してきた右手は・・・・・・
「ん?義手か?」
「そうよ。腕だけじゃなくて右足もだけどね」
そういって右足を見せてきた。
彼女の右足は確かに鉄製の義足だった。
「詳しい事は・・・・・・まぁいいか」
「そうそう。気にしてる暇があれば早くその書類読んでね〜」
-
書類には法律がどうたらこうたらと長々と書かれていた。
読んだ量をそっくりそのまま書けばたぶん
BIOHAZARD IN CSOの長さを超えられそうなため箇条書きで重要そうなのだけまとめた。
・銃刀法違反の緩和により国に認められた組織は銃の使用を許可する。
・やむを得ず殺害を犯した場合、殺害から1日以内に区役所、市役所、県庁に
殺害届を出し、適用された場合は罪に問われない。
・依頼は国、各都道府県の警察、軍から出る可能性もある。
その場合、依頼料金は国が負担する。
・国から依頼されず、追跡中の要注意人物を捕獲した場合
その人物の危険度に対する金額が国より支払われる。
・貴社の依頼の最中に第三者が負傷、死亡した場合の責任は貴社が全て取る。
こんな感じでいろいろと書いてあった。
「覚えられないだろ!?」
「まぁ私にも覚えられないが・・・・・・」
「万が一の際は私が覚えていますのでご安心を」
「結構人に関する事が多くないか?」
「まぁそうね。国はなんでも屋というか探偵と勘違いしてるんじゃないかな?」
「まさか・・・・・・ここにも銃があるのか?」
「当たり前よ。第一、私たちはほとんどそういう依頼で食ってるからね」
とりあえずそういうオジィな言い方をやめてほしい。
「本格的な活動は明日から始めるから今日は下でゆっくり休んだら?」
俺は少し焦って書類に個人情報(と言っても名前と性別と歳ぐらいだが・・・・・・)を
書いて白沢についていった。
「前嶋様、こちらです」
白沢に連れてこられた1階の部屋はいたって普通でマンションの一室のようだった。
「ではごゆっくり」
「えっと・・・・・・夕飯は・・・・・・」
実はまだ午後5時すぎぐらいである。
「ご心配なく。私が全ていたします」
流石メイドだなぁ・・・・・・
なんて感心してしまう俺が居た。
「あ、前嶋様」
「ん?」
「突然ですがもし、朝起きたら体が女性になっていたらどうしますか?」
「へっ!?」
白沢の無表情且つ暗いトーンで話されるとなんとなく恐ろしい。
「・・・・・・いえ、ただ単に興味本位で聞いただけです。
答えたくなければ無理に答えていただかなくていいので」
そう言って奥のキッチンへ行ってしまった。
これは何かのフラグと考えてよいのだろうか?
-
午後6時すぎ
「前嶋様、夕飯の支度ができました。
お嬢様を呼びますので少々お待ちください」
俺はうなずいてリビング(と思われる場所)へ向かった。
しばらくすると白沢と一緒にアリスも来た。
席につくとアリスと俺は食べ始めた。
「ん?白沢は食べないのか?」
「メイドがご主人様と一緒に食べるなど無礼極まりないです」
なるほど、と思ってしまった。
メイドも楽じゃないな・・・・・・
「一度やってみますか?」
「やらねぇよ!」
「依頼は明日から始めるから・・・・・・まずは簡単な地域のゴミ清掃から始めようか」
「お嬢様、期日が明日までの依頼はどうなさるのですか?」
「え?何かあったっけ?」
白沢はアリスへ耳打ちした。
「ああ・・・・・ゴミ清掃ぐらい一人でできるよね?」
「そりゃそうだ」
とりあえず初日はこんな感じで終わった。
「お嬢様、お風呂が沸きました。どうぞ」
「前嶋・・・・・・って呼ぶのもアレね・・・・・・
何かあだ名とかコードネームみたいのある?」
「コードネームはないが・・・・・・孤児院ではカズって呼ばれてたなぁ」
「カズ・・・・・・ありきたりながらそれでいいか」
ありきたりとかいいやがった・・・・・・
「お嬢様がお風呂に入られている間、少しばかりお話しがあります」
俺は白沢についていった。
「プライベートルームについてですがあいにくこのような狭い物件ですので
3人兼用とさせていただきます」
「さ・・・・・・3人兼用・・・・・・」
「それから万が一の対応についてですが・・・・・・」
そう言って何処からか銃を取り出してきた。
「こちらをお使いください」
一般人ならこんな物騒なものを!?
というところだが1年も軍にいればもはや普通に思ってしまうから怖いものだ。
「レミントン デリンジャーです。一発だけの完全な護身用銃です」
「本当ならこんな物持ちたくないが・・・・・・」
「まぁ世の中物騒ですし、こんな仕事をしていれば誰かの恨みを買いますからね」
「とりあえずありがたくもらうよ」
「もらう?買うという事になっているのですが・・・・・・?」
「・・・・・・働いて払います」
「あと、こちらもどうぞ。こちらは貸し出しですので」
トランシーバーだった。
「前嶋様は携帯が無いんですよね?
