無線会話

無線会話
キャンベル
元FOX隊員　SEND　キャンベル。

キャンベルだ。
なにか問題でも。
なに？武器が足りない？弾薬も?

ふむ……それは問題だな
スネークからの指示はなかったのか?
現地調達しろといわれた？
なるほど……元『FOX』の隊員らしいな

いや、なんでも『FOX』の隊員は、単独で敵地に侵入して、
武器も装備もすべて現地調達するように命令されていたらしい
おそらく、そのころのクセがまだ抜けていないんだろう
実際、ほかに方法もない
スネークが残した指示に従うんだ

……服?　『FOX』の任務では服も着ないで敵国の領内に入ったのかどうか?
さすがにそれはないだろう
いくら装備を現地調達するといっても……
いや、まてよ
たしかスネークの正式なコードネームは
『裸の（ネイキッド）スネーク』だったな……
もしかしたら、彼は本当に素っ裸で敵国内に放り込まれたのかもしれん

なるほど……道理で敵に見つからないようにしなければならなかったわけだ
え、やる気が出てきた？　裸で敵の領内に放り込まれることに比べたら、
武器の現地調達くらいどうってことはない？
そうか、なるほど
ああ、頼んだぞ



FOX隊員からキャンベルにSEND

あー聞こえるか。
今後の行動を用意にするために……いや、
俺たちの生き残りをかけた命題として、
理解を共有しておきたい事が一つある

俺たちは、仲間の数を増やしたい
俺たちの･･･（書くのを忘れる）

一人でも多くの味方を増やすことは、
生き死にの問題に直結する。……だな？
そしてその為には……そうだ、お前たちが捕虜してきた敵をこの俺が、
この場で、説得してやらなくちゃならない

面と向かい、時には敵意をむき出しにする連中相手に辛抱強く、コンコンとだ

ときに家族の話題で泣き落としたり、
ときに世界情勢を大上段から語って幻惑したり、
あるいは相手の弱点を突いて脅したり、
または虚栄心をくすぐったりもしてみたり……
想像が付くだろうとは思うが、
これはなかなかに骨が折れる仕事だ

……
そういう大変な作業を続けるには、
何と言うかこう、モチベーションをそれ相応に保つための何かが必要だ

……

……ゴホン

例えて言うとすれば、花壇に植えて愛でるなら
ハエ取り草よりも清楚なユリの花の方がいい、とか……

あるいは、同じ犬でもブルドッグよりはコリーとたわむれたい、とかな
まぁ、そういうような事さ

……判るか？　判るよな?　あんたも男だもんな？

あんたの頑張り如何に、皆の生死がかかっている
よろしく頼むぞ

シギント
こちらシギントだ。どうした、なにか問題でも？

特に問題がなければ、そのまま任務を進めてくれ

おっと、任務中の移動には気をつけろ
現地人の美女に見とれて油断したりするなよ
なにしろコロンビア、チリ、コスタリカの
三カ国は、3Cと呼ばれて美人が多いことで有名なんだ

なんでも、美女に見とれての脇見運転が、
かなりの確率で交通事故原因の上位を占めているらしい

このあたりの地方は、さまざまな人種の混血が進んでいるからな
もしかしたら、そのことがいい影響を
及ぼしているのかもしれないな

おかげで目立った人種差別もないらしい
こういう国ばかりだと、黒人の俺でも
好きな場所で遠慮無く研究ができるんだがな……

まあ、少しずつでも時代がいい方向に向かうように努力するさ。
そのためにも、俺が手がけているコンピュータで
世界をつなぐ研究を実現しなくちゃな



シギントだ……ん、あんた、
ARPAネットについて知りたいのか？
ARPAネットというのは、コンピューター同士を接続する新しいネットワーク･システムのことだ
これまでのアメリカの国防回線は、
通常の電話網を使っていたんだが、1961年に
ユタ州で起きた三ヵ所の電話中継基地爆破事故で、それが一時的に完全停止してしまった

とり忘れ２行

開発されたのがARPAネットというわけだ

ARPAネットは中枢となる特定のコンピューターを持たずに、
接続された複数のコンピューターが分散して処理を行う
だからネットワークの一部が攻撃を受けても、
破損した箇所を迂回して必要な情報通信機が維持できるという仕組みだ
だが、ARPAネットの可能性はそれだけじゃない

今は最大で256台のコンピューターしか接続できないが、
いずれ国境を越えて世界中のすべてのコンピューターがネットワークで
つながることになるだろう

文字どおり世界が一つになるというわけだ

それどころか、もし端末が小型化されて
人体に内臓されるようになり、
ネットワーク自体も電波を介して自由に接続できる
ようになれば、人類はそのとき新しい進化を
遂げるといっても過言じゃない

もしそのネットワークが悪用されたら、
と思うと少し恐ろしい気はするが……


パラメディック
ねえ、『ミクロの決死圏』って知ってる？
映画よ。観てない？

脳内出血を起こした要人の命を救うため、

医療チームを乗せた潜航艇を縮小光線で
小さくして、要人の体内に注射するの
人体の内部を描いた特撮がすごいの

血液の流れに巻き込まれて静脈に迷いこんだり、
人体の抗体に襲われたり
だけど、医師としては少し複雑な気分だったわ

本当にあんな技術が開発されていたら、

治療できずに亡くなっている患者を何人も救うことができるのにって思って
でも……ミクロ化の技術が開発されても、
人体の中に入るのは危険なのよね
そうか、スネークのようなエージェントに潜入してもらえばいいんだわ
これで問題は解決ね



メタルギアソリッドP.OPS