それに携帯では警察にあっという間に嗅ぎつけられますからね」
「無線の方がもっと盗み聞きされやすいと思うのだが」
「Human Aliveのテクノロジーをなめては困りますよ
これでも軍用薬品や軍用兵器、軍用機器のクオリティは高いですから」
「何かとすごい所に入ってしまったな」
「最後にベッドルームですが、それぞれ違う部屋が用意されていますので」
「そこは兼用じゃないのかい!」
「メイドがご主人様と一緒に寝るだなんてありえません
男性と女性は一緒に寝かせてはいけないと思いまして」
「どういう意味で言ってるんだか・・・・・・」
「子作り的な意味ですが?」
「普通に言うなよ!」
白沢も白沢でいろいろと危ないな・・・・・・
それにいつも無表情で恐ろしい・・・・・・
風呂も案外普通で一般的な家の広さであり
トイレは別のところにある。
ベッドも思ったよりしっかりしていて落ち着きがある。
今日は疲れていたのかベッドに倒れるとすぐに寝てしまった。
-
「前嶋様、朝食ができています」
俺は焦って起き上がりベッドのシーツだとかをたたもうとした。
「ここはもう軍ではなく、ただの会社です。
私が全てやりますので朝食をどうぞ」
な・・・・・・なんて楽な・・・・・・メイド最高だ・・・・・・
(軍では何から何まで自分で『高速で』やらなくてはいけない)
「カズ、おはよう」
「おはよう」
軍で十分早起きはしたので朝は結構強かった。
「何かあればすぐトランシーバーで連絡よろしく——
使い方ぐらいわかるよね?」
「ああ。1年ながら教わったからな」
「では、朝食が終わったら早速仕事に取り掛かろう」
「前嶋様、軍服で行くのは流石に危険だと思われます。
仕事用迷彩が予備でありますからどうぞ」
はっきり言って軍服とあまり変わりがないが階級章が無かったり
肩にHuman Aliveと書かれているため軍人だと間違われる心配はなさそうだった。
ちなみにアリスも似たような服に着替えたが
白沢はメイド服だった。
「私は家事や緊急依頼の受付がありますので残ります」
「緊急依頼?」
「ええ。一刻を争う依頼は依頼書を出さずに電話がかかりますのでその対応を」
アリスはいろいろと装備を準備していたが
自分の準備で忙しくアリスがどんな装備をしているか見る暇が無かった。
俺はレミントンとトランシーバーとゴミ袋だとかトングだとかを準備した。
アリスはさっさと準備を終わらせ
「じゃあ留守番よろしく〜」
と言って、行ってしまった。
「アリス、ヘルメット持って言ったが・・・・・・?」
「お嬢様はバイクで移動を行うのでヘルメットは必須です」
「バイク?確か14歳って・・・・・・」
「書類、ちゃんと読んでなかったのですか?
あの中に国より許可が下り、且つ正確な検査と試験に合格した者は
16歳未満でもバイクの使用が許可されるのですよ」
「そうなのか・・・・・・そういえば入り口の近くに
スーパースポーツ(バイクの種類)があったな」
「前嶋様も早く行った方がいいのでは?」
俺は言われた通り、歩きで出発した。
・・・・・・俺も乗り物ほしいorz
ゴミ清掃・・・・・・その名のとおり、ただ単にゴミを回収する簡単な仕事だった。
市役所や近隣の人と一緒にやったため割と早く片付いた。
ただ、ゴミの中に空薬莢が混じっていたのがすごく気になる・・・・・・
会社に戻ると白沢が社内の清掃をしていた。
「ご苦労様です。何か入れましょうか?」
「ああ、じゃあ何でもいいから冷たいものをくれ」
「はい。準備します」
白沢はささっと何処かへ行き、飲み物を持ってきてくれた。
白い液体だったが・・・・・・
「米青(精)液ではありません。勘違いは勘弁してください」
実際、喉が渇いていたので何も突っ込まずに飲んでみた。
ものすごくドロっとしている・・・・・・
「なんだこれ・・・・・・!?バリウムみたいだ・・・・・・」
「バリウムみたいじゃなくてバリウムですが?」
「ブッッ!!!」
俺は思わず吹いてしまった。
「お口に合いませんでしたか?」
「合うわけねぇだろっ!普通の飲み物を頼む・・・・・・」
白沢は再び何処かへ行き、今度は水を持ってきた。
本当に極端だ・・・・・・
「お・・・・・・しっかりと冷えてる・・・・・・」
「国からの依頼は結構金額が少ないですからね。
お嬢様もあまり受けたがりません」
「まぁそうだな。経済的に伸びたといっても国債が無くなったわけじゃないし
むしろこれからだからな」
-
しばらく休んでいるとアリスも帰ってきた。
「水水っ!とりあえず冷たい水持ってきてっ!」
「今すぐお持ちします」
俺の時と同じように白沢は水を持ってきた。
「ふー、白沢、防犯カメラ映像の偽装よ」
「直ちに行います」
白沢はそう言うと急いでアリスの机に置いてある
デスクトップパソコンの電源をつけた。
「防犯カメラの偽装?」
「クライアントからの依頼よ。証拠を消してほしいって」
「そこは白沢の仕事なのか?」
「彼女は機械とか科学には強いのよ」
白沢は胸ポケットからタバコを取りだし、吸いながらの作業を始めた。
「メイドが主人の前でタバコを吸うって・・・・・・
というか20過ぎてるのか?」
「ああ、あれは電子タバコよ。知らない?
ニコチンを含まなく、出るのも水蒸気だけなのよ
それから白沢は19歳よ」
「へぇ・・・・・・だが吸う意味って・・・・・・?」
「電子タバコにはリキッドと呼ばれる味の元が必要なの。
そのリキッドに我が社特製のリキッドで集中力を高めるのよ」
「なるほど」
「電子タバコにはニコチンが含まれる種類もあるけど
これは白沢が開発した電子タバコ本体でリキッドも白沢が発明したのよ。
完全に無害で集中力を高めるだなんてすばらしい発明よ」
「白沢はこういう仕事をいつもやってるのか?」
「いや、白沢はスナイパーとしての実力もあるわ。
狙撃時もこの電子タバコを使ってるのよ」
白沢・・・・・・一体どんな事を学んだらこんな人になるのだろうか・・・・・・
万能すぎる・・・・・・
「とりあえず偽装は終わりました。
依頼された部分は人を消して何もなかったようになっています」
「ふぅ・・・・・・これで今日の依頼は終了ね」
「集金ってどうするんだ?」
「銀行口座に振り込めばおk」
「もし払わなかったら?」
「依頼書を頼りに直々に話し合う」
「依頼書の情報が嘘なら?」
「まぁそれはHuman Aliveを敵に回したと考えて全力で潰すわ。
第一、私たちは一応恐れられてるからそんな勇気のある人なんていないわよ」
恐れられてるのか・・・・・・
-
夕飯後、もはやプライベート感を少しも感じないプライベートルームで
レミントンを見ていると白沢が入ってきた。
電子タバコにリキッドと呼ばれる液体をチャージしに来たらしい。
「前嶋様も興味をお持ちですか?」
「というか白沢の発明に興味があってな」
「左様ですか。ありがとうございます」
「他にはどんな物があるんだ?」
「電子タバコの部類としては普通のバニラ味だとかコーヒー味だとかあります。
市販されている物を改良して味の濃さと煙の量を多くすることに成功しています。
他には・・・・・・これですね」
白沢の机の横にある薬品棚から怪しげな薬を取り出してきた。
「まあ一般的には『拷問剤』と呼ばれるものでして
体に害は与えないものの、苦痛を与えることができます。
もっとも、Human Aliveでは拷問行為を行わないので必要ないのですがね。
試してみますか?」
「だからどうしてそうなる!?」
「あとは『戦闘用鎮痛剤』。注射で打てばしばらくの間、痛みを全く感じなくなります。
戦い続けたくて使うというのはオススメできません。
致命傷も気がつかなくなってしまうので」
「確かにそうだな。痛みがあるからこそそういう体のピンチに気がつけるからな」
「さらに『精神安定剤』。戦闘中でのPTSD(精神障害の一つ)は非常に危険です。
PTSDを発症してしまえば軍の崩壊も時間の問題になります。
これを使えば一時的に精神系統の障害を抑えることができます」
「ああ、これは軍でも教わった。
戦争で発症する人も結構いるんだよなぁ・・・・・・」
「まだまだ紹介したい所ですが読者様が疲れると思うのでここで切ります」
こいつ・・・・・・3次元が見えてやがる・・・・・・!
「最後に一つ質問したいんだが、こんな物何処で作ってるんだ?」
「近くに薬品工場があるのでそこを借りています」
「そうか・・・・・・まぁこれからも頑張ってくれ」
「はい。では失礼します」
2人でもここまでやっていけるのか・・・・・・
本当にヤバイ所に来てしまったらしい・・・・・・
-
ここに来て3日だというのにもうこの暮らしにも慣れ始めた。
「白沢、今日こそ何も予定ないね?」
「はい。自由に受けられます」
その時、電話が鳴り響いた。
すかさず白沢が取る。
「もしもし、こちらHuman Aliveです・・・・・・はい、えっと、場所は——
はい。できるだけ早く行きます。では失礼します」
「どういう内容だって?」
「引越しの手伝いですよ。
人員が足りなくなったので手を貸してほしいとの事です」
「ちょうどいい。カズの力量も見てみたいし」
準備が終わると白沢は無表情で
「ではいつものように私はここに残ります。
いってらっしゃいませ」
との事。
アリスが運転するバイクに俺は乗ることになった。
アリスは義手を隠すためか手袋をしている。
ズボンも長めのズボンだった。
「ところで、白沢は任務に参加しないのか?」
「そうね。くだらない内容だったり、一人で十分なら白沢は残るわね」
「じゃあこれもくだらない内容なのかい・・・・・・」
「まぁね」
俺らは目的地につくと早速作業に取り掛かった。
まずは部屋から荷物を運び出し、壁、荷物に傷をつけないように1階までおろす。
なお、5階である。
荷物が半分ぐらいまで運び終わった頃だろうか
トランシーバーに突然通信が入ってきた。
俺とアリスは同時にトランシーバーを取る。
「こちら白沢、緊急の電話です。場所はそこのすぐ西のマンション
空き巣を目撃したため捕獲の要請
警察には通報せず、こちらの力で対処しろとの事、どうぞ」
「了解、ただちに現場へ向かう。
現在の犯人がいると思われる場所の詳細を頼む、どうぞ」
「現在2階の204号に入った。銃の所持も考えられるため注意を。以上」
どうやら内容をすばやく伝えるため、敬語はかなり省かれていた。
「と、言うわけでカズはこのまま手伝っていて。
私が空き巣犯を捕獲する。じゃあね」
そう言ってアリスは去っていった。
俺は再び5階の部屋に戻って一人で運べるものを運ぶことにした。
部屋に戻り、奥の部屋から何か運ぼうとしたその時だった。
突然作業員の一人が台所の包丁を取り出し、俺に向かって振りかざしてきた!
「クソッ!何しやがる!?」
「死ねえええええ!」
作業員は質問に答える事も無く、包丁を振り回す。
俺はポケットに隠していたレミントンを取り出し、作業員に向けた。
「止まれ!俺はこの銃でお前を撃つことができる!
死にたくなければ包丁を捨てて手を上げろ!」
「誰がいう事を聞くかああああ!!!」
再び襲い掛かろうとしてきたため、俺は引き金を引いてしまった。
一発こっきりの弾は見事に作業員の顔に命中し、作業員は倒れた。
トランシーバーから声が聞こえてきた
「こちらアリス、銃声が聞こえてきたが何かあったか?どうぞ」
「こちら一樹、作業員一名が俺を殺そうとしたためやむを得ず発砲した。
顔に当たってしまい、即死だと思われる、どうぞ」
心臓が異常なほどバクバクなっている・・・・・・
「すぐに現場に向かう。そこから離れないで。
あと、空き巣の件は嘘だったようだ。以上」
アリスは通信が終わってからすぐに来てくれた。
アリスは部屋に入ると冷静に作業員の死亡判断をしている。
「呼吸なし、脈なし、瞳孔の反応なし・・・・・・確かに死んでるわ」
「な・・・・・・なぁ、俺さ・・・・・・人、殺したんだよな・・・・・・」
「何を言ってるのよ。これは正当防衛。
Human Aliveは国から銃の所持を認められてる。
万が一の時には殺害届けがある。
3つも条件があるんだから大丈夫よ」
「だが・・・・・・」
「それに、軍に行ってたんだからこのぐらいよくある事でしょ?」
「俺は実戦には出た事がないし・・・・・・」
「いい、Human Aliveにいるなら人を殺す事なんてよくある事なの。
それにこの依頼は間違い無く私かカズを殺すのが目的だったのよ」
確かにそうだ。この流れは都合がよすぎる。
「そういえば電話も警察には通報するなって・・・・・・」
「今回は怪しかったけど、実際そういう事はよくあるわよ?
何か事情があって警察に絡んでほしくないとか」
マンションを後にして会社に戻った。
アリスは黙って引き出しから紙を取り出し、ペンと一緒に渡してきた。
殺害届
と紙には書いてある。
-
殺害届の内容はこんな感じだ。
・殺害者と被害者名
・殺害日時(おおよそ)
・殺害場所
・殺害に使用した物
・殺害動機
書けるところは書き、アリスに渡した。
アリスはそのままバイクで市役所へ行ってしまった。
「前嶋様、くよくよしていられません。
こんな事はよくあるんです」
「ああ、分かってる・・・・・・だが——」
「罪悪感、間違っては無いです。
ですが相手はあなたを殺そうとした悪者ですよ?」
「レミントンだが——」
「弾の補充はお任せください。
今回の弾代はこちらの負担でいいので」
俺はレミントンを白沢に渡し、ボーっとしていた。
しばらくするとアリスが戻ってきた。
「こういう事もよくあるから、今後気をつけなくちゃね」
「お嬢様、今回は誰が依頼して前嶋様を殺そうとしたのか目星はついていますか?」
「さぁ?てっきりカズじゃなくて白沢が来ると思ってたのかな?」
「おっと、夕飯の支度があるので失礼します」
白沢は部屋から出た。
「なぁ、白沢って本当は男なのか?」
「!?突然何を!?」
「この前、朝起きたら体が女性になっていたらどうしますかって聞かれたんだよ」
「ああ、白沢は突然とんでもない事を言い出すからね
よくあると言えばよくあることだ。
彼女は正真正銘本物の女性だよ。
嘘だと思うなら見せてもらえばいいじゃない」
「ブッッ!!!
見せてもらえとか言うなよ!」
「さて、少しずつ難しい依頼も入れていこうか」
「たとえばどういう内容だ?」
「そういえば、明日重要な依頼があったわ」
アリスは引き出しから依頼書を探し始めた。
「あ、あった。これだ。VIP護衛」
「VIP護衛!?」
「うん。海外からVIPが来るらしいから護衛をしろっていう依頼よ。
時々いるのよね。気に入らないからって狙撃とか殴りかかるとか卵投げるとか」
「狙撃?一般民は銃の所持ができないだろ?」
「一般民が私たちみたいな何でも屋に依頼したとしたら?」
「なるほど。それはありえる」
「銃弾でも、パンチでも、卵でも、全力で守るのよ」
「よし。護衛範囲とか決まってるのか?」
「空港からテレビ局までよ」
「でさ——」
「あのね、こういう任務の時は当日にしっかりと
ミッションブリーフィングを行うから今焦って聞かないでね」
「前嶋様、お嬢様、夕飯の支度が終わりましたのでどうぞ」
俺らは夕飯を食べ、早く寝て朝一に出る事にした。
-
まだ朝の3時である。
昨日は10時に寝たのでそれなりに睡眠は取れた。
「では各自装備を準備し、出発準備が終わりしだい外に集合」
「前嶋様、今回のミッションはレミントンだけでは対処できない可能性があります
こちらを貸し出しますのでお使いください
その他の装備もお使いください」
そう言って渡されたのはP8と呼ばれるH&K社のハンドガンだった。
また、防弾着に折りたたみ式のバタフライナイフも渡された。
「実際はM4とか大型の銃を使いたい所だけどあいにく無くてね。
まぁ私たちならこれぐらいで何とかなるでしょ」
だなんて余裕の発言をアリスはした。
アリスは俺と同じような迷彩を着て、手袋をしていた。
白沢もメイド服を脱いでHuman Alive迷彩を着ていた。
って目の前で!?
「ちょ・・・・・・場所を考えて・・・・・・!!!」
「ヤダ・・・・・・前嶋様・・・・・・見てたのですか・・・・・・?」
それでも無表情、同じトーンで話す白沢。
「見てない!見てない!マジで見てない!
というかメイドが主人の前で着替えていいのか!?」
「今の私は一人の軍人です。メイドではありません」
本当に酷い発想だ・・・・・・
ちなみに空港までは政府側から車を出してくれたため
バイクを3人乗りなんてことにはならずに済んだ。
空港につくとミッションブリーフィングが始まった。
「今回の依頼はVIPの護衛。
弾なんて危険な物から卵とか危険性の無い物まで全て守るのよ。
銃は敵が銃を所持している等の正当な場合のみ使用できる。
間違っても卵が飛んできたから打ち落とすなんて考えは持たない事。
3人で分散して護衛し、何かあればトランシーバーで報告せよ、以上」
「了解」
俺と白沢は同時に返事を返し、それぞれの場所に分かれた。
ちなみに、今回はトランシーバーもあるが
手が離せなくなることを考えてヘッドセットが用意されていた。
アリスはVIPの前衛、俺は後衛、白沢は遠くからの監視だった。
俺らの配置が終わってから5分程度でVIPは飛行機を降りた。
どうやら韓国のスターらしいが誰なのかよくわからなかった。
ロビーにはファンと思われる人がたくさんいて
この中に悪意を持った人がいても全く分からない。
「こちらアリス、前方異常なし。後方、遠距離に注意せよ、どうぞ」
「こちら一樹、後方異常なし、どうぞ」
「こちら白沢、遠距離異常なし、どうぞ」
「了解、引き続き警戒を続けよ。VIPが待機室に行くまで目を離すな、以上」
VIPは一時、待機室に入って車を待つらしい。
しっかりと最後まで見張ったが特に事件は起きていない。
強いて言うならおばさんがロープを超えてまでVIPに接近しようとした事ぐらいだ。
結局、アリスに止められて接触はできなかったようだが。
-
待機室はこのようなVIP用に作られていて
関係者以外が入れないように廊下の奥の奥にある。
逆に言えば、万が一警備を乗り越えてしまえば待機室で何かあっても気がつかない。
しかも、警備員も関係者以外立ち入り禁止のロープの奥のため
一般の人から警備員ですら見れない状態になっている。
ちなみに俺らはいったん休みになり、政府側の警備に任せている。
「VIPって呼ばれてこの待遇なんだからきっと大物なんでしょうね」
「お嬢様、彼をご存知で無いのですか?」
「う〜ん・・・・・・韓流スターはいまいちわからなくてね・・・・・・」
「なぁ、ちょっと会いに行くのはどうだ?」
「カズ!?そんなことしていいの?」
「まぁ守ってるんだからそのぐらいいいんじゃないか?」
「私はここでゆっくりしているのでお二人でお楽しみください」
俺の軽い発言で俺とアリスはそのVIPに会いに行くことになった。
ところが、いくらロープの先に進んでも警備員が見えず
結局VIP待機室まで来てしまった。
俺がドアノブに手をかけて、開けようとしたが・・・・・・
「冷たっ!?何だこれ!?」
ものすごく冷えていた。
運が悪ければ低音やけどをしていたに違いない。
「まさか・・・・・・」
アリスがドアを開けると(義手のため温度は関係ない)
そこにはVIPの韓流スターと思われる人物と一人の少女が居た。
なんと部屋一面が凍っている。
「あら?警備員?全員片付けたと思ったのに」
その少女は水色の髪、水色の目、身長はアリスと同じくらい。
「ってよく見たらアリスじゃない。
またこうして会えるとはねぇ・・・・・・」
「その話は後だ。その人に何をした!?」
「見ての通り、これから殺そうとしているのよ」
「誰かに依頼されているのか!?」
「そうよ。この男を嫌っている人が暗殺しろっていう依頼を出してきたんでね」
俺はとっさにP8を出し、少女に向けた。
「そいつから今すぐ離れろ。俺は少女でも幼女でも問答無用で撃つぞ!」
「へぇ?撃つ?撃ち殺せるものならやってみな!」
「カズ、無駄撃ちはよせ。こいつには効かない」
「効かない!?どういうことだ?」
「・・・・・・じゃあ撃ってみろ」
俺は言われた通り、その少女に向けて撃ってみた。
銃からは部屋一面に響く銃声と共に弾が飛ぶ。
ところが、その少女に当たるか当たらないかの所で突然弾が凍り付いて落ちてしまった。
「どういうことだ!?」
「氷結<アイス>のレイ・・・・・・その力は健在ってことかしら?」
そのレイと呼ばれる少女はニヤリと笑う。
俺には状況が理解できないが・・・・・・
「まぁいいわ。今日じゃなくてもチャンスはあるし、他の日に狙うわ」
そう言って部屋から出てしまった。
レイが近づくだけまわりが冷たくなった。
まだVIPは怯えている。
「クソっ!追いかけるわよ!」
アリスはバッと部屋から出て、俺も後を追った。
ところが、レイはドアのすぐ横に隠れていたらしく
レイの蹴りが見事にアリスの左わき腹に当たってしまった。
「グッ!」
アリスが怯んでいるうちにレイは銃を取り出し、アリスに向けた。
「あらあら?これでこちらが優勢ね。
そこの男、私の代わりにVIPを殺しなさい。
じゃないとアリスちゃんの命が無いわよ?」
「カズ、こいつのいう事なんて聞くな!」
「お嬢様に手出しするとは許せませんね」
レイの背後からいつの間にか来た白沢が迫ってきていた。
「チッ!じゃあね、アリス」
「おい!やめろ!」
レイは逃げ際にアリスの胸へ銃を撃った。
「グハッ!!」
「クソ・・・・・・アリス!?大丈夫か!?」
アリスは苦しそうに咳き込んでいる。
「白・・・・・・沢・・・・・・防弾効果薄いわよ・・・・・・」
そう言って胸から何か取り出した。
・・・・・・これは・・・・・・PAD?
「申し訳ございません。ですが、胸を大きく見せつつ防弾効果のあるPADなんて
やはり科学的に難しいかと思うのですが・・・・・・」
防弾PAD?
・・・・・・PAD無しではアリスの胸は結構小さい・・・・・・
「ッ・・・・・・!!!カズ!こっち見てんじゃないわよ!!!」
「ああ・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
-
結局VIPは無事で空港を後にした。
俺らは軍車両で前方を走り、VIPはリムジンで後方を走っている。
「氷結<アイス>のレイって言ったか?ヤツとはどんな関係なんだ?」
「私が昔所属していた会社の仲間よ・・・・・・」
「あんな尋常じゃない技を持ったヤツがいるなんて・・・・・・」
「『人間卒業試験』・・・・・・ですか?」
突然白沢が言い出すので驚いた。
「そう。あの会社、Cyborg Soldier(サイボーグ・ソルジャー)社の
入社試験のようなもの・・・・・・」
「一体何をするんだ・・・・・・?」
「人体実験を行い、見事に人間離れした技を持ったものは人間卒業、
つまりCyborg Soldierの社員になれるってこと」
「じゃあアリスも何かあるのか?」
「人間卒業しかけた・・・・・・といえばいいか。だから私はここにいる。
まぁ話せば長くなるけど私がもっと子供の頃、私を含む5人の子供が選び出された。
その子供に人体実験をし、それぞれの特殊な技を手に入れた人が
Cyborg Soldierの社員として働ける。
そもそも、私たちは望んで来た訳ではなく、強制的にだけどね」
「レイってヤツもその一人なのか・・・・・・」
「私の幼馴染よ。一緒に連れて行かれて覚醒してしまった4人のうちの一人」
「ちょっと待て、だとしたら白沢とはどうやって・・・・・・?」
「Cyborg Soldier社のメイドの一人よ。
私が逃げる時に一緒に連れ出した」
「逃げる?」
「ええ。不合格者なんて不要だからね。
人体実験から2週間以内に覚醒しなければそこで失格。
たぶん処刑されるんじゃないかな?」
「処刑・・・・・・!?」
「だから私は逃げてきた。
・・・・・・そのせいでヤツらに追われるハメになったんだけどね」
「ですが変ですね。お嬢様が逃げ出して1年は何度も襲撃に会いましたが
ここ2,3年は全く彼らは姿を現さなかったのに
なぜ今になって再び現れたのでしょうか?」
「ヤツらの事よ。気まぐれでしょ」
「お嬢様、だとしてもこれから先
しばらく彼女らは我々の前に出てくる事もありえるわけですよね?
だとすれば武器の強化等も考えた方がいいと思うのですが・・・・・・」
「むー、それもそうね。そろそろ新武器も欲しいわね」
「社内費を削ってもよろしいのでしたら私が
みなさんのタイプにあわせた銃をおつくりしますが?」
「じゃあ白沢!任せた!」
「あとで一人一人にどのような感じにするか相談しますので」
「よし、決定!」
ちなみにVIP護衛は空港を出た後はこんな会話ができるほど余裕があった。
無事(?)にテレビ局へ送った後、車で会社まで送ってもらったのだが
運転手が少し話したいと言い、会社へ連れて行った。
その人は軍の上級指揮官だったようで
どうやら例のレイの事で話があるそうだ。
↑え?わざと言った訳じゃあないのだが・・・・・・
-
「じゃあ君たちは氷結<アイス>のレイを見たと?」
「はい。確かに見ました」
「もしまた有力な情報が入ったら教えてくれ」
「了解です」
アリスも流石に高級指揮官には敬語だった。
「お嬢様・・・・・・立たせたままでよかったのですか?」
「いや、それは私も思ったけど・・・・・・
まさかこんなお偉いさんが来るとは思わなかったから・・・・・・」
ちなみに椅子はアリスの椅子しかない。
「お嬢様・・・・・・PADの件ですが・・・・・・」
「ああ、もうここで話していいよ。隠しても大きくならないし」
「やはりアレが限界です。
今回もお嬢様が心停止とか肋骨骨折とかならなかったのは奇跡です」
防弾着は面積が大きくて初めて効果が出る。
これは圧力をしっかり勉強した人なら分かるが・・・・・・
説明が難しい・・・・・・えっと・・・・・・グーグル先生に聞いてくれ!
とにかく、通常の防弾着でさえ肋骨を折ってしまう事もよくある。
それなのにあのPADの面積で肋骨の一本も折れなかったとは本当に奇跡だ。
「そう・・・・・・仕方ないわね・・・・・・
いいよ・・・・・・もう・・・・・・貧乳はステータスだから・・・・・・希少価(ry」
「前嶋様、胸は大きい方が好みですか?」
「質問のタイミングを考えろ!」- ---------------------------------------------------------------------------
つまり後半はアドリブですな。
文も短くなってしまったし・・・・・・
- ---------------------------------------------------------------------------
-
夕飯後
「私たちのオリジナル銃ですが、意見を聞かせていただきます。
まずはお嬢様、どういった銃がお好みですか?」
「そうね・・・・・・まずはグレネードランチャーはあってほしいわ。
勿論手榴弾から煙幕弾、閃光弾、どの種類でも撃てる物よ。
それから精密射撃はパパッと狙えるようにして。
最後に潜入作戦を考慮してサプレッサーは必須よ」
「なるほど・・・・・・わかりました。次に前嶋様、どうぞ」
「そうだな・・・・・・まずは連射しても反動がすくなくなるようにしてほしい。
グリップもしっかりと持てるようにしてくれ。
ストックだが、折りたたみ可能で全体的に最小サイズが小さくなるように頼む。
あ、あとは雪とか雨とか泥とかひび割れても大丈夫な精密射撃のスコープ・・・・・・
そう、ホロサイトを使ってくれ。
それから、夜間でも大丈夫なようにフラッシュライトも付けてくれ」
「難しい注文ですね・・・・・・
多分ベースはMP5になると思いますがよろしいですか?」
「そうだな。反動重視で考えるとMP5がいいかもな」
「わかりました。私はM4をベースにし、SVDを参考にした
オートマチックライフルをテーマに作ろうと考えています」
「これで決まったわね。それじゃあ白沢、よろしく」
「あ〜、お嬢様、結構な日数がかかると思うので
会社の運営はお二人に任せることになりますがよろしいですか?」
「カズ、これから頑張るぞ!」
「おし、任せろ」
「では早速取り掛かります」
白沢は猛ダッシュで何処かへ行ってしまった。
「さて、明日の依頼は・・・・・・白沢が居ないから自分で調べるのか・・・・・・」
アリスはPCを開き、依頼一覧を出した。
どうやら紙の依頼書をわざわざ白沢がPCにまとめてくれてたのだ。
「明日は・・・・・・ウゲェ・・・・・・爆破予告だわ」
「爆破予告!?」
「ええ。都内の映画館に爆破予告が来たらしいの。
犯人の要求は不明。警察を呼べばすぐに爆破させるとの事よ。
私たちもずいぶんと頼りにされたものね・・・・・・」
「俺らで爆弾解体するのか!?」
「それしか方法は無いわ。
あ、一般の人に紛れるわよ。
絶対にHuman Aliveが来たと気がつかれてはいけない」
「白沢を呼べば——」
「ダメよ。白沢は一度あることに取り組むと終わるまで止めないから。
それに私だって爆弾解体技術ぐらいあるわよ」
「わかった。で、俺は何をすればいい?」
「犯人の捜索。できれば捕獲」
-
次の日、春と夏の境目であり
俺はジーパンにYシャツというなんともいえぬ軽装で行く事になった。
一方アリスは義手と義足を隠すために暖かいこの時期に
長袖長ズボンというスタイルで行く事になった。
「フゥ・・・・・・実際私だってスカートとか着てみたいわよ
でもこの手足じゃあねぇ・・・・・・」
俺はかける言葉を失った。
アリスの表情は冗談で言っているのではなく、本気で残念そうだったからだ。
「じゃあ、会社内で着たらどうだ?
ていうかアリスさ、俺が来たときはスーツだったし
引越し手伝いの時あたりからずっとHuman Alive迷彩だよな?
たまにはファッションにも気を使ったら?」
「まぁ考えておくわ」
ちなみに、俺は白沢から「借りた」P8を持ち
アリスはバッグに工具を入れていた。
二人ともトランシーバーは一応持っている。
一般の人に見えるように防弾着は着ていない。
「ミッションブリーフィングはいいわね。
できるだけ一般の人と同化するために交通機関をしっかり使うわよ。
バイクは使わずにね」
俺たちは駅まで歩き、地下鉄を利用して目的地まで行く事にした。
「地下鉄なんて久々にのるわね・・・・・・」
「ああ、俺もだ」
俺たちは一番後ろの5両目に乗った。
「なんかさ、デートみたいじゃない?」
「やめろよ・・・・・・」
「カズ、照れなくてもいいんだよ?
一般人みたいにデート感覚でいたほうがいいかもよ?」
一般人一般人って俺らは一般人じゃないのか
車内アナウンスが流れる。
駅まではまだ先なはずだが・・・・・・
「ひっ!!えっ・・・・・・えー、車内にっ!?ひゅーまんあらいぶ(?)の方が
いらっしゃいましたら・・・・・・先頭車両まで・・・・・・うわっ!」
「使えない乗務員ですねぇ。
Human Aliveの社員が入ってきたのは知っていますよ。
今すぐに来てください。さもないと電車が吹っ飛びますよ!」
アリスと俺は顔を見合わせた。
「もうばれてるじゃないか!」
「こんな所まで見張っていたのね・・・・・・!?
白沢白沢って・・・・・・繋がらない!?」
「地下だからな・・・・・・まずい・・・・・・」
「ぐずぐずしないでください。このまま終着駅まで走ったら
車両全てがボボボボーーーンですよ?」
「カズ、行くしかないわ。
P8持ってたわね?貸して」
俺はP8をアリスに渡した。
車内がざわめくのがわかった。
-
4両目・・・・・・3両目・・・・・・2両目・・・・・・
「あいつらがHuman Aliveなのか?」
「え?子供なの・・・・・・?」
「早くなんとかしてくれよぉ!」
そんな言葉が次々と聞こえてくる。
どうやら本当に知名度はあるようだ。
そして1両目・・・・・・
乗務員のドアは基本的に鍵がかかり、窓に黒い幕がはってある。
アリスはそれを見て静かに
「1両目のお客様は2両目以降にお下がりください。
絶対に1両目には近寄らず、弾が飛ぶ可能性もありますので
連結部の窓を覗かないようにしてください」
と、適切な対応をしていた。
そして非難が終わると
「イエドだな?出て来い!」
と叫んだ。
「ほほう・・・・・・ミスアリス、ご名答です」
乗務員席から黒人の男の子が出てきた。
歳はアリスと同じくらいだろうか?
「映画館の爆破予告もお前の仕業だな?」
「だとしたらどうしますか?」
「ここで止めないとな」
アリスはイエドと呼ばれる男の子にP8を向けた。
「あなたに撃てますか?ミスアリス」
「撃とうと思えばいつでも撃てる」
「そういえば・・・・・・今更ながらよく生きていますね
あれほどもろにクレイモア地雷の爆撃を受けたのに」
「アリス・・・・・・?」
「おや?連れの方ですか?
面白い。ではしっかりと話させてもらいましょうか」
イエドはこちらへ少しずつ近づいてきた。
「私の名はイエド。
人々からは爆弾<ボマー>のイエドとして恐れられています。
どうぞ御見知り置きを」
自分で恐れられてるっていいやがった・・・・・・
「まぁミスアリスの手足は見たでしょう?あれは——」
「こいつだ!!!」
突然アリスがイエドを指差す
「こいつがクレイモア地雷で私の右腕、右足を吹っ飛ばしたんだ!」
「フフフフ・・・・・・
あれはあなたが逃げ出そうとしたのが悪いんじゃないですか?」
「どの道、私を殺すつもりだったのだろう?」
「逃げようだなんておかしな子は厳重な罰が必要です。
せいぜい逃げるための足か手を奪えばいいだろうとは思ったのですが
まさか両方とも自ら飛ばしてくれるとは思わなかったですね。
その後の『助け舟』さえ来なければ今頃あなたは死んでいたでしょうね。
で、その助け舟は何処へ?」
「白沢なら残念だけどここにはいないわよ?」
「残念?何を勘違いしているのですか?
私は・・・・・・いや、我々はあなたを狙っているのですよ?」
ちょうど目の前までイエドは迫り、怪しげなボタンを取り出した。
-
「終着駅まで残り3分ぐらいでしょう。
さてミスアリス、ここで降伏して今すぐCyborg Soldierに戻るというなら
この電車は無事に終着駅に着きます。
もしNOといったり、だまったまま3分を迎えればこの電車はボボボボーンです」
こいつはAC大好き少年か
「答えは分かっているでしょう?」
「そうですか。では——」
イエドがボタンを押しかけていた。
「カズ!」
俺はバッと回し蹴りを近くまで来ていたイエドに食らわせた。
身長がアリスぐらいの小さな男の子であるイエドは結構簡単に飛んだ。
同時に持っていたボタンも飛ばした。
「ナイス、カズ」
「フフフ・・・・・・ただのお連れと思って油断しましたよ・・・・・・
先に映画館で待ってますよ。ミスアリス・・・・・・」
イエドは乗務員席に戻った。
「カズ!追うわよ!」
俺たちが乗務員席に行くとイエドはいなかった。
代わりに怯えている乗務員がいる。
右側のドアが開いているため、そこから飛び降りたのだろう。
「ん?この音は・・・・・・」
どこからかピッピッピッ・・・・・・という音が聞こえてくる。
「乗務員席の下よ!」
俺はすぐに席の下を見た。
そこには残り5秒のカウントをしている爆弾が・・・・・・
幸い、固定されていなかったため、サッと取りはずし
右の開きっぱなしのドアに投げつけた。
爆弾はものすごい音と共に空中で爆発を起こした。
「危機一髪じゃねぇか・・・・・・」
「なかなかやるじゃない・・・・・・」
「あのイエドってヤツ、何なんだ?これといった能力はなさそうだが・・・・・・」
「ああ、ヤツは体から酸素を無限に発生させている。
それがヤツの能力だ」
「体から酸素を?
なるほど・・・・・・爆発を大きくさせるわけだ」
たとえばマッチを使って火をおこすとしよう。
通常の空気中には酸素が約20%
その量が一番正確に物が燃える適切な酸素量なのだ。
ところが、20%より多くなると燃える激しさが大きくなる。
万が一、酸素量が多い場所、つまりイエドの近くで物を爆発させたり
火を出したりすれば、それは大きな爆発になる。
「だが、そんな事をすればイエド自信も爆発に巻き込まれるだろ?」
「それが謎なのよ。どうしてイエドはいつも無事なのか・・・・・・」
-
結局の所、車内はしばらくざわめきがあったが
映画館に着くときにはほとんど無くなっていた。
「よし、着いたわね」
「ああ、お待ちしておりました」
どうやらここの館長だろう。
「あなたが今回のクライアントね?」
「そうです。この度はありがとうございます」
「警察を呼ぶべきだと思いますが、いいのですね?」
「はい。あなた方だけで解決していただきたい」
「警察を呼ばないとなると依頼量は結構高くなりますよ?」
「大丈夫です。しっかりとお支払いします」
「分かりました。カズ、捜索を始めるわよ」
「あ・・・・・・あの、脅迫文と一緒にこんな物が・・・・・・」
蟻に貫通した。
麒麟かい気分。
マジすごいわ孔明の罠。
↑↑平らにしたり。
「何を言ってるんだこいつ」
「蟻に貫通した。麒麟かい気分。マジすごいわ孔明の罠。↑↑平らにしたり。・・・・・・」
「これもイエドが?」
「こんな広い場所よ。
イエドは絶対に爆弾に私たちを近づけたいはずよ。
この文にも絶対何か秘密があるはず・・・・・・
というか、かなり簡単な謎解きにわざとしているはず・・・・・・」
「時間はドンドン削れていく。
探しながら考えよう」
「トランシーバーは持ってるわね?」
「ああ」
「じゃあお互い何か分かれば報告して」
俺たちは別々に分かれ、爆弾の捜索を始めた。
にしても本当になんなんだ?
読者にも分かるものなのか?
-
結局何もわからず、30分は経過してしまった。
突然トランシーバーに通信が入る。
「イエドです。まだ分からないのですか?
ファリーポッタァと海(シー)の秘宝が始まると同時に爆発しちゃいますよ?
はやく見つけてくださいね」
「な!?」
いそいでアリスに繋いだ。
「アリス!?カズだ、イエドから無線がきてファリーポッタァの上映と共に爆発する!
急いで見つけろっていいやがった!どうぞ」
「そんな・・・・・・たしか吹き替えと字幕、さらに3Dと2D版があるから・・・・・・
この映画館には4箇所もあるわよ!?
どれも上映まであと30分しかないわ!どうぞ」
「ああ・・・・・・手当たり次第に探そうか、どうぞ」
「だめよ。客にこの騒動を気がつかないようにしろって言われてるじゃない。
イエドはそこら辺知ってるから少なくとも客の目に付くところには
絶対に設置して無いわ。どうぞ」
「じゃあ逆に客の目につかないところを探せばいいんだな?
すぐに探す。以上」
ふと気がついた。
蟻に貫通した。
麒麟かい気分。
マジすごいわ孔明の罠。
↑↑平らにしたり。
平らって平仮名のことか?
ありに貫通した。
きりんかい気分。
まじすごいわ孔明の罠。
・・・・・・ん!?
あ に 通
り か 気
す い 孔
ありす にかい 通気孔
キターーーーーーーーー!!!
「アリス!?カズだ!分かった!二階の通気孔だ!ファリーポッタァは2階では
一箇所しか上映されていない!そこの通気孔に行ってくれ!どうぞ」
「カズが行けばいいじゃない!どうぞ」
「俺解体技術ないし、この暗号にアリスが行くべきだと書かれている、どうぞ」
「了解。直ちに向かう。以上」
「ようやく場所が分かりましたか。
では我々は我々で少しばかり話しませんか?
屋上で待ってますよ」
俺はアリスに確認もとらずにホイホイと屋上へ上がってしまった。
屋上には確かにイエドが待っていた。
「動くな。ここで現行犯逮捕だ」
「動くな?動くなですと?
あなた、どちらが有利なのか分かって言ってるのですか?
こちらには爆破スイッチがあるのですよ?
爆弾の近くにはミスアリスもいるのですよ?」
しまった・・・・・・完全にはめられた・・・・・・
「さぁ、銃を渡してください。
無駄な抵抗を考えると押しちゃいますよ?」
「どう渡せばいい?」
「地面においてそこから5mぐらい離れてもらいましょうか」
俺は仕方なく指示に従った。
銃を置き、5mぐらい離れた。
「ふむ、P8ですか。まぁいいでしょう。
爆発までのこり20分ぐらいですか。
・・・・・・待ちきれませんね。やはり押してしまいましょうか」
俺が一歩進むとイエドはこちらへ銃を向けてきた。
「まだ抵抗を考えているのですか?くだらない。
あ〜あ、押しちゃいましょう」
イエドはスイッチを押してしまった。
・・・・・・押してしまったのだが、何も起こらない。
「まさか・・・・・・
ふむ、たったの10分で解体は可能なのですね、ミスアリス」
「当然よ。こんな爆弾5分ありゃ解体できるわ」
エレベーターから上がってきたアリスはイエドの足元に解体した爆弾を投げつけた。
「少しばかりHuman Aliveを甘く見ていましたね。
ではまた会いましょう。
次はすばらしい爆発を見せてあげましょう」
そう言ってイエドはビルから飛びおりた。
「な!?」
「・・・・・・」
俺らが柵に着くときには下を探し回ってもイエドは見あたらなかった。
当然上でヘリに掴まって・・・・・・なんて事もない。